農作業研究
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42 巻, 4 号
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研究論文
  • 東城 清秀, 落合 志穂, 田中 治夫, 鈴木 創三, 渡辺 兼五
    2007 年 42 巻 4 号 p. 189-198
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    近年,多様な有機性廃棄物を再資源化してリサイクルすることが進められている.このような有機性資源化物は分解や無機化が遅く,作物に対する栄養素としての効果が現れにくいことから,時には過剰な量が圃場に施用されている.本論文では,作物栽培試験と成分分析試験によって得られたデータを基に,有機性資源化物の特色と性質を総合的に理解するための評価法とその表示法について検討した.有機性資源化物の肥料として,牛糞堆肥,屎尿汚泥堆肥,屎尿汚泥熱分解物を供試して,化成肥料と比較試験を行った.栽培試験では,有機物の分解率と肥効率を考慮して,関東地区の窒素標準施肥量を基に,その1倍から4倍までの施用量の試験区を設定した.収穫した作物および栽培後の土壌の養分は標準分析法に従って分析した.データの主成分分析から得られる主成分得点によって,供試肥料の特徴を示すことができた.さらに,自己組織化マップを用いることにより,有機性再資源化物を施用した場合の作物への影響や環境負荷の類似性や傾向を,一層視覚的に表現できることを示した.
  • 石川 一憲, 馬場 正
    2007 年 42 巻 4 号 p. 199-204
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    ブルーベリーの挿し木接ぎを,ラビットアイ系品種の‘ティフブルー’を台木とし,穂木にハイブッシュ系品種の‘ジャージー’,‘スパータン’を用いて行い,台木太さ(4,6,8mm)が活着,発根および苗生育に及ぼす影響について調査した.
    1)萌芽から新梢の伸長停止までの期間は台木が細いほど早かった.また,新梢の伸長停止から二次伸長までの期間は,台木が太いほど早くなる傾向にあった.
    2)地上部新梢の長さや太さおよび節間長は‘ジャージー’では,8mmないしは6mm前後の台木を用いた場合が長く,太い新梢になり,乾物重も重かった.
    3) 発根率は‘ジャージー’では6mmないしは8mm前後の台木が高かった.また,活着率の劣った‘スパータン’ではカルス発生が多かった.
    4) 挿し木接ぎ苗で発根のよい苗を得るには,通常の挿し木苗で必要な3ヶ月では足りず,それ以上の養成期間を必要とした.
    これらの結果から,供試した品種の組み合わせにおいては,ハイブッシュブルーベリーの挿し木接ぎ苗の活着や生育には6mm程度の台木を用いるのが適当であった.  
研究報文
  • 石川 一憲, 馬場 正
    2007 年 42 巻 4 号 p. 205-212
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    ブルーベリーの挿し木接ぎにおける台木系統および接ぎ木時期が活着,発根および生育に及ぼす影響について検討した.
    1)台木系統による活着率の違いを明らかにするため,‘バークレー’の穂木をラビットアイ系品種の‘ホームベル’,‘ウッダード’ないしはハイブッシュ系品種の‘ジャージー’,‘スパータン’に接いだところ,いずれも70%以上が活着したが,穂木・台木を同一とした‘スパータン’台は活着率が劣った.発根率は,‘ジャージー’台が高かった.新梢生育は,‘ウッダード’台が他に比べて短かったが,いずれの台木も4月下旬頃に伸長停止がみられ,二次伸長開始は5月中旬頃からであった.
    2)‘ホームベル’台に‘スパータン’を接いで接ぎ木時期と台木基部の切り返し時期の違いによる活着率をみたところ,1月中旬に接いで台木基部を切り返してから2ヶ月間冷蔵したものが,挿し木直前や1ヶ月前に接いで冷蔵し当日に台木基部を切り返したものより優ったが,いずれの場合も発根率は低かった.
    これらの結果から,供試した台木の範囲内では,‘スパータン’台を除き,いずれの台木も挿し木接ぎに適することが明らかとなった.また,接ぎ木は1月中旬がよく,同時期に台木基部の返し切りを行い,挿し木時まで貯蔵することにより,活着率を高めることが明らかとなった.
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