動物の循環器
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36 巻, 1 号
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原著
  • 五味 由紀子, 鈴木 健志, 田中 綾, 町田 登
    2003 年 36 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2003年
    公開日: 2005/08/03
    ジャーナル フリー
    犬の正常心と肥大心について心臓各部重量ならびに心筋細胞の断面積と長さを計測し,正常心での計測値を設定するとともに,肥大心筋の形態計測学的特徴を特に心筋細胞レベルで明らかにすることとした。検索材料として非心疾患41例(正常群),僧帽弁閉鎖不全症13例(MR群;うち5例が軽度MR群,8例が中等度~重度MR群),大動脈弁下狭窄症5例(AS群),拡張型心筋症3例(DCM群),肥大型心筋症3例(HCM群),ならびに僧帽弁腱索切断により実験的に作出したMR 5例(実験的MR群),計70例の心臓を用いた。各種心疾患群の心臓重量 (g)/体重(100 g) 比は正常群 (0.734) を29~93%上回っていた。左心室重量/心室重量比についてはいずれも0.727~0.750の範囲にあり,正常群との間に差は認められなかった。心筋細胞断面積(左心室壁内・中・外層および右心室壁)は軽度MR群,中等度~重度MR群,DCM群およびHCM群で正常群(270~328 μm2)を13~137%上回っていたが,実験的MR群では有意差は認められなかった。心筋細胞の長さ(左心室壁内・外層および右心室壁)については中等度~重度MR群,実験的MR群,DCM群およびHCM群で正常群 (178~179 μm) を7~14%上回っていたが,軽度MR群およびAS群では有意差は認められなかった。以上の結果から,肥大心では負荷のタイプにかかわらず左右の心室がほぼ同等に肥大すること;MR症例はその初期には心筋細胞断面積のみの増加(圧負荷心肥大パターン)を,そして中期~末期には心筋細胞の断面積と長さの増加(圧負荷心肥大と容量負荷心肥大の合併パターン)を示すこと;実験的MR症例は心筋細胞の長さのみの増加(純粋な容量負荷心肥大パターン)を示すこと;AS 症例は心筋細胞断面積のみの増加(純粋な圧負荷心肥大パターン)を示すこと;DCMおよびHCM症例では心筋細胞の断面積と長さがともに増加していることが明らかになった。
  • 村上 隆之, 内田 和幸, 浜名 克己
    2003 年 36 巻 1 号 p. 18-26
    発行日: 2003年
    公開日: 2005/08/03
    ジャーナル フリー
    過去の報告例29例を含む54例のウシの結合体における心大血管系の形態について検索した。二顔体21例は全例とも単一心であった。二頭体19例のうち,2例は大血管間に吻合が存在する2個の分離心,他の2例は吻合が存在しない分離心,4例は心房部が融合した結合心,他の4例は心房部と心室部が融合した結合心,7例は単一心であった。胸結合体8例のうち,4例は吻合が存在しない分離心,1例は心房部の結合心,3例は単一心であった。頭胸結合体5例のうち,2例は吻合が存在する分離心,1例は心房部と心室部の結合心,2例は単一心であった。殿結合体の1例は吻合が存在しない分離心であった。33例中14例の単一心には種々の心奇形が認められた。分離心が存在する結合体には一般的に2体分の肺と胃が存在し,単一心の結合体には1体分の肺と胃が存在していた。
CASE REPORTS
  • 田中 綾, 平尾 秀博, 清水 美希, 小林 正行, 島村 俊介, 町田 登, 丸尾 幸嗣, 山根 義久
    2003 年 36 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 2003年
    公開日: 2005/08/03
    ジャーナル フリー
    PDAのコイルオクルージョンが我が国で実施されるようになってから3年あまりが経過し,概ね良好な成績が得られているものの,中にはコイルの流出などの合併症を引き起こしている症例もみられる。今回はコイルの固定が不十分なためコイルオクルージョンを断念した円筒型のPDAの2症例について検討を行った。両症例とも造影後にPDAのコイルオクルージョンの実施を試みたものの,通常の漏斗状のPDAにみられる弁状構造がないためコイルの固定がより困難となり,コイルオクルージョンを断念せざるを得なかった。また,今回の2症例では,いずれも造影によりPDAがはっきりと造影されず,この点においても漏斗状のPDAとは異なる所見が得られた。造影が困難な症例はコイルオクルージョンに適していないと考えることも一つの判断基準として有用であると考えられた。
  • 竹村 直行, 中川 清志, 広瀬 昶
    2003 年 36 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2003年
    公開日: 2005/08/03
    ジャーナル フリー
    A four-year-old spayed female domestic shorthair cat, weighing 4.0 kg, was presented for episodic shortness of breath. The cat was diagnosed with hypertrophic cardiomyopathy based on the results of physical, electrocardiographic, radiographic and echocardiographic examinations. A large free-floating ball thrombus was also detected in the left atrium on echocardiography. Although medical therapy for heart failure was initiated, the cat died of acute pulmonary edema 36 days after presentation.
CLINICAL NOTE
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