動物の循環器
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51 巻, 2 号
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総説
  • 原田 拓真
    2018 年 51 巻 2 号 p. 61-66
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/25
    ジャーナル フリー

    薬物誘発性のTorsades de Pointes (TdP)は致死性の多形性心室頻拍であり,1990年代から2000年代に多数報告がなされ,医薬品市場から撤退あるいは開発のハードルとなってきた。この状況に対応すべく,各国の医薬品規制当局と製薬業界で構成される医薬品規制調和国際会議(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use; ICH)では,QT間隔の延長をTdPの代替マーカーとして評価するための手法をガイドライン化し,非臨床試験評価法として浸透してきた。その後,一つのチャネル評価のみではイオンチャネルの総和としての催不整脈作用を評価しきれておらず,また,QT間隔の延長評価では催不整脈作用が直接評価されていないために,有望な医薬品候補化合物がドロップアウトするという弊害も明らかになってきた。そこで,近年,in vivo試験およびin silico(コンピュータを用いた予測)などを用いた新たな評価系が模索されつつある。本稿では,現在の薬物誘発性不整脈評価方法を紹介するとともに,今後の展望を紹介する。

Full Paper
症例報告
  • Atsushi SAKATANI, Ryota AKABANE, Yuichi MIYAGAWA, Naoyuki TAKEMURA
    2018 年 51 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は雑種ネコ,去勢雄,5歳齢であり,持続的な高窒素血症を主訴に来院した。腎盂腎炎による急性腎不全(または慢性腎臓病の急性増悪)と診断した。胸部X線検査では,心臓の左室領域での石灰化像が認められた。また,2次元心エコー図検査では,心筋の顆粒状高エコー像を伴う左室壁の肥厚が認められた。この顆粒状パターンは,心アミロイドーシスのヒト患者で認められることがある。著者らの知る限り,今回の所見はネコでの心エコー図検査所見において初めての報告だと思われる。
  • 鋤柄 緑, 宇治 正憲, 小林 正行, 木村 勇介, 町田 登
    2018 年 51 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/25
    ジャーナル フリー

    心底部に骨肉腫が発生したミニチュア・ダックスフンド,13歳,避妊雌について報告する。本例は発咳と活動性の低下を主訴に来院し,X線検査にて心陰影の拡大と胸水および腹水の貯留,心エコー図検査では心膜液の貯留が認められた。この心膜液は漸次増量し,第15病日に心タンポナーデをきたした。心膜穿刺により血様の心膜液が採取され,心臓腫瘍が疑われたことから,その確認と心膜切除を目的に第22病日開胸手術を実施した。右房外側後部に暗赤色で表面滑沢な腫瘤状病変(径1.5 cm)が見いだされたが,後大静脈壁に固着していたため切除は困難であった。なお,細針吸引生検では有意な細胞成分は見いだされなかった。心膜切除術後に活動性や食欲は改善し,それ以降は小康状態を保っていたが,初診より1年1カ月後,腫瘤は顕著に増大し(6×3.5 cm),呼吸状態が著しく悪化したことから安楽死処置が施された。剖検では,心臓腫瘤は心底部を広範に巻き込んでいたが,心臓の形態は概ね良好に保持されており,心腔内への伸展は見られなかった。腫瘤の組織学的検索では,多形性の両染性~弱好酸性胞体を有する骨芽細胞様細胞がシート状に増殖し,破骨細胞様細胞の出現と多量の類骨基質の形成を伴っていたことから,骨肉腫と診断された。

  • 橋爪 拓哉, 菅野 信之, 大島 奈公子, 高智 正輝, 田村 亮太, 松浦 功泰, 榎園 昌之, 長久保 大, 鈴木 陽彦, 山田 修作, ...
    2018 年 51 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/25
    ジャーナル フリー

    Acute pulmonary edema due to mitral regurgitation can be a life-threatening condition that requires urgent intervention in dogs. A 9-year-old chihuahua with severe mitral regurgitation presented at the hospital with pulmonary edema on the day of surgery. Mitral valve plasty (MVP) under cardiopulmonary bypass with ultrafiltration to control edema was performed as scheduled. Pulmonary edema disappeared immediately after the surgery. This result suggests that MVP with ultrafiltration may be effective in dogs with severe acute pulmonary edema.

臨床ノート
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