動物の循環器
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28 巻, 1 号
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  • 佐藤 恵一朗, 茶谷 文雄, 佐藤 秀蔵
    1995 年 28 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    本実験において我々は4系統のラット(SHR, WKY, Wistar, F344)と1品種のウサギ(JW)を用いて,血圧測定用テレメトリー送信機埋め込み手術後2あるいは3週間にわたって体重,平均血圧および心拍数を測定し,それらの測定値に及ぼす手術の影響と回復性を調べた。
    WistarおよびF344の腹腔内に送信機を埋め込んだ場合,いずれも術後2~3日までは体重が減少したが,その後回復し,術後3週目には無処置対照群と同等になった。Wistarの腹腔内あるいは背部皮下に送信機を埋め込み,術後の体重変化を比較した結果,背部皮下に送信機を埋め込んだ場合の方が腹腔内埋め込みに比べて手術直後の体重減少が少なく,回復も早かった。また,SHR, WKYおよびJWにおけるテレメトリー送信機埋め込み手術2週後の体重は,手術時の体重以上あるいはそれとほぼ同等の数値を示し,これらの動物においても体重の回復性が確認された。
    ラットでは腹腔内,ウサギでは側腹部皮下に送信機を埋め込んだ場合,いずれも手術の翌日には平均血圧および心拍数の高値がみられたが,術後1週以降は明暗期平均値が安定した。また,術後1週間における平均血圧および心拍数の日内変動はラットおよびウサギのいずれにおいても乱れていたが,術後2週間目にはWKYの平均血圧を除くすべての項目で暗期に高値を示す夜行性動物特有の日内変動を明確に確認することができた。
    したがって,テレメトリー送信機埋め込み手術の後,体重の点ではラットで3週間以上,ウサギで2週間以上,血圧および心拍数の点ではラット,ウサギともに,1週間以上の術後回復期間を設定することにより,実験に供することが可能であると結論する。
  • 日高 勇一, 町田 登, 中村 孝, 桐生 啓治
    1995 年 28 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    犬糸状虫寄生のみられた野生タヌキ5頭の肺動脈について病理学的検索を行なった。主要な血管変化は肺動脈幹および左右肺動脈にみられた絨毛状の内膜増生であった。このような血管病変は全肺葉に分布する弾性型の肺内肺動脈にもみられたが,とくに右後葉に多発していた。一方,筋型の肺内肺動脈においては絨毛状内膜増生を伴わない線維性・細胞性の内膜肥厚および中膜肥厚が観察された。これら犬糸状虫寄生のみられた野生タヌキにおける肺動脈病変は犬糸状虫寄生犬にみられる肺動脈病変と質的には一致していたが,量的にはイヌのそれに比べてより重度であった。
  • 向井 真, 樫田 陽子, 町田 登, 中村 孝, 桐生 啓治
    1995 年 28 巻 1 号 p. 17-26
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    高齢犬20例(10-18歳)を対象として,大動脈各部の病理学的検索を行なった。肉眼的に17例の大動脈の内膜面に粗造感が認められ,そのうち6例は内膜面に丘陵状の白斑形成を伴っていた。顕微鏡的には内膜,内弾性板および中膜に病理組織学的変化が観察された。内膜には著明な肥厚がみられ,その内膜肥厚を構成する主要な成分によって(i)平滑筋細胞主体,(ii)膠原線維主体,(iii)平滑筋細胞および膠原線維の両者による二層構造を示す内膜肥厚の3つに大別された。内弾性板には部分的消失,断裂,細片化,重複化,石灰沈着などの変化がみられ,内膜病変に随伴していた。中膜においては水腫性変化,膠原線維増生,線維化が,一連の過程として観察された。特に中膜の線維化は,内膜肥厚が顕著な例に多く見出された。内膜,内弾性板及び中膜の各病変は,加齢に伴い,また,近位部から遠位部に向かうに従って重篤さを増す傾向を示した。今回観察された大動脈の形態学的変化は,ヒトの老齢性動脈硬化症にみられる病変と一致していた。
  • 鵜澤 巨樹, 矢用 健一, 局 博一, 菅野 茂
    1995 年 28 巻 1 号 p. 27-43
    発行日: 1995年
    公開日: 2010/03/05
    ジャーナル フリー
    1.成熟ウサギにおいても,鼻腔内への蒸留水刺激(38℃)によって,無呼吸,徐脈,末梢動脈圧の上昇,左室内圧の一過性上昇とそれに引き続く低下によって代表される著明な呼吸循環反射が誘発されることが明らかになった。この反射は生理的食塩水(38℃)の作用では不明瞭であった。
    2.上述の反射は両側の上喉頭神経および舌咽神経を切断した動物でも生じたことから,反射の刺激部位は主に鼻腔内にあり,また求心路として三叉神経が関与することが示唆された。
    3.蒸留水のかわりに等張グルコース溶液(6%)を鼻腔内に作用させたときには,生理食塩水の場合と同様に明瞭な呼吸循環反射を誘発することができなかった。このことから,水溶液の浸透圧差が反射を誘発する直接の原因であることが示唆された。
    4.12℃の生理食塩水を鼻腔に作用させると弱いながらも類似した呼吸循環反射が出現したことから,水の温度も刺激の一因になることが示唆された。
    5.人工呼吸下で呼気位において呼吸を一過性に停止させると,心拍数の減少,末梢動脈圧,左室内圧および左室内圧微分波の低下が観察された。一方,人工呼吸下で呼吸を維持しながら鼻腔内に蒸留水を作用させると,軽度の心拍数の減少,末梢動脈圧,左室内圧の軽微な上昇および左室内圧微分波の軽微な低下が観察された。これらの成績から,自発呼吸下の蒸留水刺激で認められる著しい心拍数減少は呼吸抑制に起因する二次的な抑制効果と呼吸に依存しない一次的な抑制効果が重なり合って発現するものと考えられる。
    6.無呼吸の発現性は,自律神経遮断薬の投与によっては影響を受けなかったが,心拍数の減少はアトロピンで,末梢動脈圧の上昇はフェントラミンで,左室内圧微分波の初期の上昇はプロプラノロールの投与によって明瞭に抑制された。これらの成績から,心臓に対しては副交感神経と交感神経の両方の緊張が同時に作用するが,副交感神経の緊張が優位に作用することが示唆された。また,末梢動脈圧の上昇は交感神経の緊張を介してなされることが明らかになった。
  • 若尾 義人, 井本 雄太, 陰山 敏昭, 渡辺 俊文, 水野 昌子, 鷲塚 章, 森谷 孝雄, 石川 亮吉, 武藤 眞, 鈴木 立雄, 高橋 ...
    1995 年 28 巻 1 号 p. 44-51
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    大動脈狭窄症と診断されたゴールデン・レトリバー種3例に対して,バルーンを用いた弁口拡大術を実施した。術前の各検査所見では,1例は心雑音以外に臨床症状は認められなかったが,2例では運動不耐性あるいは肺水腫が認められた。狭窄の程度を反映する大動脈流速(AOF)は3例共6.0m/sec以上を示すと同時に,圧較差も70.2―189.0mmHgと極めて上昇していた。バルーンカテーテルは7F~9Fを,体重に合わせて選択した。頸動脈からカテーテルを狭窄部位に挿入留置し,バルーンを膨隆させて狭窄を解除した。
    解除後AOFは,術前と比較して1.0~3.0m/sec低下すると同時に,圧較差も30.0~107.0mmHg低下した。術後の経過では,3例ともに再狭窄は認められず,本法の有用性が示唆された。しかしながら,3例中1例に術後,僧帽弁狭窄が確認されたことから,予後に関しては定期的な検査を実施する必要性が考えられた。
  • 森田 晴夫
    1995 年 28 巻 1 号 p. 52
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
  • 広瀬 昶
    1995 年 28 巻 1 号 p. 53
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
  • 中田 義禮
    1995 年 28 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
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