保全生態学研究
Online ISSN : 2424-1431
Print ISSN : 1342-4327
12 巻, 2 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2007 年 12 巻 2 号 p. Cover1-
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    2007 年 12 巻 2 号 p. Toc1-
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
  • 赤坂 卓美, 柳川 久, 中村 太士
    原稿種別: 本文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
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    北海道帯広市におけるコウモリ相とコウモリ類による橋梁の利用実態(日中のねぐら)を調査した。調査地域内において6属11種のコウモリ類の生息を確認し、うち2属6種において橋梁の利用を確認した。橋梁は裏側の構造に基づいて3タイプに分けられた(平底型:平らで溝が無い、小部屋型:梁により数個の小部屋に仕切られている、縦溝型:細い溝が橋梁と平行に数本ある)。3タイプの橋梁のうち小部屋型および縦溝型の2タイプをコウモリが利用していた。コウモリ類は小部屋型を最も多く利用しており、利用個体数も多かった。縦溝型は単独での利用がほとんどであり、幼獣の利用率が最も高かった。また、縦溝型は利用種数が最も多かった。コウモリ類における日中のねぐらとしての橋梁の利用は、利用するコウモリの繁殖ステージにより、選択する橋梁の構造が異なることが明らかになった。新たな構造の橋梁である合成床板橋の増加によって、コウモリ類のねぐら場所として潜在的に利用可能な橋梁は減少すると推測される。
  • 山田 健四, 真坂 一彦
    原稿種別: 本文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 94-102
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
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    旧産炭地である北海道美唄市近郊の100km^2(10×10km)を対象に、侵略的外来種ニセアカシアの分布域と分布の歴史的背景について調査した。人工衛星画像および現地踏査により、対象地域のニセアカシアの分布面積は0.989km^2(98.9ha)と計算された。1962、73、82、93年の空中写真を判読して土地利用を分類した結果、ニセアカシア分布域は過去に伐採を受けたか、農耕地や炭鉱関連施設等に利用された経歴を持つ場所が多かった。伐採跡地では1962〜73年の間で急速に、農耕地や炭鉱関連施設跡地では1962〜93年の間で徐々に森林化が進んだ。ニセアカシア分布域に隣接する非分布域の森林では、過去に伐採や土地利用の形跡のない森林が25.0%を占め、分布域における11.7%より有意に高かったことから、攪乱を受けない森林ではニセアカシアが進入しづらいと考えられた。これらのことから、森林伐採後の不成績造林地や耕作放棄地、炭鉱跡の空き地など、管理放棄された土地の発生がニセアカシアの分布拡大の誘因となっていることが示唆された。
  • 橋本 佳延, 中村 愛貴, 武田 義明
    原稿種別: 本文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 103-111
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
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    中国原産のトウネズミモチは近年、日本において都市の空地、都市林、里山、都市河川等に逸出、急速に分布拡大していることが確認されており、生育と繁殖力が旺盛で早期に優占群落を形成することから在来の生態系や生物多様性に多大な影響を与える侵略的外来種となることが危惧されている。本研究では都市河川に侵入した外来樹木トウネズミモチの個体群が洪水によって受ける分布拡大への影響を明らかにするために、平成16年10月に大規模な洪水が発生した兵庫県南西部を流れる猪名川低水敷の5.3haの範囲において、その洪水直後と洪水翌年にトウネズミモチ個体群の調査を行い、結果を洪水前に行われた既存研究の結果と比較した。調査ではトウネズミモチの個体数、各個体のサイズ、結実の有無、倒伏状況を記録したほか、空中写真撮影を行い調査地における裸地面積および植被部分の面積を測定した。結果、洪水によって陸域に占める裸地の面積は洪水前に比べ871%拡大し、個体群の主要な構造を形成するサイズ1m以上の個体の1/3が消失した一方で、実生・稚樹個体数は洪水直後の24個体から洪水翌年には49個体に増加した。また洪水によってサイズ1m以上の個体の1/3が倒伏し、洪水後の個体群の平均樹高は洪水前の3.3mから2.2mに低下した。個体群に占める結実個体の割合は洪水翌年が24.5%となり、洪水前の46.8%の約1/2に低下した。洪水翌年における立木個体に占める結実個体の割合は37.5%であったのに対し倒伏個体に占める結実個体の割合は4.5%であった。これらのことから、河川敷のトウネズミモチ個体群は洪水による個体数の減少によってその規模が縮小するとともに、個体の倒伏に伴い結実状況は悪化する一方で、洪水によって形成された裸地に新規個体が参入し、残存個体の繁殖力も立木個体を中心として翌年より緩やかに回復するものと考えられ、洪水によるトウネズミモチ個体群の分布拡大を抑制する効果は軽微であることが示唆された。
  • 高村 健二
    原稿種別: 本文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 112-117
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
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    1960年代後半の茨城県南部におけるメダカ生息適地を生息確認地点情報だけにもとづいて推定した。土地利用を環境変数として多変量解析によりメダカ生息好適度を推定した結果、水田および市街地の存在が生息好適度を増す方向に働いていた。畑地・二次草地・松林の分布も推定に寄与した。推定の信頼度を交差検定により確かめた結果、推定地域における好適度と生息確認地点相対出現頻度との間には正の相関が認められ、推定結果に信頼性のあることが確認された。近年は圃場整備によって水田域が生息に不適となっている可能性があり、また生息地減少によって生息情報が得にくくなっているため、現在の生息適地推定にはそれらの地理情報の充実が必要であると考えられる。
  • 石間 妙子, 関島 恒夫, 大石 麻美, 阿部 聖哉, 松木 吏弓, 梨本 真, 竹内 亨, 井上 武亮, 前田 琢, 由井 正敏
    原稿種別: 本文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 118-125
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    現在、ニホンイヌワシAquila chrysaetos japonicaは天然記念物および絶滅危惧IB類に指定されており、その繁殖成功率は最近30年間で急速に低下している。繁殖の失敗をもたらすと考えられる要因の中で、近年、鬱閉した針葉樹人工林の増加による採餌環境の悪化が注目されつつある。この対応策として、2002年、林野庁は岩手県北上高地に生息するイヌワシの繁殖成績を改善するため、列状間伐による森林ギャップの創出を試みた。イヌワシの採餌環境としての列状間伐の有効性を評価するため、林野庁が試験的に実施した列状間伐区、間伐区と環境が類似している非処理対照区および事前調査によりイヌワシの採餌行動が度々確認された採餌区の3調査区を設け、イヌワシの探餌頻度および北上高地に生息するイヌワシの主要な餌であるノウサギとヘビ類の個体数を比較した。ノウサギ生息密度の指標となる糞粒数は、間伐区において伐採翌年に著しく増加したが、伐採2年後には減少し、3年後には伐採前とほぼ同じ水準まで減少した。ヘビ類の発見個体数は、調査期間を通していずれの調査区においても少なかった。イヌワシの探餌頻度は、調査期間を通して間伐区よりも採餌区の方が高かった。このように、本研究で実施された列状間伐は、イヌワシの餌動物を一時的に増やすことに成功したものの、イヌワシの探餌行動を増加させることはできなかった。今後、イヌワシとの共存を可能にする実用的な森林管理方法を提唱するため、イヌワシの採餌環境を創出するための技術的な問題が早急に解決される必要がある。
  • 島田 泰夫, 松田 裕之
    原稿種別: 本文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 126-142
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    風力発電事業を進める上で、鳥衝突(バードストライク)問題の解決が求められる。本稿では、順応的管理を取り入れた鳥衝突リスク管理モデル(AMUSE:Adaptive Management model for Uncertain Strike Estimate of birds)を提案する。このモデルは、個体群サイズと衝突数をモニタリングし、結果に応じて風力発電の稼動率を調整して衝突率を低減し、保護増殖施策を導入して個体群の成長率を増加させ、個体群の管理を目指すものである。オジロワシは、2004年2月〜2007年1月の間に7個体の衝突死が報告されており、本種を対象とし個体群パラメタを定めた。あらかじめ自然条件下での個体群計算を行い、エンドポイントを定めておく。その後、2通りの成長率シナリオと管理シナリオを用いて、管理モデルの計算機実験を行った。死骸は5日間で消失、死骸発見のための踏査間隔を30日間隔と仮定し、発見数を補正して推定衝突数とした。計算期間は、計画段階5ヶ年、稼働期間17ヶ年の合計22年間とし、3年毎に稼働管理計画を見直して、稼動率と保護増殖措置の有無、管理下における個体群サイズを得た。設備利用率は、北海道における2003〜2005年の実績値から推定し、計算機実験で得られた稼動率を乗じて管理対策による設備利用率とした。あらかじめ損益分岐点となる設備利用率の限界点を求めておき、これを割り込む程度を管理の事業破綻率とした。その結果、エンドポイント(個体群サイズ自然変動幅99.9%区間下限値)達成率を99%以上、なおかつ事業破綻率を10%以下とする条件は以下の通りであった。楽観的シナリオにおいては、2種類の管理シナリオと保護増殖措置の導入条件に左右されなかった。これに対して、悲観的シナリオにおいては、必要に応じて稼働率をゼロにし、なおかつ保護増殖措置の開始を稼働率90%もしくは99%の時点で導入する管理シナリオでのみ達成された。管理を実行していく上で残された課題は、死骸消失実験による消失日数の把握、発見率向上のための衝突自動監視装置等の開発、定期的な死骸踏査、個体群モニタリングによる成長率と個体群サイズ推定、道内営巣つがいによる繁殖成績の把握、事業破綻に備えたリスクヘッジである。
  • 伊藤 千恵, 藤原 一繪
    原稿種別: 本文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 143-150
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    トウネズミモチは、中国原産の外来種で、街路樹などに植樹されてきたが、その後植栽地から逸出し分布拡大している。また、都市域の森林群落ではトウネズミモチの実生個体が多く、将来群生地を形成する可能性のある種である。そのため、生活形の似ている常緑小高木で同属在来種のネズミモチとの比較から、トウネズミモチの侵入の実態をとらえ、生態学的特性を解明するため、都市域森林群落における生育地、種子散布特性、発芽特性、初期生存率についての調査・実験を行った。調査の結果、トウネズミモチはネズミモチに比べ小さな果実(長径:6.55±0.68mm、短径:5.53±0.55mm)を多数つけており、ヒヨドリ、メジロ、シジュウカラなど205個体(総観察時間22.5時間)の採餌が確認でき、ネズミモチに比べ果実採餌鳥類種数、個体数ともに多く観察され、多数の種子が鳥類により野外に散布されていると考えられる。トウネズミモチの発芽は、光条件の影響を受けないことが示されたため、森林群落の林床においても発芽可能であると考えられる。一方、実生の生存率は林内(相対光量子束密度4.1%)と林縁(相対光量子束密度16.4%)で有意な違いがみられた。また、トウネズミモチはロジスティック回帰分析の結果、相対光量子束密度6.3%以上で出現頻度が50%(コドラート面積25m^2)を超えることを示した。DBHも相対光量子束密度と正の相関が得られた。トウネズミモチの出現、成長には、光量が重要な要因としてかかわっていたことから、トウネズミモチは実生の成長段階において光要求性の高い種であることが示された。すなわち、閉鎖林冠下などの光条件が悪い場所では成長の段階で枯死する可能性が高く、新たな定着は難しいと考えられる。一方、実生の生存率が高い光条件が良好な場所では、高い定着率であることが予想され、実生は成木へと成長していくことが十分に可能であり、今後新たに個体数が増加する可能性が考えられる。
  • 大澤 剛士, 赤坂 宗光
    原稿種別: 本文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 151-155
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    多年生草本植物オオハンゴンソウ(Rudbeckia laciniata L.)の地上部を6月に刈り取ることが、植物体に及ぼす影響を調査した。結果、6月の刈り取りは、当年の開花を抑制するものの、地下部を肥大させている可能性が示された。刈り取りを行っていない場所で地下部サイズと花数の関係を調べたところ、地下部サイズと花数の間には高い正の相関が見られた。このことから、年1回6月に刈り取りを行うと、刈り取りを止めた場合に、大量に開花と種子の生産を引き起こしてしまう可能性が示唆された。以上のことより、オオハンゴンソウに対して年1回6月に地上部を刈り取ることは、当年の開花を抑制させる効果はあるが、駆除を目的とした管理手法としては有効とはいえないと考えられた。
  • 船越 公威, 久保 真吾, 南雲 聡, 塩谷 克典, 岡田 滋
    原稿種別: 本文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 156-162
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    奄美大島では大規模なマングースの駆除事業が展開されているが、その駆除を効果的に実施する上でも、マングースの詳細な生息状況と分布を把握することが不可欠である。今回、トラッキングトンネルを利用したマングースの生息状況の把握を試み、その有効性を検討した。予備実験後に、本種の放逐地点から島を縦断する林道を含む計4つの道路沿いで、夏季と冬季の2回にトラッキングトンネルを累計各556、347基設置した結果、マングースの足跡の採取率は各季16.9%、22.5%であった。特に、放逐地点から奄美中央林道沿いの14km地点までの採取率は41.4%、戸口林道沿いでも34.6%の高い値を示し、徹底的な駆除が行われながらも高密度にマングースが生息していることが確認された。この背景には、捕獲ワナを警戒したトラップ・シャイの個体の存在も考えられる。また、放逐地点から30km以上離れた奄美中央林道沿いや奄美北部でも足跡が得られ、分布の拡大が認められた。加えて、マングース以外のノイヌやノネコの足跡が24ヶ所、ネズミ類などの足跡が300ヶ所で採取され、これらによる在来希少種への影響が懸念された。これまでのマングースの駆除事業では大幅なマングース個体数の減少に成功しているが、一方で少数個体によると思われる分布拡大がみられる。極低密度域などでトラッキングトンネルを活用し、マングースの生息有無が確認できれば、駆除事業がより効率的に展開できるものと期待される。
  • 志村 純子, 開 和生, Yunqing Zhang, 松永 恒雄, 白山 義久, 五箇 公一
    原稿種別: 本文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 163-171
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    海洋生物の観測は20世紀初頭から行われており、これまでに蓄積された世界の博物館標本情報や、海洋生態系構成要素の観測情報を全球規模で集約することにより、過去100年以上にわたる期間の海洋生物の動態をモニターするとともに新たに発見された生物種とその分布に関する情報を把握することができる。さらに将来の生態系の変動予測にこれらの観測情報を活用することが期待される。こうした生態系情報の有効活用を目指して、現在200あまりの海洋生物データベース保持機関の国際共同研究により、データベースポータルOBISが稼動している。本論文では、このデータベースポータルの日本側ミラーサイトの現況を紹介するとともに、海洋生物の外来種侵入問題を事例として情報活用のあり方について検討を行った。
  • 井上 真紀, 菊池 玲奈, 石川 聖江, 横山 潤, 鷲谷 いづみ
    原稿種別: 本文
    2007 年 12 巻 2 号 p. 172-175
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    Between May and July 2007, eight queens of Bombus terrestris, which has been introduced as an agricultural pollinator and naturalized over a large area of Hokkaido, Northern Japan, were observed or captured in the Notsuke Peninsula. This area is the most important range of a rare native species, B. florilegus. In early June, we spent 20 hours investigating flower visits by introduced and native bumblebees in the Notsuke Peninsula. A total of 217 queens from seven native species were observed, including six B. florilegus and one B. terrestris queen. Despite the lack of detailed information, B. florilegus, which belongs to the same subgenus Bombus, may have similar ecological characteristics to B. terrestris; such characteristics may include flower use and nesting habitat selection. Therefore, B. terrestris has the potential to negatively affect B. florilegus and is likely to displace it through competition. In addition, these two species have similar hair color patterns, with two yellow bands on the thorax and a white tail. Therefore, the introduced bees should be carefully suppressed in this area.
  • 原稿種別: 付録等
    2007 年 12 巻 2 号 p. 176-179
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    2007 年 12 巻 2 号 p. App6-
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    2007 年 12 巻 2 号 p. Cover3-
    発行日: 2007/11/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
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