日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
第15回秋季シンポジウム
選択された号の論文の493件中451~493を表示しています
  • 川部 和広, 蔵岡 孝治, 矢澤 哲夫, 小西 明男, 谷上 嘉規, 若林 肇, 平尾 一之
    p. 451
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    ゾルゲル法によるイオン伝導性有機-無機ハイブリッド膜の研究を行った。有機成分と無機成分はπ-π電子相互作用により、ナノスケールで化学的に均質となり、作製した膜の耐水性はポリマーへのアクリル基の導入により改善された。
  • 蔵岡 孝治, 矢澤 哲夫
    p. 452
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    シリカマトリックス中に液晶分子を分散した無機-有機ハイブリッドをゾル-ゲル法により作製した。作製した無機-有機ハイブリッドゾルは、π-π相互作用のため透明で均一であった。このゾルをゲル化後、焼成することにより、超微細孔(1nm以下の細孔)をもつことが窒素吸着の測定結果により明らかとなった。
  • シワダムロンクポーン ソムサック, 小出 学, 松下 和正
    p. 453
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    都市ごみの焼却過程で発生する飛灰は、高濃度の重金属または塩化物を含んでいる。さらに、その塩化物はダイオキシンに変形できる。ガラス化法は塩化物処理法の一つである。本研究は塩化物含有CaO-Al2O3-SiO2ガラス系融液の還元雰囲気中における高温での電気伝導度測定を目的とする。塩化物が増加につれて電気伝導度は増加し、電気伝導のための活性化エネルギーが減少するという結果を示した。導入した塩化物は非架橋酸素数を減少させ、ガラスネットワーク中に隣接するCa2+イオンと結合していると考えられる。
  • 神山 直明, シワダムロンクポーン ソムサック, 小出 学, 松下 和正
    p. 454
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    近年、最終処分場の不足が深刻化してきており、焼却残渣の減容化·安定化に優れた溶融処理が注目されている。しかし、還元雰囲気下で溶融すると都市ごみより由来する塩化物を含有したスラグが得られることが知られている。塩化物を含有したスラグについての研究はほとんど行われておらず、塩化物がスラグに与える影響は明らかにされていない。最終処分場に埋め立てる場合や再資源化する際に、スラグの化学的耐久性は非常に重要となる。本研究ではスラグに類似した組成のガラスに塩化物を含有させ、そのガラスの化学的耐久性を粉末法にて調査した。その結果、塩化物を含まないガラスよりも、塩化物を含有するガラスの化学的耐久性が良いことが分かった。
  • 紅野 安彦
    p. 455
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    重元素系酸化物ガラスに共通する特徴は、屈折率が高く、低フォノンエネルギーであることであり、比較的高いガラス形成能を有しながら多くの興味ある結晶相が析出可能であることもよく知られている。本研究では、光機能の発現にガラスの結晶化を利用することの利点として、(1)既設されている通信用光ファイバーであるガラス材料との接続性が単結晶光学材料に比べて優れていること、(2)結晶化により誘起される非線形光学特性が実用レベルで遜色ないこと、(3)結晶化という半永久的な変化により光学素子としての安定性·長期信頼性を有すること、の3点を挙げ、光機能材料創製を目的とした研究を進めた。
  • 板倉 伸行, 角野 広平, 赤井 智子, 山下 勝, 矢澤 哲夫
    p. 456
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    X線や紫外線などの高エネルギー光照射によるカラーセンター(欠陥)の生成と加熱による消滅を用いたガラスの着脱色を利用して、リサイクルに適した着色ガラスの作製を目指している。種々の波長にてエキシマーレーザー照射を行い、ソーダライムガラスのカラーセンター生成に及ぼす効果について検討を行った。カラーセンターによる着色濃度は、ArFエキシマーレーザー照射の場合に最も高くなり、XeFエキシマーレーザー照射の場合に最も低くなった。ガラス中の鉄イオンはカラーセンターによる着色を抑制した。
  • 小西 智也, 本戸 孝治, 荒木 哲夫, 西尾 圭史, 土屋 敏雄, 松本 壮央, 末原 茂, 轟 眞市, 井上 悟
    p. 457
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    自動ガラス合成評価装置等を用いたコンビナトリアル手法を導入し、P205-TeO2-ZnO系のガラス形成組成域、諸特性の組成依存性を調べた。ガラス形成組成域はP205が40mol%の範囲で確認された。ガラス転移温度はZnO含有量が多いほど高くなる傾向を示した。試料は組成により透明∼赤色を呈し、TeO2の含有量が多いほど赤みが濃くなる傾向を示した。また、SEM観察により数十nmサイズの粒子が観察されたことと、XPS分析で構成元素のうちTeのみが0価と+4価の2種類の結合状態で検出されたことから、試料の赤色発色はTeのコロイド着色によるものであると考えられる。
  • 若杉 隆, 門口 卓矢, 田中 勝久, 大田 陸夫
    p. 458
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    二段階熱処理によって測定された核の数密度とDTAにより求められた結晶化ピーク温度の関係を得るためにLi2O·2SiO2ガラスの結晶化挙動の数値解析を行った。この解析では核の臨界半径の温度依存性を考慮した。その結果、結晶化に寄与する核の大きさは昇温速度に依存し、二段階熱処理によって得られる核の数密度とDTA測定における結晶化に寄与する核の数密度は異なることがわかった。
  • 逆井 基次, 清水 悟史
    p. 459
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    Berkovich圧子を用い各種のシリケートガラスの時間依存粘弾性変形と流動を研究する。ガラス転移温度近傍でのガラス物質粘弾性研究において、ミクロ検出器としてのピラミッド鋭角圧子の優位性が示される。実測された各種粘弾性関数に基づく考察より、ガラス転移温度近傍でのガラス微構造はシリカ鎖からなるクラスター集合体であると推察される。
  • 渡辺 康弘, 鹿島 直敏, 和田 隆博
    p. 460
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    Sr2Fe(Mo1-XNb-X)O6 with x=0.0-1.0の結晶構造と磁気的性質を評価した。Nbの固溶量の少ないX=0.0-0.6の試料ではBサイトに存在する(Mo, Nb)とFeの秩序配列を示す超格子ピークがX線回折図形の2θ=19°付近に観察され、これらの試料が二重ペロブスカイト構造を持つことがわかった。それに対して、Nbの固溶量が多いX=0.7-1.0の試料では超格子反射が観察されず、Bサイトイオンが無秩序配列した単純ペロブスカイト構造であることがわかった。Nbの固溶量の少ないX=0.0-0.6の試料では低温において磁化率が急に増大し、フェリ磁性体であることがわかった。それに対して、X=0.7-1.0の試料ではでは30K以下で磁化率が減少し、反強磁性的に転移しすることがわかった。この低温における磁気転移をより詳細に検討するためにZFC(ゼロ磁場冷却)とFC(磁場冷却)で磁化率の測定を行ったところ。転移温度以下でZFCとFCで磁化率にヒステリシスが観測され、Sr2Fe(Mo0.2Nb0.8)O6は低温でスピングラスに転移することがわかった。
  • 脇谷 尚樹, 篠崎 和夫, 水谷 惟恭
    p. 461
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    演者らはMOSトランジスタのゲート上に作製した強磁性体薄膜の残留磁化の向きにより電流電圧を変調させる新しいデバイスを提案している。このデバイスでは記憶状態での残留磁束密度が大きいためには材料の飽和磁化(Ms)が大きく、ヒステリシスループの角形比(Mr/Ms)が高いことが必要である。本研究ではバッファー層(BL)の最適化により、理論的限界(87%)に近い高角形比を有するエピタキシャル(Ni, Zn)Fe2O4(NZF)薄膜を作製することを目的とする。NZF薄膜[膜厚: 120nm]を, YSZ[8nm], CeO2[15nm]および(Al2O3を添加したMgO)[10nm]によるBL((MgO-Al2O3)/CeO2/YSZ/Si(001)構造)上に成膜した。NZF薄膜の配向性は((1-x)MgO-xAl2O3)/CeO2/YSZのBLにおけるAl2O3添加量により大きく変化する。Al2O3添加量xが0≤x<15mo1%の場合、NZFは(001)配向のエピタキシャル成長する。xが15≤xmol%ではNZFは(111)配向のエピタキシャル成長をする。Al2O3添加量xによるNZF薄膜の角形比の変化から、NZFの角形比は(111)配向で大きく、(001)配向で小さくなる。(111)配向NZF薄膜の角形比は少なくともxが40mo1%まで増加し、理論的限界値に漸近する。一方、xが100mo1%に近づくと角形比は逆に低下した。
  • 京免 徹, 山崎 龍太郎, 伊藤 満
    p. 462
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    1673-1073Kの温度領域を急冷および徐冷した二つの試料LaMn0.5Co0.5O3について、粉末X線回折およびTG-DTA測定を300-1500Kの温度領域で行った。急冷試料、徐冷試料はそれぞれ430、530Kで斜方晶から菱面体晶への構造相転移を示した。構造相転移温度および格子定数は両試料で異なり、その違いは急冷試料において平均イオン半径の小さいMn3+/Co2+イオンが多いためであるとして理解できた。
  • 竹本 稔, 笠原 正志, 井川 博行
    p. 463
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    La0.6Sr0.4MnO3の組成の複合マンガン酸化物に酸化物SiO2、V2O5、Bi2O3またはCuOをモル比でLa0.6Sr0.4MnO3:MOx=100:8(MOxは添加した酸化物)となるよう添加したセラミックスを作製した。SrやLaを含む不純物が生成し、組成変動が考えられた。電気抵抗率は無添加試料が最も高く、SiO2、CuO、V2O5、Bi2O3添加試料の順に急激に低下した。無添加試料ではTc付近で磁気抵抗は僅かな極大を示し、CuO添加試料も同様であった。それ以外の添加試料ではそれらのTc付近で明瞭に極大値を示した。これら磁気伝導特性の変化は添加に伴う組成変動だけではなく、微細構造の変化にも由来すると予想された。
  • 入江 寛, 谷内 敏之, 大越 慎一, 橋本 和仁
    p. 464
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    Bi6Ti3Fe2O18単結晶を育成し、その磁気特性、強誘電特性、それらの相互作用による強誘電-磁気効果の構造異方性を検討した。Bi6Ti3Fe2O18は常磁性体であるが、極低温領域(∼15K)での磁化率-温度プロットから、a(b)軸方向には反強磁性的な相互作用が観察された。一方、c軸方向には観察されなかった。c軸方向では強誘電ヒステリシスループが認められ、強誘電特性を示した。またa(b)軸方向に磁場2500Oe印加すると、残留分極値が0.183μC/cm2から0.214μC/cm2へと増大し、強誘電-磁気効果が観察された。
  • 洲脇 弘典, 山口 十志明, 坂本 渉, 余語 利信, 菊田 浩一, 平野 眞一
    p. 465
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    Sr2FeMoO6はキュリー点が高く、室温において低磁場での巨大磁気抵抗効果が期待できるため、磁界センサー材料としての実用化に有望なCMR物質である。しかし、この物質の電気的特性の起源となるBサイト中のFeとMoの規則性を高めるためには通常、高温·長時間の加熱処理が必要であり、薄膜の作製においては膜質の劣化を招く可能性が高い。本研究では、化学溶液法を用いることにより、化学組成を精密に制御し、より低温域でCMR効果を有するSFMO薄膜を作製することを目的とした。
  • 清水 完, 水上 智, 脇谷 尚樹, 松山 勝美, 篠崎 和夫, 水谷 惟恭
    p. 466
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    強磁性体薄膜の残留磁化によってMOSトランジスタのI_D-V_D特性の変調を目指した動作可能性を検討した. 演者らはこれまで, 外部磁場がMOSトランジスタに与える影響について調べてきた. 今回はMOSトランジスタのゲート部にMnZnFe2O4薄膜, CeO2/YSZバッファー層導入エピタキシャルMnZnFe2O4薄膜をPLD法により成膜し, エッチング·リフトオフプロセスを用いて成形した. 強磁性体薄膜の残留磁化が与えるMOSトランジスタのソース∼ドレイン間電流(I_D-V_D特性)への影響について調べたので報告する.
  • 有持 祐之, 脇谷 尚樹, 篠崎 和夫, 水谷 惟恭
    p. 467
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    電界効果トランジスタのゲート酸化膜として, 強磁性体薄膜Ni0.17Zn0.20Fe2.64O4(NZF)を, バッファー層[3%Al2O3-MgO]/CeO2/[8%Y2O3-ZrO2]を介して成膜した, 新しい不揮発性メモリーの提案を行った. 積層した薄膜の厚さはそれぞれ, 180, 10, 10, 10nmで, すべての層がエピタキシャル成長していた. 積層した薄膜をフォトリソグラフィーと湿式エッチングでゲート上のサイズで100μmx100μmに形成した. 得られたデバイス構造体磁性体薄膜部を, 外部磁界により面内方向の異なる方向に磁化した. ゲート電圧を可変しながらソース-ドレイン間の電流(ドレイン電流)を測定したところ, ゲート電圧が4.0∼5.0Vの時, 磁性体の磁化方向によってドレイン電流が約400μA程度変化し, メモリー動作が示唆された.
  • 水上 智, 清水 完, 桜井 修, 脇谷 尚樹, 篠崎 和夫, 水谷 惟恭
    p. 468
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    FET型トランジスタのS-D間を流れる電流と強磁性体の磁束密度によって発生するローレンツカを用いることでS-D間の電流の制御を試みている。MOSFET基板上にNi-Znフェライト、Fe薄膜をKrFエキシマレーザー、YAGレーザーを用いたPLD法で作製をした。本研究ではゲート付近上により多くの磁力線を集める構造体として、ゲートの両脇に対向パターン、回路パターンと称する磁性体構造を提案した。さらにこれら2つのパターンのゲート直上にSiO2を除去してNi-Znフェライト[100nm]を成膜した構造体を作製した。作製されたトランジスタについては0.4∼0.6Tの外部磁場で磁化反転させてId-Vd特性を測定した。
  • 菱田 俊一, 金 相変, 羽田 肇
    p. 469
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    イオン照射により非晶質化したBSCC薄膜の加熱再結晶化·超伝導化挙動について検討した。BSCC薄膜は、Bi:Sr:Ca:Cu=2:2:1:2の組成に調製したセラミックターゲットを用いたPLD法により、MgO及びSrTiO3上に作製した。非晶質化は液体窒素で冷却しながら、O+イオンにより150keV, 60keVの2段階照射により、熱処理は空気中500℃∼850℃1時間で行った。結晶性は薄膜X線回折、伝導特性は4端子法により評価した。SrTiO3基板上に形成した薄膜に非晶質化処理を加えることにより、その後の熱処理で、ゼロ抵抗温度が上昇し、BSCC薄膜の超伝導特性が向上した。
  • 岡元 智一郎, 高田 雅介
    p. 470
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    GdeBa2Cu3O7-δのセラミックス線材に、室温で、ある値以上の電圧を印加すると、線材の一部分のみが赤熱する現象が現れる。我々は、これをホットスポット現象と名付けた。本現象は、様々な機能物性を有し、定電流発生素子や酸素センサ等の機能デバイスヘの応用が期待できる。しかし、デバイスの実用化のうえで、線材のホットスポット部分での溶断が問題となっていた。最近、BaAl2O4を複合化させることにより、線材が溶断し難くなることがわかってきた。そこで、本研究では、GdBa2Cu3O7-δとBaAl2O4との複合線材を作製し、酸素センサとしての特性を評価した。
  • 茨木 靖浩, 岡元 智一郎, 高田 雅介
    p. 471
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    我々の研究グループは、室温においてLnBa2Cu3O7-δ(Ln:希土類元素)セラミックスの線材に閾値以上の直流電圧を印加すると、線材の一部分のみが赤熱する現象を見出し、これをホットスポット現象と名付けた。最近、ホットスポットに関する新規物性として、低酸素分圧下でホットスポットを発生させると、超低周波の振動電流が発生する現象を見出した。本研究では、振動電流の発生機構を調査することを目的とした。その結果、本現象は、線材中に存在するPTCRおよびNTCR領域の温度が増減を繰り返すことによって、線材全体の抵抗が変化することに起因すると考えられる。
  • 高橋 尚武, 野口 祐二, 宮山 勝
    p. 472
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    チタン酸ビスマス(BIT)の格子欠陥の生成とその電気特性に与える影響をBIT単結晶を用いて調べた。フラックス法で合成した単結晶体を用い、アニールによる格子定数の変化と導電率の酸素分圧依存性をa(b)軸方向とc軸方向について調べた。その結果BITの格子定数は、空気中1000℃でのアニールにより徐々に減少した。これは、アニールによりビスマスが格子から揮発したためだと考えられる。導電率の酸素分圧依存性の測定では、700℃においてa(b)軸方向には酸化物イオン伝導性が、c軸方向にはホール伝導性という軸方向によって大きな伝導機構の異方性が観察された。この結果は、BITの持つ層状構造に由来することが示唆された。
  • 木村 武, 秋山 賢輔, 舟窪 浩
    p. 473
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    (111)Si基板上とβ-FeSi2初期層上にMOCVD法でβ-FeSi2エピタキシャル薄膜の作製を行った。Si基板上にMOCVD法で直接成膜を行うと、XRDの結果は(101)/(110)強配向な薄膜が得られるものの、他の配向のピークも確認された。そこで、Feターゲットを用いたRFマグネトロンスパッタリング法で作製したβ-FeSi2初期層上にMOCVD法で成膜を行った。初期層は(101)/(110)配向しており、粒形の細かい緻密な層であった。オーバーグロースの結果、初期層の配向を維持したまま明解な粒が確認できない均一な薄膜が得られた。またこの薄膜の表面凹凸は初期層の無いものよりも小さくなっていた。
  • 単 躍進, 手塚 裕之, 三浦 いずみ, 手塚 慶太郎, 井本 英夫, 伊藤 満
    p. 474
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    秩序ペロフスカイト型酸化物Cd3TeO6は六十年代の後半に初めて合成され、その後、Von Hans-Georg Burckhardtらにより結晶構造を解明され、E. D. Politovaらによって誘電特性を調べられたが、最近の十数年はほとんど注目されなかった。我々がこの物質を取り上げて合成温度および雰囲気の調整や、2価カドミウムイオンの微量一価、三価陽イオン(In3+, La3+, Bi3+, Na+, Li+)で置換したCd3-xAxTeO6単結晶、多結晶体の合成を試み、Cd3TeO6への電子ドーピングを実現し、それらの物質が良伝導性および熱電特性を有していることを明らかにした。
  • 稲垣 良昭, 石崎 雅人, 茂垣 康弘, 西 正輝, 佐々 正
    p. 475
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    高強度と低弾性(大きい破断歪)、高破壊エネルギーの同時発現が期待される緻密質/多孔質窒化ケイ素積層材料について、粒子配向した多孔質層を導入して試料を作製し、1400℃大気中での熱サイクル負荷後の残存特性を評価した。高温で高強度を発現する焼結助剤を用いた材料では、熱サイクル試験後にほとんど強度劣化が生じなかった。熱サイクル試験前後の試料のX線回折図形による相同定結果から、いずれの試料も熱サイクル後の回折パターンには酸化物のピークが見られたが、主相である窒化ケイ素と比較して顕著ではなかった。SEMによる微構造観察からも、熱サイクル試験の前後で微細組織には顕著な変化は見られなかった。
  • 稲垣 良昭, 安藤 元英, 大司 達樹
    p. 476
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    粒子配向性窒化ケイ素の配向に対して平行及び垂直方向の機械特性を評価し、気孔率、微構造などとの関係を検討した。全ての気孔率の範囲で、垂直方向の機械特性は平行方向の場合より低下した。しかし気孔率が約20%以下の範囲での破壊エネルギーは等方的な緻密材よりも大きな値を示した。これは粒子の配向に揺らぎが存在し、粒子の架橋·引き抜け効果を発現させるためであると考えられる。また、焼結助剤を変えて作製した粒子配向性窒化ケイ素の機械特性を評価して微構造との関係について検討を行った。
  • 高橋 純一, 山根 久典, 島田 昌彦, 山本 吉信, 広崎 尚登, 三友 護
    p. 477
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    一連のLn4Si2O7N2(Ln=希土類)を1MPaのN2ガス圧下, 1973-2173Kの温度で, 窒素ガス圧焼結法により合成した。室温で測定されたLn4Si2O7N2のX線回折パターンをRietveld解析し, 格子定数(単斜晶系)を精密化した。格子定数および単位格子体積は, 希土類イオン半径が増加するに従い, 直線的に増加した。また, Ln=La-SmとLn=Gd-Luグループの間に格子定数変化のギャップが認められた。Rietveld解析の結果(Si周りの原子間距離とR-因子)から, 前者は高温型Y4Al2O9構造, 後者は低温型Y4Al2O9構造であると結論した。
  • 張 立学, 宮本 欽生, 森口 秀樹, 都築 克典, 池ケ谷 明彦
    p. 478
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    放電プラズマ焼結(SPS)により、ナノSiCコートダイヤ粒子分散WC-Co超硬合金の焼結特性を検討し、ダイヤ粒子径による焼結性、微細組織と亀裂進展の抑制挙動について調べた。破壊靭性が顕著に向上する原因には、ダイヤの低熱膨脹係数、高硬度、高弾性率が寄与していると考えられる。
  • 稲垣 順一, 北岡 諭, 森 秀樹
    p. 479
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    土鍋の主成分であるβスポジュメンに導電性のZrB2を分散させることにより, 誘導加熱でも発熱可能な複合材料の開発を行った. パーコレーション効果により, ZrB2の容積比向上につれ, 抵抗率が指数的に減少し, 20vol%以上添加した場合には, 10-4Ωcmオーダーになることがわかった. ZrB2粒子を2次元的に画像解析したところ, 10vol%および40vol%のどちらの場合でも, アスペクト比は約1.5であり, その結果得られるスレッショルド値は, 0.28程度である. 本実験結果では, ZrB2の添加量が10vol%においても, 抵抗率が10-2Ωcmオーダーであり, パーコレーション理論からは逸脱している. その要因としては, ZrB2-βスポジュメン問の反応によって形成された非晶質相の組成と量がZrB2添加量に依存し, その結果として導電性が変化したためであると推定される.
  • 鈴木 一行, 符 徳勝, 西澤 かおり, 三木 健, 加藤 一実
    p. 480
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
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    化学溶液法によりY2O3薄膜及び(Y, Yb)MnO3薄膜の作製を行った。Si(111)基板上に作製したY2O3薄膜は、(111)配向しており、非常に平滑な表面を有していた。この基板上に(Y, Yb)MnO3薄膜を策せしたところ、白金電極上に合成した薄膜と同様に加熱処理雰囲気による薄膜の結晶相や配向性の違いがみられ、Ar中での結晶化により高い結晶性とc軸配向性を示すことが分かった。また、薄膜の微構造は加熱処理雰囲気による違いが小さく、100nm以下の均一な粒子から構成されており、白金電極上に合成した薄膜に比べて平滑な表面を有していた。これはY2O3薄膜の平滑性及び(Y, Yb)MnO3薄膜との格子整合性によるものと考えられる。
  • 清水 正義, 木村 敏夫
    p. 481
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    原料に板状Bi4Ti3O12粒子、BaCO3を用い、RTGG法により<100>配向性BaTiO3の作製を行った。原料をドクターブレード法によりテープ成形を行い、真空中で加熱反応させることにより、単相のBaTiO3が得られた。しかし、大きな気孔が存在し、その気孔は高温で焼成を行っても取り除くことができず、密度の高いものは得られなかった。そこで、粒径の小さなBaTiO3をフィラーとして添加し、同様の実験を行った。その結果、密度を上げることに成功し、懸念されたフィラーを添加することによる配向度の低下も見られず、フィラー添加は有効であることが分かった。
  • Dinghua Bao, Naoki Wakiya, Kazuo Shinozaki, Nobuyasu Mizutani
    p. 482
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    Fatigue-free ferroelectric (Bi, La)4Ti3O12 (BLT) thin films with a Bi2O3 top-layer were prepared on Pt/Ti/SiO2/Si substrates by a chemical solution deposition method. The BLT films with a thin Bi2O3 top-layer or those without a Bi2O3 layer had a highly c-axis oriented growth. It was found that the use of the Bi2O3 top-layer improved significantly the P-E hysteresis loops of BLT thin films. The remanent polarization (2Pr) and coercive field (Ec) values of BLT films without a Bi2O3 layer and those with a Bi2O3 top-layer annealed at 750°C were 10.8 and 29.12 μC/cm2, 79.0 and 74.5 kV/cm at an applied electric field of 350 kV/cm, respectively. The capacitor with Bi2O3 top-layer showed good fatigue-free polarization characteristics and retention properties.
  • 永戸 厚, 脇谷 尚樹, 篠崎 和夫, 水谷 惟恭
    p. 483
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    基板と薄膜との格子ミスマッチが3.06%と少ないLaAlO3基板上と、それとは配向が異なり(110)配向で90°rotatedするYSZ基板、さらにアモルファスであり格子ミスマッチを考えないシリカガラス基板上にNb添加SrTiO3を成膜した。そして、NbはSrTiO3内に固溶し、添加量の増加とともに格子定数が増加することを確認した。さらに極点図形によりYSZ基板上にSrTiO3は90°rotatedした(110)配向することが分かった。温度変化、酸素アニールによる抵抗率の変化をバルク及び配向膜と比較し半導体化機構を検討した。
  • 加藤 一実, 鈴木 一行, 符 徳勝, 西澤 かおり, 三木 健
    p. 484
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    CaBi4Ti4O15薄膜の相転移はPt下部電極の結晶性と方位に依存することが分かった。結晶性の高い(111)配向のPt電極上に結晶化したCaBi4Ti4O15薄膜は、(020)強度が比較的高いランダムな方位を示したが、パイロクロア相を含んでいた。一方、(200)配向のPt電極上に結晶化したCaBi4Ti4O15薄膜はペロブスカイト相でc軸配向を示した。断面TEM観察の結果、Pt(111)電極上に結晶化したCaBi4Ti4O15薄膜は、柱状結晶粒と薄膜/界面付近に点在する微細なパイロクロア相から構成されることが分かった。この薄膜は強誘電性のP-Vヒステリシス曲線を示した。
  • 植野 見悟, 山口 十志明, 坂本 渉, 余語 利信, 菊田 浩一, 平野 眞一
    p. 485
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    化学溶液法により均一かつ安定なSrTiO3、Nb:SrTiO3及びLaNiO3溶液を調製することができ、SiO2基板上にLaNiO3を電極としてSrTiO3/Nb:SrTiO3/SrTiO3積層膜を作製した。LaNiO3上に作製したSrTiO3/Nb:SrTiO3/SrTiO3積層膜は再現性のある非線形なI-V特性を示し、セラミックスのみから成る新規電子デバイスの作製につながる。
  • 関 寿毅, 岸本 昭
    p. 486
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    我々は既に、TiO2バルク体において、絶縁破壊強度と機械破壊強度に大きな相関があることを見いだしている。絶縁破壊に至る前には微小電流(前駆電流)が流れる。そこで、誘電体セラミックスの絶縁破壊における前駆電流に着目し、絶縁破壊の直前で電圧印加を止めて再び印加した際の前駆電流の挙動について調べた。Fig. 1に絶縁破壊時の前駆電流波形を示す。1回目と2回目以降とでは前駆電流波形は異なる。2回目以降では、電圧印加開始後短時間でほぼ一定の電流値となり、その後は電界の増加と共に上昇する前駆電流が観測された。また、電圧印加を繰り返す毎に絶縁破壊強度は小さくなることがわかった。これらから、絶縁破壊現象は履歴が残る現象であるといえる。
  • 明渡 純, マキシム レベデフ
    p. 487
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    エアロゾルデポジション法(AD法)を用いて、圧電厚膜(PZT)の微細パターニング特性を評価した。マスクを通して成膜を行い、50μm幅、アスペクト比1のラインパターンが描画できた。また、この手法では成膜とエッチングが同時に進行し、成膜特性は粒子の基板への入射角度に大きく依存することが判った。
  • La1-xSrxMnO3のSr置換量が特性に及ぼす影響
    浅井 満, 牧野 浩明, 田島 伸
    p. 488
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    力学量(荷重, 歪, 圧力)検知機能を有しかつ構造部材として使用できるセンサ材料の創製を目的として、ジルコニアをマトリックスとして、圧力抵抗効果を有する酸化物セラミックス(La, Sr)MnO3を分散させた複合材料の開発を進めている。本報告では、Sr添加量が(La, Sr)MnO3の特性に及ぼす影響を調べた。その結果、(La, Sr)MnO3中のSr置換量0.25∼0.3、LSMO添加量28mass%∼30mass%において、センサの基本特性である圧力抵抗変化率、温度抵抗変化率のバランスが良好となる複合材料を得た。
  • 中川 卓二, 田中 克彦, 桐原 聡秀, 宮本 欽生
    p. 489
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    光造形法を用いて、マイクロ波に対するセラミック/高分子系フォトニック結晶(Pc)を作製した。エポキシ樹脂母相(低誘電率相)中において、CaTiO3粒子を分散させたポリエステル樹脂(高誘電率相)を格子としたダイヤモンド構造を形成した。特定周波数帯域の電磁波の遮断特性を明らかにするために、Pcの格子数や格子中のセラミック分散量増加によって生じる格子部の誘電率増加がフォトバンドギャップ(PBG)に及ぼす影響を調べた。また、格子部にCaTiO3粒子を30vol%分散したPcと40vol%分散したPcを重ね合わすことにより、2つのPBGが重なり、より広帯域のバンドが形成されることを確認した。
  • 島田 武司, 大槻 秀剛, 田路 和也
    p. 490
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではSr([Ga1-xFex]1/2, Ta1/2)O3の誘電体セラミックスを作製し、そのマイクロ波誘電特性と遠赤外反射率の測定を行った。マイクロ波領域における誘電率はGaをFeに置換するにつれ高くなり、一方Qf値は減少した。赤外反射率のフィッティングにより求めた誘電率の実数部も同様にFe置換に伴い増加した。これは第1モードの格子振動の共鳴周波数の変化に関係すると思われる。また、誘電率の虚数部もFe置換とともに増加することがわかった。
  • 鷲尾 司, 大塩 茂夫, 齋藤 秀俊
    p. 491
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、ウイスカー冷陰極を用いた低電圧·高輝度な三極型平面照明素子の試作を目的とした。冷陰極は基材となるZnO:Alウイスカーを大気化学気相析出により作製し、その上にマイクロ波プラズマCVD法によってアモルファス水素化窒化炭素膜をコーティングすることで得た。平面照明素子を引出電圧250Vで高輝度に発光させることに成功した。
  • —極性による相違—
    原田 昌史, 石川 由加里, 永野 孝幸, 齋藤 智浩, 柴田 典義
    p. 492
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    ワイドバンドギャップ半導体である六方晶のAlNとSiCは格子不整が1%以内であり、熱膨張係数も近い。SiC基板上に、AlNを製膜することにより、MIS構造をもったパワーデバイスや高温動作デバイスに応用できる。しかし、SiC、AlNはともにc軸方向に自発分極による極性をもつ。本研究では、6H-SiCのSi(0001)面とC(000-1)面上にAlNを製膜し、基板極性による膜質の差異を観察した。XPSにより、AlとNの光電子散乱断面積の比(Al/N)をとると、Si面ではAl/N=約0.9∼1.0でAlリッチとなり、C面ではAl/N=約0.6∼0.7でNリッチとなった。Si面とC面では、成長したAlN膜の極性に違いがあると推定された。
  • 木口 賢紀, 脇谷 尚樹, 篠崎 和夫, 水谷 惟恭
    p. 493
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/10/30
    会議録・要旨集 フリー
    ジルコニア系ゲート絶縁膜のC-V特性とSiO2界面層生成に及ぼす種々の希土類酸化物の影響を調べた. Sm2O3安定化ZrO2(SmSZ)ゲート絶縁膜のC-Vヒステリシス幅はSc2O3安定化ZrO2(SmSZ)ゲート絶縁膜の半分以下であった. 高分解能TEM解析によりいずれの膜もSi基板上にエピタキシャル成長したこと, SmSZにおけるSiO2界面反応層の厚さはScSZの半分程度であったことが明らかになった. これらの結果は, イオン導電性を低下させるより大きな希土類イオンからなる安定化剤をドープしたジルコニアゲート絶縁膜の有効性を示唆している.
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