保全生態学研究
Online ISSN : 2424-1431
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16 巻, 1 号
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原著
  • 池上 佑里, 西廣 淳, 鷲谷 いづみ
    原稿種別: 本文
    2011 年 16 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    関東地方の台地の周縁に発達する小規模な谷(谷津)の奥部における水田耕作放棄地に成立した植生を、水生・湿生植物の生育ポテンシャルの面から評価することを目的とし、茨城県の北浦東岸の32箇所の谷津を対象として、最上流部に位置する水田放棄地の植生と、それに影響する環境要因を分析した。各調査地に15m×5mの調査区を設け、調査区内の維管束植物・大型水生植物相(ウキゴケ類とシャジクモ類を含む)を記録した。さらに、その内部に0.5m×O.5mコドラートを39個設け、種ごとの出現頻度から優占度を評価した。調査の結果、調査地あたり在来種数は平均32種、外来種は平均3種が記録され、全体では244種(うち外来種25種)が確認された。全国版あるいは地方版(茨城県あるいは千葉県)レッドリスト掲載種は、9箇所の調査地において合計7種確認された。一般化線形モデルを用いた解析により、調査地あたりの在来種数および在来水生・湿生植物種数に対して、地下水位による有意な正の効果と、日照率(植生上で撮影した全天写真から評価)と耕作放棄からの年数による有意な負の効果が認められた。地下水位による有意な正の効果は、絶滅危惧種の出現可能性に対しても認められた。逆に、侵略的外来植物であるセイタカアワダチソウの優占度に対しては、地下水位による有意な負の効果が認められた。地下水位は、コンクリートU字溝などの排水施設が設置されている場所において有意に低かった。以上のことから、調査対象とした地域において、谷津奥部水田耕作放棄地は、絶滅危惧植物を含む多様な水生・湿生植物の生育場所として機能していること、その機能は、水田として耕作されていた時代に排水施設などの圃場整備事業が実施されていない場所において特に高いことが示された。
  • 丹羽 英之, 三橋 弘宗, 森本 幸裕
    原稿種別: 本文
    2011 年 16 巻 1 号 p. 17-32
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    群集のもつ複雑な情報を要約できる環境類型区分や生物指標は生態系管理において重要なツールとなる。河川環境の目標設定などにも有用なツールであるが、先行研究の多くで、環境類型区分の適正評価、生物指標の選択基準が客観的かつ定量的でないため、研究事例の比較検証ができず、我が国では実務に応用するに至っていない。モデルに基づくクラスター分析(Model-Based Clustering)と指標指数(IndVal)を組み合わせることで、複数の区分方法からクラスターと生物分布の一致率(=指標性)を基準に環境類型区分の適正を評価でき、閾値を設定することで客観的に生物指標(本研究では指標群落)を選定できる。本研究では、この手法を用いて流域単位で植生の環境類型区分をつくる場合に、どの様なデータ取得方法が適しているか、また、生物データだけでつくる方法、環境要因データだけでつくる方法、生物データと環境要因データでつくる方法のどのタイプが適しているかを比較検証した。兵庫県の市川水系において、調査範囲と調査区の設定方法の異なる3つのデータセットを準備し、それぞれについて3タイプの環境類型区分をつくり、指標性の高さと選定された指標群落の種類で適正を評価した。その結果、流域単位で指標性の高い環境類型区分を得るためには、3タイプ別では安定して高い指標性を示す生物データと環境要因データでつくる方法が、3つのデータセット別では流域全体に配分した調査地点の一定区間で植生図を作成する方法が適していることが示唆された。また、選定された指標群落は各クラスターの状況をよく反映していた。本研究の結果から、指標性の高い環境類型区分を得るためには、下流域で連続して作成されることが多い植生図の作成労力で流域全体に配分した調査点で植生図をつくり、セグメントを用いた環境類型区分を生物データと環境要因データでつくる方法に代えたほうが良いことが示唆された。
  • 小川 潔, 山谷 慈子, 石倉 航, 芝池 博幸, 保谷 彰彦, 大右 恵, 森田 竜義
    原稿種別: 本文
    2011 年 16 巻 1 号 p. 33-44
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    東京湾岸地域の造成地に1998年に人工的に播種されて成立したセイヨウタンポポ個体群を対象として、外部形態、生育密度の増減、実生の死亡・生残状況、倍数性構成を観察・測定し、移入されたばかりのセイヨウタンポタンポポ個体群の特徴を明らかにした。本個体群は、人工土壌の上で高密度の個体群を形成したが、2006年現在、個体密度が減少しつつある。現地での自然発生実生および播種実験による実生の生残調査では、実生出現期は主として初夏であるが、実生のほとんどは当年の秋までに死亡した。また秋発生実生は、1年後まで生き残るものがあったが絶対数は少なかった。本州の大都市では純粋のセイヨウタンポポが稀で多くは在来種との雑種であるのに対して、プロイディアナライザーによる痩果および生葉の核DNA量相対値測定の結果、本個体群では2006年現在、純粋のセイヨウタンポポの割合が高く。周辺からの雑種と考えられる個体の侵入は少ない。さらに、日本で初めて2倍体のセイヨウタンポポが個体数割合で約15%検出された。
  • 中本 敦, 佐藤 亜希子, 金城 和三, 伊澤 雅子
    原稿種別: 本文
    2011 年 16 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    沖縄島におけるオリイオオコウモリPteropus dasymallus inopinatusの個体数の長期モニタリング(2000年から実施)において、近年個体数の増加傾向が見られた。調査はルートセンサス法を用いて、沖縄島の都市部と森林部の2ヶ所で行った。都市部では2001年9月から2009年8月に、森林部では2004年と2008年の2年間調査を行った。両調査地ともにここ4〜8年間の間で個体数がおよそ3倍に増えていた。またこの目撃個体数の増加は全ての季節で見られた。これらの結果は、オリイオオコウモリの目撃数の増加が空間的な偏りの変化ではなく、沖縄島個体群自体の増大を意味するものであることを示す。沖縄島に接近した台風の数は2005年以降減少しているが、これは個体群の成長率の上昇のタイミングと一致していた。以上のことから沖縄島のオリイオオコウモリの個体群サイズは台風による攪乱頻度によって調節されている可能性があることが示唆された。今後、地球温暖化により台風の攪乱が不規則になると、本亜種の個体数変動が不安定になり、個体数増加による農業被害の拡大とともに地域個体群の絶滅が起こる可能性が高まることに注意する必要がある。
  • 藤木 大介, 岸本 康誉, 坂田 宏志
    原稿種別: 本文
    2011 年 16 巻 1 号 p. 55-67
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、氷ノ山ではニホンジカCervus nippon(以下、シカと呼ぶ)が頻繁に目撃されるようになってきている。一部の広葉樹林ではシカの採食により下層植生の急激な衰退も観察されている。シカの採食の影響は周辺山系(北山系、東山系、南山系)の広範囲にわたって深刻化している恐れがあるが、現状では断片的な情報しかなく、山系スケールでの状況把握はなされていない。氷ノ山の貴重な植物相と植物群落を保全するためには、氷ノ山とその周辺域におけるシカの動向と植生変化の状況について早急な現状把握を行い、地域植生に対してシカが及ぼす生態リスクについて評価する必要がある。そこで本報告では氷ノ山とその周辺山系を対象に、シカによる落葉広葉樹林の下層植生の衰退状況、周辺山系におけるシカの分布動向、地域植物相への食害状況の把握に関する調査を行った。その結果、調査を行った2007年時点において、氷ノ山では山頂から東と南に伸びる山系において下層植生が著しく衰退した落葉広葉樹林が面的に広がっていることが明らかとなった。下層植生が衰退した理由としては、1999年以降、これらの山系においてシカの高密度化が進んだためと思われた。また、両山系でシカの高密度化が進んだ理由としては、隣接地域のシカ高密度個体群が両山系へ進出したことが考えられた。さらに、その背景には、1990年代以降の寡雪化が影響していることが示唆された。一方、最深積雪が3m以上に達する氷ノ山の高標高域では2007年時点でも目立った植生の衰退は認められなかった。しかし、春季から秋季にかけて高標高域へシカが季節移動してくる結果、高標高域でも夏季を中心にシカの強い採食圧にさらされている。山系では13種のレッドデータブック種(RDB種)を含む230種もの植物種にシカの食痕が認められ、一部のRDB種では採食による群落の衰退も認められた。山頂の東部から南部にかけては、すぐ山麓までシカの高密度地域がせまっていることから、高標高域の積雪が多くても、継続的にシカの採食圧にさらされる状況となっている。このため近い将来、高標高域においても植生が大きく衰退するとともに、多くの貴重な植物種や植物群落が消失する可能性がある。
  • 石井 潤, 橋本 瑠美子, 鷲谷 いづみ
    原稿種別: 本文
    2011 年 16 巻 1 号 p. 69-84
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    表層土壌の除去は、良好な湿地植生が維持されていた時代に土壌中に蓄積したシードバンクを露出させるとともに、水条件を回復させることから、氾濫原湿地の再生手法として有効であると思われる。ヨシとオギの優占群落が植生の大部分を占める渡良瀬遊水地では、土砂堆積に伴う乾燥化が進み、植生の均一化およびセイタカアワダチソウなど侵略的外来種の侵入が加速しつつある。表層土壌除去は、セイタカアワダチソウの地下茎と土壌シードバンクを除去する効果も期待できる。本研究では、これら2つの効果および掘削する土壌深度の影響を検討した。5段階の掘削深度で造成された湿地再生試験地(2007年4月に完成)において、造成後2年間にわたってフロラおよび植生調査を行った。フロラ調査の結果では、在来水草種と撹乱依存植物の構成要素である在来1〜2年生湿生種が、それぞれ6種と31種確認され、在来1〜2年生湿生種は周辺植生(改変前のヨシ・オギ原)に比べて種数が有意に多かった。これらの種の中には、全国版あるいは地方版のレッドリスト掲載種も14種含まれ、掘削による表層土壌の除去は湿地植生の再生手法として有効であることが示唆された。セイタカアワダチソウを含む外来種が9種確認されたが、種数と現存個体数のいずれもが、造成後2年目に顕著に減少し、セイタカアワダチソウは植生にほとんど影響を及ぼさないまでに抑制された。掘削する土壌深度は、水草を除いて概ね深いほど種数が有意に減少したが、ミゾハコベやオオアブノメのようにより深い掘削深度のみで確認された種もあった。氾濫原湿地の植生の再生の観点からは、その場に応じた掘削深度の検討が必要なことが示唆された。
  • 小柳 知代, 楠本 良延, 山本 勝利, 大久保 悟, 北川 淑子, 武内 和彦
    原稿種別: 本文
    2011 年 16 巻 1 号 p. 85-97
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、管理放棄により樹林化したかつての半自然草地に毒いて、草原生植物個体群の回復をはかり、種多様性の高い草地群落を再生していく上での埋土種子の役割を評価することを目的とした。茨城県南部の筑波稲敷台地に調査地を設置し、ススキ型半自然草地における埋土種子集団の構造を明らかにするため、土壌を表層と下層に分けて採取し発芽試験を行った。また、以前ススキ草地であった管理放棄林において刈り取り再生実験を行うことで、種ごとの個体群回復可能性と種子の永続性との関係を検証した。埋土種子発芽試験の結果、地上植生で記録された草原生植物種の約半数が埋土種子から出現せず、土壌中の埋土種子密度が低いことが明らかになった。その一方で、草原生植物の中にも長期的なシードバンクを形成する可能性が高い種(アキノキリンソウ、ミツバツチグリ、タカトウダイ等)が存在することが明らかになった。刈り取り再生実験の結果、刈り取り一年後に地上植生は大きく変化し、刈り取り前には存在しなかった種が11種出現した。刈り取り後に増加した種の個体群は、長期的なシードバンクからの回復(ミツバツチグリ等)、残存個体からの種子供給による回復(ヒヨドリバナ、ノハラアザミ等)、地中に残存していた地下茎や根からの回復(ワレモコウ、シラヤマギク等)によるものと推察された。本研究より、管理放棄林における草原生植物の個体群回復の様式は種によって異なり、長期的なシードバンクの存在が個体群の回復に重要な役割を担う種が存在することが明らかになった。その一方で、長期的なシードバンクを形成せず埋土種子からの回復が見込めない種も存在したことから、これらの種については、地上植生や地下部における生存個体の有無が個体群の回復を左右する可能性が高いと考えられた。
調査報告
  • 嶋津 信彦
    原稿種別: 本文
    2011 年 16 巻 1 号 p. 99-110
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    2010年6月22日から10月18日に沖縄島300水系において、延べ流程340kmを踏査し、外来水生生物31分類群と在来魚41分類群の分布を記録した。生物の確認は、主に川を歩いて遡りながらの目視観察で行われた。結果、外来水生生物の分布は、島の南部に多く、北東部で少なかった。カワスズメ属、グッピーおよびコイは順に141、120および54水系で確認された。セルフィンプレコ属やジルティラピア、アカミミガメなどは、人口密度の高い南部に分布が集中していた。一方、ダニオ属やプラティ、コウタイなどは、観賞魚であるが人口密度の低い北部でのみ記録された。絶滅危惧種をはじめ在来魚の分布は、北部と中西部に多かった。ソードテールは、北部での分布拡大が著しい外来魚であり、絶滅危惧種への影響も危惧される。
  • 松井 淳, 堀井 麻美, 柳 哲平, 森野 里美, 今村 彰生, 幸田 良介, 辻野 亮, 湯本 貴和, 高田 研一
    原稿種別: 本文
    2011 年 16 巻 1 号 p. 111-119
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年シカが増加しているといわれている大峯山脈前鬼地域(奈良県吉野郡下北山村)の温帯針広混交林において、ニホンジカCervus nipponが森林植生に与えている影響を明らかにするために、現在の森林構造とシカ生息密度、および1983年から2008年にかけてのスズタケSasa borealis群落の変化を調査した。2005年に行った毎木調査によると、調査区(1.08ha)には胸高直径5cm以上の樹木が54種、幹数1023本、胸高断面積にして551974.3cm^2出現した。高さ1.3m以上の稚樹を含めた樹木は1443本見られ、森林構造の指標となる胸高直径頻度分布は逆J字型を示した。一方、胸高直径5cm以上の樹木に対する剥皮痕は、18種144本(14.1%)に見られ、なかでもリョウブ(65.0%)、カヤ(57.1%)、ヒメシャラ(32.3%)などがよく剥皮されていた。また、胸高直径20cm以上30cm未満の幹の剥皮率がもっとも高く(19.3%)、剥皮の見られた樹幹の91.7%は、胸高直径30cm未満のサイズに偏っていた。調査区内に100×4mのトランセクトを8本設置して、前鬼に生息するニホンジカの生息密度を糞塊除去法で推定したところ、2008年9月のシカ生息密度は11.2頭/km^2、2008年10月は24.0頭/km^2と推定された。調査区における2009年のスズタケ桿密度は0.0023±0.0159本/m^2(平均±SD n=432)で1983年にほぼ同じ場所に設置されていた調査区でのそれは11.3±5.7本/m^2(平均±SD n=184)であり、1983年から2009年にかけてスズタケは極端に減少していた。以上の結果から、現時点で前鬼に生息するシカは林床植生に大きな影響を与えており、スズタケ群落の退行だけでなく、樹木の更新や草本、シダの生育も阻害していると考えられる。剥皮による成木の枯死はまだ顕在化していないが将来的には予断を許さない。
  • 小平 真佐夫, 葛西 真輔, 岡本 征史, 石名坂 豪, 能勢 峰, 秋葉 圭太
    原稿種別: 本文
    2011 年 16 巻 1 号 p. 121-126
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    北海道知床半島において2007年12月から2010年4月までに捕獲された698個体のエゾシカ切歯の切片標本を作製し、顕微鏡下で齢査定した。同半島の北部と東部に当たる知床岬地区と羅臼地区の標本において、5才以下の若齢層、特に2004年・2005年生まれ個体の欠落が認められた。越冬死亡数の経年変化は若齢層の欠落と整合しており、冬期の気候が主な死亡要因であると考えられた。同様の傾向は他の地区では目立っておらず、冬期の環境収容力が同半島内の場所により異なることが示唆された。
保全情報
  • 井之口 文菜, 山崎 和久, 土田 浩治, 高橋 純一
    原稿種別: 本文
    2011 年 16 巻 1 号 p. 127-129
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    Bombus terrestris is a commercialized pollinator in many countries. In Japan, its colonies have been used in numerous greenhouses since 1991. However, new queens escape from the greenhouse colonies easily and naturalize. The invasion range of B. terrestris has been expanding annually. We captured 11 B. terrestris queens in Hamanaka, Akkeshi District, Hokkaido, on 11 June 2010. This is the first record of B. terrestris in this region. Three of the 11 captured queens had pollen cakes on their hind legs, showing that each of these queens had founded colonies in the area. We found the queens on the edge of the Kiritappu wetland. Since B. terrestris is a powerful immigrant, we predict that it will invade the wetland in the near future. B. terrestris also competes with native Japanese bumblebees for several resources (e.g., nesting sites and native flowers for nectar and pollen). Therefore, the invasion of B. terrestris into the Kiritappu wetland will probably pose serious risks for its unique ecosystem, including native bumblebees, plants, and animals.
意見
  • 高槻 成紀
    原稿種別: 本文
    2011 年 16 巻 1 号 p. 131-133
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
    I previously (Takatsuki, 2009) proposed the following question: Although bears are often regarded as umbrella species, is this actually true? So far, I have not been able to find scientific evidence in support of this, and I feel that conservation activities should be based on scientific approaches. Indeed, this opinion is in accordance with that of S. Boutin (2005) in his review of the ecological effects of carnivores in boreal forests of Nordic countries, in which he discussed several effects of bears on ungulates, hares, rodents, and vegetation through cascade effects. Boutin emphasized that a "fine-filter" conservation approach that focuses on particularly charismatic carnivores often overlooks ecological processes and that carnivore-oriented conservation requires large refuges. However, actual refuges are often too small for such large carnivore species, particularly in Europe. Such approaches that focus only on carnivores as umbrella species risk the loss of endangered species or organisms requiring particular ecological processes. For biodiversity conservation, a "coarse-filter" approach that focuses on ecological processes such as wild fires, logging, and succession is more important and effective. Given that the social conditions of Japan in terms of biological conservation are often more similar to those of Europe than of North America, a "coarse-filter" approach may be more appropriate for bear conservation in Japan.
  • 原稿種別: 付録等
    2011 年 16 巻 1 号 p. 135-
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    2011 年 16 巻 1 号 p. App6-
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    2011 年 16 巻 1 号 p. Cover3-
    発行日: 2011/05/30
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル オープンアクセス
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