歯科医学
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84 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 糸田 昌隆, 永久 景那, 寒川 晃, 今井 美季子, 貴島 真佐子
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 84 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/06/25
    ジャーナル フリー

    口腔機能の回復は,摂食・呼吸といった基本的生命保持,健全な食生活の確保,コミュニケーションや社会生活の回復と拡大が図られ,心身ともに健康な生活を実現する.生活機能の向上を目指したリハビリテーションを行うことで,QOLの向上,生きがいに満ちた生活の実現に繋がるため,人生の楽しみである食支援は重要である.2017年5月より口腔機能全般に対応する診療科として大阪歯科大学附属病院において,口腔リハビリテーション科が開設された.今回,当科開設当初から現在まで約3年半経過しているが,2017年5月1日から2019年5月末までの約2年間の当科受診患者の特徴および診療状況を把握する目的で歯科大学附属病院の診療科として,今後の医療・介護連携および地域医療における役割と課題について検討したので報告する.対象は,2017年5月1日から2019年5月31日までに,大阪歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科を受診した初診患者140名とした.ただし,通常の歯科診療(検診依頼,一般歯科治療等)を目的とした紹介患者は除外した.初診患者の平均年齢は,66±18歳であり,80歳代が最も多かった.依頼元は,院内他科が74%であり,主訴内容は,「喋りにくい」が30件,「口腔外科オペ後リハ依頼」が29件,「嚥下困難」が28件であった.原因疾患は,頭頸部悪性腫瘍が39%,フレイルが20%であった.歯科的対応内容は,口腔リハ実施のみが69%で,高い頻度の訓練内容は舌機能訓練であった.生活機能における改善項目は,摂取可能な食品数の増加や食事形態向上が24%であった.本調査において,当科では,生活機能に影響を及ぼす口腔機能障害が診られる患者が多いことが示唆された.今後,口腔リハビリテーションのアウトカムとして,生活機能を指標とした評価項目開発にむけ,さらなる研究が必要であると考えられた.

  • 吉田 博昭, 谷 暢, 池田 隼人, 姫嶋 皓大, 石川 敬彬, 辻 要, 河野 多香子, 井関 富雄, 小滝 真也, 秋山 広徳
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 84 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/06/25
    ジャーナル フリー

    本研究は,習慣性顎関節脱臼患者に自己血注射療法を施行し,6年以上経過した症例の状況を調査した.初回自己血注射療法を施行し,6年以上経過を追跡し得た症例は18例で,そのうち14例は全身疾患を有する患者であった.初回治療から6年時で,生存は7例,他因死去が7例,連絡不能は4例であった.初回治療から6年時で,生存し再発のない奏功例は6/7(85.7%)であった.自己血注射療法は習慣性顎関節脱臼患者に対し低侵襲で,かつ効果的であった.全身状態が不良な患者にも安全に施行できることは特筆すべき治療法である.

  • 吉田 博昭, 池田 隼人, 北吉 麻理奈, 高杉 典史, 谷 暢, 辻 要, 井関 富雄, 小滝 真也, 大下 修弘, 百田 義弘
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 84 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/06/25
    ジャーナル フリー

    皮下および縦隔気腫は口腔および顎顔面領域の手術において関連する重要な合併症である.今回,われわれは皮下・縦隔気腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

    患者は52歳の男性で,口腔癌の根治的治療のため全身麻酔下で外科手術(外科的気管切開術,オトガイ下および両側顎下部郭清術,および口底悪性腫瘍切除術)を施行した.手術から4日後,患者の気管チューブを抜去し,手術から6日目に患者が激しい咳をしたために頬部および頸部から胸壁に及ぶ巨大な皮下気腫を発症した.その後,CT検査を行い頸部および胸部におよぶ,縦隔気腫を確認した.

    抗菌薬の継続投与を行い,保存的に治療を行った.手術から12日後,気腫の増大等の異常所見は観察されず,全身の健康状態および創部の治癒経過は良好であったため,術後3週間後に退院した.

  • 原稿種別: 会議報告
    2021 年 84 巻 1 号 p. 17-26
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/06/25
    ジャーナル フリー

    1. 梶野沙紀, 梶貢三子, 柿本和俊. 歯科衛生士介入による老人デイサービスセンター利用者の歯科通院行動の変容.

    2. 細山智加子, 細山有規子, 安積瑛子, 西浦亜紀, 森淳秀, 松本尚之. 成長発育と埋伏犬歯の相関性について頭部エックス線規格写真を用いた評価.

    3. 岡田佳子, 安積瑛子, 細山有規子, 西浦亜紀, 森淳秀, 松本尚之. 成人の上下顎前突症の矯正歯科治療前後の側面硬組織と軟組織の評価.

    4. 加々美恵一, 阿部洋子, 篠永ゆかり, 今瀧梨江, 西村貴子, 原田京子, 有田憲司. アルゴンを用いたプラズマベースのイオン注入によりフッ素および/または銀イオンを注入したPMMAの抗菌および抗真菌活性.

    5. 中野宏祐, 窪寛仁, 本田義知, 橋本典也, 中嶋正博. ラット由来脱分化脂肪細胞と活性化多血小板血漿を用いた骨再生.

    6. 疋田光波, 中田研, 中嶋正博. ヒト関節軟骨由来三次元培養組織に対する繰り返し圧縮負荷はIL-1β刺激と異なる関節炎関連遺伝子の発現を示す.

    7. 山本慎, 橋本典也, 本田義知, 吉田博昭, 井関富雄. 唾液を用いたERBB2およびSIRT1 mRNAの発現レベルを決定するアッセイの開発.

    8. 長谷川緋里, 松山知弘, 百田義弘. 遠隔虚血負荷が中枢神経再生能に及ぼす影響.

    9. 河東里奈, 川本章代, 橋本典也, 橋本正則, 髙橋一也. 慢性歯周炎特有の歯肉溝滲出液中エクソソームにおけるmiRNAの検出.

  • 原稿種別: 会議報告
    2021 年 84 巻 1 号 p. 27-38
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/06/25
    ジャーナル フリー

    1. 上田甲寅, 隈部俊二, 羅遠, 田村功. 発生期のタンパク質摂取制限が味覚発育にもたらす変化.

    2. 佐藤正樹, 島岡諒, 藤井孝政, 鳥井克典, 田中順子, 柏木宏介. 支台歯スキャンデータのデジタル補正によるエッジロスの改善.

    3. 桝井悦子, 柿本和俊, 元根正晴. えい風ツボ刺激による開口幅増加に対する背景因子・自律神経指標の関連.

    4. エィガン直美, 頭山高子, 小正裕. 来日外国人の歯科医療ニーズ調査.

    5. 的場大, 西浦亜紀, 本田義知, 藤原眞一, 松本尚之. タバコ煙成分によって引き起こされる歯の移動遅延に対する禁煙効果.

    6. 東友莉, 居波薫, 志水秀郎, 松本尚之. 低出力超音波パルス(LIPUS)照射が破骨細胞分化に対する影響について.

    7. 辰村正泰, 安井憲一郎, 橋本典也, 松本尚之. β-TCP顆粒と自家骨顆粒を組み合わせた再生骨における骨再生のメカニズム解明.

    8. 永石千琴, 阿部洋子, 今瀧梨江, 西村貴子, 河合咲希, 篠永ゆかり, 有田憲司. 粉末セルロースナノファイバーの添加が従来型修復用グラスアイオノマーセメントの機械的特性およびフッ化物イオン徐放に及ぼす影響.

    9. 松尾望, 辻則正, 富永和也, 前田博史. ラット歯髄における新規合成ペプチドの硬組織誘導性.

    10. 中山聖之, 秋山広徳, 辻要, 松本和浩, 吉田謙, 小滝真也, 井関富雄. エナメル上皮腫と歯原性角化嚢胞の開窓効果における同一患者データを用いたパノラマエックス線画像による2次元評価とCTによる3次元評価との関連性.

    11. 韓嘯宇, 本田義知, 田中知成, 井村和希, 橋本典也, 吉川一志, 山本一世. 凍結過程における鋳型の通気性がゼラチンスポンジの細孔分布および骨形成能に及ぼす影響.

    12. 弓国梁, 趙建鑫, 松本尚之. Steiner分析を用いた中国人上顎前突症の形態学的研究.

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