ビーグルの心電図に関する基礎資料を得る目的で,10~11か月齢のビーグル81頭の心電図をA-B誘導で記録し,以下の結果を得た。
1.呼吸性の不整脈が多くのビーグルにみられた。脈の不整が軽度になるに従って頻脈となる傾向がみられ,本質的には呼吸性の不整脈が常態のリズムと考えられた。不整脈となるか否かは,記録時の環境および条件に対する感受性が個体によって異なるためと思われた。
2.A-B誘導の波形はP陽性,Rs型QRS群,T陽性が標準波形と考えられたが,QRS群には多様の型がみられ,T波にも二相性がみられた。さらにST部分は多くの例で偏位していた。しかしこれらの標準波形と異なる波形が異常か否かは判然としなかった。
3.他の研究者のビーグルのデータと比較して,興奮伝導時間およびP,R,Tの電位にはほとんど差がなかった。しかしS波の電位には相違がみられ,系統によって少なからず,波形に変異があることを示唆するものであった。
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