動物の循環器
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47 巻, 1 号
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総説
  • —心筋の電気的活動について—
    髙橋 新音, 上地 正実
    2014 年47 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
    心臓血管系の役割は生命維持に必要な物質を輸送することである。その輸送システムに障害が生じると生命活動の破綻を招く恐れがある。臨床獣医師にとって不整脈の発生機序,心臓薬や自律神経刺激の作用機序理解のための基礎となる心臓生理を学ぶことは動物の生命維持活動を維持するために非常に重要である。心筋の微細構造から心筋細胞内の活動電位について臨床と関連づけながら解説した。
症例報告
  • 安東 賢太郎, 中村 裕二, 曹 新, 渡辺 雄大, 小原 浩, 中瀬古(泉) 寛子, 杉山 篤
    2014 年47 巻1 号 p. 7-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
    我々はビーグル犬にSeldinger法を用いて大腿動静脈に種々のカテーテルを挿入し,心血行動態や心臓電気生理学的指標の同時計測を行い,多数の薬物の心臓電気薬理学的作用を20年以上にわたり評価してきた。今回,同様にSeldinger法を用いて大腿動脈にカテーテルイントロデューサーを挿入した際に,外腸骨動脈に裂孔を形成し,同部位からの出血による死亡例を経験した。このような事例は初めてのことである。本例は心臓カテーテル検査のために6週間前に穿刺と止血を行った履歴はあるが,通常と変わることはなかった。しかしながら,この時の止血操作が大腿動脈の狭窄を誘発し今回の事故の原因となったと考えられた。Seldinger法による大腿動脈穿刺はヒトだけでなく,獣医臨床の場でも近年一般的に使用され得る手法であることから,注意を喚起する意味で報告する。
  • 照沼 澄恵, 小野 高弘, 松川 拓哉
    2014 年47 巻1 号 p. 13-17
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
    猫の犬糸状虫症は無症状のことが多く,その確実な診断や治療法については依然不明な点が多い。今回我々は痙攣発作を伴う犬糸状虫症の猫に遭遇し,最終的に剖検と全身的な病理組織検査を行い検討した。症例は雑種猫17歳で不妊済雌。各種予防は不完全で体重2.5 kg (BCS2)であった。2カ月前に腎不全と診断された。夏の暑い日に屋外で失神し虚脱状態で来院した。その後治療中に強直性痙攣を呈した。両眼の散瞳と網膜剥離および血色素尿を認め,犬糸状虫抗原検査を実施したところ陽性であった。また,FIV抗体陽性であった。その後,覚醒を保ったまま痙攣を止めることができず,飼い主と協議の結果,安楽死となった。剖検では胸水や腹水等は認めず,各種臓器は腎萎縮と肺の内出血のみを確認した。病理組織診断は,尿毒症の重度血管変性による多臓器不全,脳底部の髄膜腫とそれに伴う髄膜炎とのことであった。右心室腔内には犬糸状虫が2隻観察された。右肺,後葉の肺内動脈の主幹には犬糸状虫の死滅虫体が塞栓していた。肺内肺動脈の内膜は絨毛状に増殖し,内腔はほぼ消失していた。以上の点から,猫の犬糸状虫症では,重度の血管病変や肺病変がありながら,ほとんど呼吸器症状や心不全の兆候を認めない例もあることを改めて認識させられた。
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