動物の循環器
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30 巻, 1 号
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  • 土井口 修, 坂田 美和子, 吉本 明美, 土井口 勝, 高橋 健, 松山 琢哉
    1997 年 30 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/03/05
    ジャーナル フリー
    動物病院に来院した1歳以上の健常成犬74頭を対照として,重症度に評価された僧帽弁閉鎖不全症の犬58頭につき,それぞれの心機能,特に収縮機能,拡張機能の評価と血圧測定を行った。その結果を以下に要約する。
    1)僧帽弁閉鎖不全症では高度になるにつれてFSが増大した。このことは前方駆出量を増加させるため過収縮(hyperkinetic motion)が生じていることを示唆した。また高度の症例ではEFが減少する傾向が認められた。
    2)高度の僧帽弁閉鎖不全症では,左房圧の上昇による拡張期の左房―左室圧較差の上昇が原因でE波の尖鋭化(Vmaxの増高)を示し,またA波では左室拡張末期圧の上昇による後負荷不整合(afterload mismatch)の結果,A波の減少をきたしA/E比の偽正常化(pseudonormalization)が生じた。
    3)IVSdとLVPWdには大きな変化はないものの,LVIDdとLVIDsでは高度において著明な拡張が見られ,心不全への徴候が示唆された。
    4)血圧では,高度な例においてEFの低下で示された前方駆出量の減少により,収縮期血圧および拡張期血圧ともに低下しているのが確認できた。
    以上の成績から,犬においても僧帽弁閉鎖不全症において心エコー図を用いた心機能評価が臨床的に有用であることが明らかになった。
  • 桑原 正貴, 菅野 茂
    1997 年 30 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    ブタの冠循環動態を含めた心血管系機能の特性を明らかにするために,心筋虚血誘発法として虚血性心疾患の診断や実験に使用されている,右心房ペーシング負荷を行うことによって,冠循環を含めた心血行動態の反応に関して高脂肪食給与による影響に関して検討を加えた。セットアップ完了時の対照値は,高脂肪食群に比べて対照群の方が高値を示す傾向にあったが,いずれのパラメーターにも有意な差は認められなかった。ペーシングによる影響についてみると,MAPとLVSPは両群ともにペーシングによって低下する傾向が認められたが,その程度は高脂肪食群の方が大きかった。一方,LVdP/dt maxとCBFはペーシングによって初期には両群とも増加する傾向が認められたが,高脂肪食群ではその増加が小さく,しかもペーシング開始60-120秒後にはもとのレベルまで戻った。しかし,両群ともにいずれのパラメーターもペーシング前値に比べてペーシング中および終了後の値に有意な変化はみられなかった。
    心臓の収縮力とそれに必要な基質およびエネルギーを運搬する冠血流量との間には密接な関係があると考えられることから,心収縮力(△%LVdP/dt max)と冠血流量(△%CBF)との相関関係をもとめた。対照群では有意な相関関係がみられが,高脂肪食群ではその様な関係は認められず,心臓の仕事量に相応する冠血流量が供給されていないことが示された。以上の結果から,高脂肪食を給与することによって冠循環に対する予備力が低下するために,右心房ペーシング等の負荷に対する心血管系の抵抗力が減弱するものと考えられた。
  • 松山 琢哉, 石川 憲一, 松山 史子, 金井 孝夫
    1997 年 30 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    1.咳と腹部膨満を主訴とする10才の雑種犬,雄において,臨床的に心タンポナーデを招来した症例を経験した。治療は内科的療法にとどまり経過観察を行っていたが,第22病日に死亡した。
    2.一般臨床検査に加え心エコー図検査を施行した結果,4腔断面図において心臓と心膜との間にエコーフリースペースと心臓の圧迫縮小がみられ,収縮早期に右房壁の内方運動が認められた。また大動脈基部短軸レベルにおいても同様のエコーフリースペースがみられ,右室壁の拡張早期の内方運動も認められたことから,心タンポナーデに特徴的な所見と解釈し,診断した。
    3.本例は治療に制限がつき外科的治療を行えないまま死亡したが,心タンポナーデに対し可能な限り心膜液の除去を第一次選択として施行すべきと再確認した。
    4.剖検において,心基部領域に約3×2×2.5cmの腫瘍がみられ,心房とくに右心耳への圧迫が観察された。また,肉眼的に腫瘤表面には明らかな破綻部位はなかったものの,腫留の割面で一部に黒色調の出血部位があり,この領域が心外膜に達し心膜腔内に出血した可能性がもっとも高いと考えられ,出血した血液が心膜腔内に充満し,機能的な概念である心タンポナーデを招来したものと考えた。
    5.心タンポナーデに対する心エコー図検査の評価は,病理所見の支持も得られ臨床診断としての心エコー図検査の診断根拠となる所見が確認でき,さらに無侵襲な点を加え,その循環動態の把握においても有用な検査方法であることが示唆された。
  • 呼吸音の分類を中心に
    竹村 直行
    1997 年 30 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    1.臨床の現場で様々な弊害が出る可能性があため,呼吸音の分類および表記法を統一する必要がある。
    2.正常呼吸音の特徴を解説した。これらの音は減弱しても増強しても異常所見として扱う必要がある。
    3.人医学では,乾性および湿性ラッセルはそれぞれ連続性ラ音および断続音と表記法が改められつつある現状を述べた。また各ラッセル音の発生機序および特徴を簡単に要約した。
    最後に,本稿が混乱する呼吸音の分類および名称を整理・理解する一助になれば幸いである。
  • 1997 年 30 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 30 巻 1 号 p. 34
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/12/07
    ジャーナル フリー
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