保全生態学研究
Online ISSN : 2424-1431
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13 巻, 1 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2008 年 13 巻 1 号 p. Cover1-
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    2008 年 13 巻 1 号 p. Toc1-
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
  • 石田 弘明, 戸井 可名子, 武田 義明, 服部 保
    原稿種別: 本文
    2008 年 13 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    兵庫県、大阪府、埼玉県の都市域に残存する孤立化した夏緑二次林において緑化・園芸樹木の逸出種のフロラを調査した。兵庫県では31地点、大阪府では19地点、埼玉県では16地点の夏緑二次林を調査した。逸出種の出現種数はいずれの地域についても30種を超えており、3地域をまとめたときの総出現種数は60種であった。逸出種の出現種数の70%以上は鳥被食散布型種であったことから、緑化・園芸樹木の夏緑二次林への侵入は主に果実食鳥の種子散布によっていると考えられた。逸出種の中には在来種が数多く含まれていたが、その種数は逸出外来種の2倍以上であった。逸出種の出現種数と夏緑二次林の樹林面積との関係を調べたところ、いずれの地域についてもやや強い正の相関が認められた。また、兵庫県の夏緑二次林で確認された逸出種の出現個体数と樹林面積の間にも同様の相関がみられた。しかし、逸出種の種組成に基づいて算出された各二次林のDCAサンプルスコアと樹林面積の間には、いずれの地域についても有意な相関はみられなかった。このことから、逸出種の種組成に対する樹林面積の影響は非常に小さいと考えられた。兵庫県の夏緑二次林でみられた鳥被食散布型の5種(シャリンバイ、トウネズミモチ、コブシ、トベラ、ヨウシュイボタノキ)について、樹林の林縁部から同種の植栽地までの最短距離を算出し、その距離と出現個体数および分布との関係を解析した結果、ほとんど全ての個体は植栽地から200m以内の樹林に分布しており、これらの種の夏緑二次林への侵入には植栽地からの距離が大きく関係していることが示唆された。これらの知見に基づいて、緑化・園芸樹木の夏緑二次林への侵入・定着を抑制するための方法を提案した。
  • 伊藤 祥子, 広木 幹也, 小林 隆人, 谷本 丈夫
    原稿種別: 本文
    2008 年 13 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
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    湿原の湿原植生の保全方法の確立を目的とし、福島県の駒止湿原における、湿原集水域での耕作地造成のための森林伐採が湿原内のョシ群落高におよぼす影響を調べた。湿原集水域のブナ林の土壌は、地表より埴質壌土のA層とその下層に埴土のB層からなる適潤性褐色森林土(偏乾亜型)B_D(d)であった。一方、湿原集水域の放棄耕作地は埴土の耕耘層とその下層に埴土のB層が認められ、これらはブナ林のB層に土色や土色が類似していた。放棄耕作地に接する湿原周縁部のヨシ群落では、泥炭層の上に放棄耕作地と類似した粘土質の土壌が堆積していた。放棄耕作地を通り抜けて湿原へ流れ込む流水路沿いのヨシの群落高は、森林を通り抜けて直接湿原へ流れ込む流水路沿いよりも高かった。表層土壌のEC、灰分率およびpHについては、放棄耕作地を抜けて湿原へ流れ込む流水路沿いの方が高かった。駒止湿原において放棄耕作地を通り抜けて湿原に流れ込む流水路沿いのヨシの群落高の方が森林を通り抜けて直接湿原へ流れ込む流水路沿いよりも高かったのは、放棄耕作地から無機物に富んだ鉱物質の土壌の湿原へ流入した結果であることが判り、湿原の集水域となっている森林が湿原への土砂の流入を防ぐなど、湿原植生にとって重要な役割を果たしていることが示唆された。
  • 澤田 佳宏, 窪田 圭多, 八代 裕一郎, 西脇 愛, 津田 智
    原稿種別: 本文
    2008 年 13 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
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    山火事跡地に航空実播工による牧草播種がおこなわれた場所に成立する植生の種組成を明らかにすることを目的として、山火事による二次林焼失地において、山火事から5ヶ月後(航空実播工施工前)と航空実播工施工から3年4ヶ月後の植生を調べた。山火事から5ヶ月後には、主に焼損木からの萌芽と、一部が種子の発芽によって、植被率1〜17%の植生が成立していた。この植生は、主に「二次林の種」や「林縁・伐採地の種」から構成されていた。航空実播工施工から3年4ヵ月後には、植栽由来の種、とくにシナダレスズメガヤが優占する植被率80%〜95%の植生が成立していた。山火事跡地に航空実播工が施工された場所では、牧草1種が優占する群落が成立し、この牧草群落は航空実播工の施工後数年間にわたって持続するものと考えられた。
  • 尾崎 研一, 堀江 玲子, 山浦 悠一, 遠藤 孝一, 野中 純, 中嶋 友彦
    原稿種別: 本文
    2008 年 13 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
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    オオタカ(Acciviter gentilis)の個体群を保全するためには、その分布と生息数を把握する必要がある。本研究では、オオタカの営巣数を予測する生息環境モデルを作成し、得られたモデルを用いて関東地方とその周辺の10都県における営巣数の分布を予測した。関東地方にある88個のメッシュ(5×5km)の全域でオオタカの営巣場所を探索した結果、182の営巣場所を発見した。生息環境モデルには、これらの各メッシュ内の営巣数を目的変数とし、平坦地面積、市街地面積、森林面積、林縁から200m以内の開放地面積を説明変数とするポアソン回帰を用い、モデルの係数は赤池の情報量基準による複数モデル推測により推定した。作成されたモデルは逸脱度の57%を説明し、データに対して良いあてはまりを示した。モデルによる予測値を静岡県と茨城県全域の繁殖状況調査結果を用いて検証した結果、静岡県の山地に位置する4メッシュを除いた全ての繁殖メッシュで、モデルにより営巣が予測(予測営巣数>0.5)された。以上の結果より、今回のモデルを用いて、関東地方全域の営巣数の分布傾向を予測できると考えられる。作成されたモデルより、関東地方の各メッシュにおける予測営巣数を算出した結果、メッシュあたりの平均営巣数は1.25、全メッシュを合計した予測営巣数は2、909(95%信頼限界:1、699〜5,196)であった。繁殖個体数は個体群保全を行う上で重要な情報であるが、今回の推定値は信頼限界が大きいこと、過大推定かもしれないことを十分に考慮して保全に利用する必要がある。
  • 福本 一彦, 勝呂 尚之, 丸山 隆
    原稿種別: 本文
    2008 年 13 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    栃木県大田原市羽田ミヤコタナゴ生息地保護区のミヤコタナゴの減少原因を明らかにするため、羽田産マツカサガイ及びシジミ属の産卵母貝適性実験を行った。その結果、羽田産マツカサガイは久慈川産マツカサガイに比べて産卵母貝としての利用頻度が低く、産着卵数が少なく、かつ卵・仔魚の生残率も著しく低いことが確かめられた。また、シジミ属は産卵母貝としての利用頻度が低く、産卵しても孵化しないことが裏付けられた。以上の結果から、1990年代後半の羽田ミヤコタナゴ個体群の急激な衰退の過程において、水源の水質悪化によって引き起こされたマツカサガイの生理的異常に起因するミヤコタナゴの産卵頻度の低下と、卵・仔魚の生残率の大幅な低下が重要な役割を演じた可能性が高いと考えられた。
  • 林 加奈子, 山田 俊弘
    原稿種別: 本文
    2008 年 13 巻 1 号 p. 55-64
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    管理放棄された竹林が分布を拡大し、周囲の二次林や人工林へ侵入しているという報告が多数ある。そこで我々は、竹林の適切な管理や竹林拡大予想のための基礎的な情報である竹林の分布拡大と地形[斜面凹凸度(尾根、斜面、谷)と斜面傾斜(平地、緩傾斜、急傾斜)]の関係の解明を目指した。調査は熊本県戸島山で行った。1982年と2003年時点での戸島山南部分約13haの植生図を、空中写真解析、現地踏査、聞き取り調査により作成した。この植生図にグリッドサイズを10m×10mに調整した方眼網をオーバーレイし、各グリッドについて竹林の分布のある/なしを決定した。また同様に2千5百分の1の地形図に10m×10mに調整した方眼網をオーバーレイし、各グリッドの地形的属性[斜面凹凸度(尾根、斜面、谷)と斜面傾斜(平地、緩傾斜、急傾斜)]を決定した。そしてこれらのグリッドデータを用いて1982年から2003年の間の竹林の拡大のある/なしと地形的属性の関係を解析した。統計的解析には、空間的な自己相関を考慮した竹林分布拡大のコンピューターシミュレーションを行い、このシミュレーションで導出された分布拡大と地形の関係を、竹林が集中性だけを保ち、地形とは独立に分布を広げた場合の帰無分布として用いた。その結果、竹林の拡大は斜面凹凸度では斜面で、斜面傾斜では平地で有意に早く、尾根地形および急傾斜地で有意に遅いことが分かった。したがって、竹林管理では、拡大速度が速い斜面および平地を優先的に管理することで、竹林の拡大を効果的に抑えることができることが分かった。
  • 柳 洋介, 高田 まゆら, 宮下 直
    原稿種別: 本文
    2008 年 13 巻 1 号 p. 65-74
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    房総半島の森林において、シカが土壌の物理環境へ与える影響とその因果関係を明らかにするための広域調査と野外操作実験を行った。広域調査では、シカ密度と森林タイプ(スギ林、ヒノキ林、広葉樹林)の異なる林で、土壌硬度やリター量といった土壌の変数と、下層植生の被度や斜度などの環境変数を調査した。このデータをもとに、パス解析とBICを用いたモデル選択を行い、因果関係を推定した。スギ林においては、シカ密度はリター量や土壌硬度に何ら影響を与えていなかった。ヒノキ林では、シカ密度が下層植生被度の減少を通して土壌硬度を上昇させ、リター量を減少させる間接的な経路が検出されたが、広葉樹林では、シカ密度が土壌硬度に直接影響する経路が選択された。操作実験では、スギ林とヒノキ林においてシカの嗜好性植物の刈り取り処理を行った。その結果、ヒノキ林では、嗜好性植物の除去が土砂やリター移動量を増加させ、土壌硬度を上昇させたが、スギ林では広域調査と同様に、そうした影響は検出されなかった。以上の結果から、シカが土壌の物理環境へ与える影響は森林の樹種構成によって大きく異なること、また土壌の物理性の変化については、雨滴衝撃や土砂移動によって地表面にクラスト層が形成されていることが示唆された。こうした土壌環境の改変は、生態系のレジームシフトを助長する可能性があり、今後詳細な研究が不可欠と思われる。
  • 藤本 征司
    原稿種別: 本文
    2008 年 13 巻 1 号 p. 75-87
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    地球温暖化が樹木フェノロジーに及ぼす影響を推定するために、暖温帯に位置する静岡大学上阿多古フィールドにおいて、広葉樹29種の葉フェノロジーの観察を7〜10年間行い、開芽晩期到達目や平均落葉日の有効積算温量法による予測法について検討した。開芽晩期到達日については、有効積算温量法により直接推定するよりも、開芽初期到達日までを有効積算温量法を用いて推定したのち、それに展葉期間(推定値)を加算して推定する方が、その推定誤差が小さくなった。有効積算温量法を用いた平均落葉日の予測結果については、落葉樹15種中7種で、統計的に有意と判断された。以上の推定法を用いて、気温が一律1〜4℃上昇した場合に、フェノロジーが受ける影響について試算した結果、気温が1℃上昇する毎に、開芽初期到達日が平均3.4日早まり、落葉樹の平均落葉日が平均6.2日遅れ、落葉樹の光合成期間が、平均10日長くなると推定された。
  • 村中 孝司
    原稿種別: 本文
    2008 年 13 巻 1 号 p. 89-101
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    日本の外来植物(維管束植物)のリスト(合計2,237種)に基づき、外来植物の原産地、導入用途、確認年代を文献によって検討した。外来植物のうち用途では雑草1,022種、鑑賞863種、薬370種、食306種、牧草224種、木材・繊維等161種、緑化125種の順に多かった(ただし複数の用途等を持つ種を含む)。外来植物のうち原産地別では1601-1867年(江戸時代)には東アジア原産の種が多いのに対し、明治以降にはヨーロッパまたは北アメリカ原産の種が多かった。19世紀半ば以前における外来植物は主に観賞用の種であったが、1801年以降には牧草、および緑化植物の種数も増加した。緑化植物のうち34.40%がヨーロッパ原産の種と最も高い割合を示していたが、東アジア原産の種も32.80%とそれに次いで高かった。雑草とされる種(1,022種)は、1801年(江戸時代後期)以降に急速に増加し、そのうち36.69%がヨーロッパ原産と最も高かった。1860年代および1950年代前後に外来植物の侵入が急増していた。各年代の外来植物の原産地と用途は当時の貿易や日本国内の産業的需要を概ね反映していることが明らかにされた。
  • 佐藤 綾
    原稿種別: 本文
    2008 年 13 巻 1 号 p. 103-110
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    ハンミョウ(コウチュウ目ハンミョウ科)は、山道や河原などの裸地に見られる肉食性の昆虫である。成虫は、昼間に裸地上を走り回って、アリなど小さな節足動物を捕らえて食べる。一方で幼虫は、地面に縦穴を掘って、入口に頭を出して待ち伏せし、通りかかった小動物を捕らえる。海辺に生息する海浜性ハンミョウは、日本では6種類見られ、同じ海岸に複数種が共存することもある。近年、護岸などの人為的改変によって自然海岸が激減し、それに伴い海浜性ハンミョウの絶滅が危惧されるようになった。一方で、海浜性ハンミョウを自然海岸の指標生物として注目し、天然記念物に指定するなどの保全対策を打ち出す地方自治体が出てきた。本稿では、海浜性ハンミョウについて、その生態、現状、減少をもたらす要因、そしてその保全対策について紹介しつつ、海浜性ハンミョウに注目した自然海岸の保全対策を打ち出すことの意義を強調したい。
  • 中村 誠宏, 奥田 篤志, 日浦 勉
    原稿種別: 本文
    2008 年 13 巻 1 号 p. 111-120
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    森林生態系におけるC0_2濃度上昇は主に葉の光合成や呼吸などの植物の生理活性への影響について研究されてきた。一方、地球温暖化による温度上昇は高緯度になるほど高くなり、様々な生態系プロセスに影響を及ぼすことが指摘されている。つまり、温暖化に対する生態系の応答は異皆既が非常に高く、直接及び間接効果となって複雑に働く可能性がある。野外操作実験は生態系のある一つの要因を変化させることで、生態系全体の応答をみる手法である。その応答は直接及び間接的な影響の結果である。これまで中心的に行なわれてきた室内実験や数理モデルでは解明できない新しい知見を得るには、この操作実験を試みることが必要だろう。近年、世界各地において温暖化に関する操作実験が行われるようになってきた。この総説では温暖化の森林生態系への影響に関して、1)まず温暖化の間接効果と異質性について説明を行った。次に、2)世界各地で行われている多様な操作実験を紹介するとともに、これまでに得られた結果を統合して地球規模での温暖化の影響パタンを見た。また、3)将来の操作実験で行うべき方向性を探り、最後に、4)現在北海道大学苫小牧研究林で行っている操作実験を紹介した。これら操作実験による結果は、これから猛スピードで起こる温暖化への対策を講じるために是非とも必要なものになるであろう。
  • 辻田 有紀, 遊川 知久
    原稿種別: 本文
    2008 年 13 巻 1 号 p. 121-127
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    遺伝的多様性を確保しつつ野生植物の自生地復元を実施するためには、栄養繁殖ではなく、種子繁殖での個体増殖が望ましい。ところが、ラン科植物では、自生地に種子を播種し、個体を増殖することが困難である。ラン科の種子は、自然条件下での発芽に共生菌からの養分を必要とするため、生育に好適な共生菌のいる場所に播種しなければ発芽しない。しかし、自生地で共生菌が生育する場所を特定することは非常に難しい。共生菌が生育する場所を特定するためには、種子を入れた袋を地中に埋設し、定期的に回収することで発芽を観察する野外播種試験法が有用である。そこで本報では、絶滅が危惧されているマヤランとサガミラン(サガミランモドキ)を対象に、野外播種試験を行った。その結果、一部の試験区で多くの発芽が観察され、自生地における共生菌の分布を特定することができた。さらに、発芽に好適な深さや時期なども推定でき、野外播種試験法の有用性が示された。本手法は、ラン科植物の自生地内保全を行う上で実践的な技術となるばかりでなく、発芽の環境や種子休眠など、学術的な知見も得られる有用な手段として、幅広い応用が期待できる。
  • 大西 尚樹, 金澤 文吾, 長久保 義紀
    原稿種別: 本文
    2008 年 13 巻 1 号 p. 129-135
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    四国のツキノワグマは生息数が数十頭以下と推定され絶滅が危惧されているが、正確な生息状況は不明である。私たちは四国におけるツキノワグマの生息情報を収集するために、ヘアートラップから回収された体毛をもとに個体識別を行った。また、それと並行して電波発信機による行動圏調査のための捕獲を行った。ヘアートラップは2003年5月〜2005年12月にかけて3台設置した。回収された体毛からDNAを抽出し、PCR法をもちいてマイクロサテライトDNA領域10遺伝子座の遺伝子型を決定した。また、アメロゲニン遺伝子領域の遺伝子型より性別を決定した。 2005年7〜9月にラジオテレメトリーによる行動圏調査のために2頭のオスと1頭のメスを捕獲した。ヘアートラップから体毛36サンプルが回収された。そのうちマイクロサテライトDNA領域の遺伝子型が8遺伝子座以上決定されたのは17サンプルであった。これら17サンプルのうち、1サンプルおよび2サンプルが、それぞれ捕獲オス2個体の遺伝子型と一致した。4サンプルは遺伝子型から捕獲されていない1頭のオスと判定された。メスの捕獲個体のものと推定される体毛は確認されなかった。これは捕獲メス個体の行動圏内にヘアートラップが設置されていなかったためと考えられた。ヘアートラップを用いることによって、捕獲することなく生息情報を収集できることが確認された。
  • 原稿種別: 付録等
    2008 年 13 巻 1 号 p. App6-
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    2008 年 13 巻 1 号 p. Cover3-
    発行日: 2008/05/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
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