動物の循環器
Online ISSN : 1883-5260
Print ISSN : 0910-6537
ISSN-L : 0910-6537
35 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 小林 正行, 町田 登
    2002 年 35 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2002年
    公開日: 2005/06/28
    ジャーナル フリー
    レースバトにみられるスポーツ心臓の本態を形態学的側面から明らかにする目的で,レースバト48羽とその同一種であるドバト65羽を用いて心臓および心筋細胞の形態計測を実施した。その結果,心臓重量・体重比に関しては3か月齢から成鳥に至るまでレースバトがドバを15.3~16.8%上回っていた。左心室の壁面積に関して両者に有意差は認められなかったが,内腔面積はレースバトがドバトを29.7%上回っていた。また,心筋細胞断面積および心筋組織内の毛細血管密度については両者間に有意な差はみられなかったが,心筋細胞の長さに関しては3か月齢から成鳥に至るまでレースバトがドバトを16.2~20.1%上回っていた。これらの所見から,レースバトのスポーツ心臓は長距離ランナーの特徴とされる遠心性肥大の範疇に属するものであること,ならびにそのような形態的特性は生まれながらにして備わっている形質であることが明らかになった。
  • 原田 拓真, 橋本 政敏, 三井 雄史, 加賀 伸彦, 尾畑 賢臣, 望月 英典
    2002 年 35 巻 1 号 p. 13-24
    発行日: 2002年
    公開日: 2005/06/28
    ジャーナル フリー
    Class III 抗不整脈薬の amiodarone で生じる甲状腺機能低下状態の長期間持続が心電図に及ぼす影響を評価するために,甲状腺摘出ラットを長期間飼育し,甲状腺機能低下時の心電図変化を甲状腺摘出後70週まで追跡した。血中甲状腺ホルモン値は甲状腺摘出後1週より有意に低下し,観察終了時まで低値のまま持続した。一方,心電図検査では,摘出後1週より心拍数低下とQT間隔の延長が有意に認められたが,摘出後1及び70週のQT延長率に差は認められず,甲状腺機能低下状態の長期間持続によるQT延長の増悪はなかった。また,甲状腺摘出動物のQT間隔,心拍数と各甲状腺ホルモン値は有意な相関を示したことから,これらの心電図変化は甲状腺ホルモンの低下に起因することが示された。摘出後70週までに死亡あるいは切迫屠殺に供された7例と生存例のQT間隔に明らかな差は認められず,また,全期間の心電図検査で不整脈が認められなかったことから,死因とQT延長に伴う致死性不整脈の関連性は考えにくかった。
  • 今別府 和成, 村上 隆之, 内田 和幸, 浜名 克己
    2002 年 35 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2002年
    公開日: 2005/06/28
    ジャーナル フリー
    心大血管奇形のウシ632例中6例に房室弁交叉心臓が新たに6例認められた。全例とも心房位正位で房室結合一致であった。2例は心室大血管結合一致で,他の4例は両大血管右室起始であった。これら全例の心臓に上下の心室配列は見られなかったが,種々の心大血管奇形が合併していた。
  • 福島 隆治, 市川 和世, 平林 美紀, 良井 朗子, 良井 久, 小林 秀俊, 松崎 智彦, 矢田 治郎, 小山 秀一, 廣瀬 昶, 内野 ...
    2002 年 35 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 2002年
    公開日: 2005/06/28
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study was establishment of conditions to measure blood pressure by a oscillometric method in dogs. For this study, 27 dogs and noninvasive blood pressure taking instrument for animal (BP100D) were used. This study got the following results. There were not significant differences between each blood pressure value measured in a foreleg, a hind leg and a tail. However, as for the time before measured value of blood pressure fell, and being stable, the measurement with a tail was shortest in about 5 minutes. The hair of measurement region did not influence a value of blood pressure. The value of blood pressure in the same animal was not influenced in circadian rhythm by heart rate and rhythm. As for the value of blood pressure in the same animal, it was not influenced by environment of the measurement. However, as for the time before measured value of blood pressure fell, the measurement in an accustomed kennel was shortest in about 5 minutes. These results suggest that the oscillometric method is suitable for measurement of blood pressure in dogs using a tail in the environment where dogs can be relaxed, and we can use values of blood pressure after five minutes from start of the measurement.
  • 小山 秀一, 福島 隆治, 良井 久, 小林 秀俊, 中田 義禮, 内野 富弥, 廣瀬 昶
    2002 年 35 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 2002年
    公開日: 2005/06/28
    ジャーナル フリー
    オシロメトリック法による新しい自動血圧測定システムを用いた動物用の血圧計が開発された。この血圧計(BP100D, フクダエム・イー工業株式会社)の有用性について検討した。実験には4頭のビーグル犬(平均年齢5.8歳,平均体重9.2 kg)を用いた。無麻酔下で本血圧計により間接法で測定した収縮期血圧,平均血圧および拡張期血圧と,直接法(頸動脈に留置したカテーテル)で測定した血圧とを比較した。直接法と間接法による血圧測定値には,収縮期圧,平均血圧および拡張期圧のいずれにおいても有意に高い相関性が見られた(p<0.01)。相関係数(r)は,収縮期圧が最も高く(r=0.908), 次いで平均血圧(r=0.853), 拡張期圧(r=0.800), であった。また,この血圧計を用いて測定者4人が5回繰り返し測定した値のばらつきも小さかった。以上のように本装置は無麻酔下のイヌの血圧測定に適していることが示された。
  • 廣瀬 昶
    2002 年 35 巻 1 号 p. 48-51
    発行日: 2002年
    公開日: 2005/06/28
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種乳牛において乳量と心拍数の関係を検討した。妊娠していない泌乳期または乾乳期の健康な乳牛11頭を用いた。安静状態であると見なした乳牛の心電図から1分間あたりの心拍数を求めると共に、その日の搾乳で得た牛乳の重量を乳量として相関関係を分析した。その結果,乳牛における乳量と心拍数の間に有意な相関関係が認められた。
症例報告
feedback
Top