歯科医学
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61 巻, 3_4 号
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  • 貴島 真佐子
    原稿種別: 本文
    1998 年 61 巻 3_4 号 p. 153-168
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2017/04/10
    ジャーナル フリー
    理学療法は, 筋や関節における機能障害の回復ならびに疼痛緩和に用いられる. 近年, 顎機能異常患者に対する理学療法, なかでも超音波治療は, 深部加熱効果を期待して障害を受けた咀嚼筋に応用されてきた. ところが, これまで明確な超音波照射条件は示されていない. 本研究では, 健常有歯顎者について, まず従来の照射条件(2.0, 1.5, 1.0W/cm2), 超音波診断装置による皮下(咬筋, 下顎枝)組織の横断面の計測について検討した. 次に無侵襲的な深部体温計測法を咬筋に応用し, 照射による咬筋深部温変化の再現性, 照射強度ならびに照射時間が咬筋深部温に及ぼす影響について検討した. 照射条件は, 照射強度を0.5, 0.75, 1.0W/cm2, 照射時間を5, 10分間の合計6条件で周波数3MHz, 連続波, ストローク法で照射した. さらに痛みに関するアンケートは, 5段階のLikert型スケールを応用し, 照射中, 後に採取した. 安静時熱平衡状態, 照射終了20分後, 60分後の3時点の測定温からΔT, 上昇率ならびに減衰率を求めた. そして得られた結果に基づいた照射条件である0.5W/cm2の10分間を顎機能異常患者に応用した. その結果, 1) 1.5W/cm^2以上の照射強度は痛みのため2分以上の照射は不可能であり, 咬筋には高い照射強度であることがわかった. 2) 咬筋表層は皮下3.3〜5.9mmに位置することから, 3MHzの照射ならびに深部温プローブの測定が可能であった. 3) 級内相関係数は0.75以上を示し, 照射による咬筋深部温変化の再現性が良好であった. 4) ΔTならびに上昇率は, 照射時間が長いほど高くなり, 減衰率は, 照射強度が高いほど高くなった. 5) 痛みに関するアンケート評価において, 1.0W/cm2では比較的早期に痛みを誘発するため, 咬筋に応用するには不適切であった. 6) 顎機能異常患者への超音波照射により咬筋の違和感・だるさと触診による圧痛は, 照射後60分後では軽減し, VASからも改善が認められた. 以上のことから, 超音波照射の至適条件は, 照射プローブの特性により機種ごとに異なる. しかし, 咬筋への超音波照剣による深部温計測と痛みに関するLikert型スケールの結果から, その至適条件がわかった.
  • 新垣 善啓, 井関 富雄
    原稿種別: 本文
    1998 年 61 巻 3_4 号 p. 169-179
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2017/04/10
    ジャーナル フリー
    舌癌患者の術後機能障害を客観的に評価することを目的として, 舌切除後の構音機能検査と全頸部郭清術施行後の頭位変化時における胸鎖乳突筋と僧帽筋の筋活動について筋電図学的検査を行い, 以下のような結果が得られた. 1) 舌切除後の発語明瞭度および会話明瞭度は, 切除範囲の拡大に伴って低下した. 2) 舌部分切除例では発語明瞭度と会話明瞭度の低下は比較的軽度で, 直接縫縮した症例と頸部島状皮弁を用いて即時再建を行った症例の間に有意差は認められなかった. 3) 舌可動部半側切除の場合でも大胸筋皮弁を用いた即時再建によって日常会話に支障のない程度まで回復が可能であり, 本再建法が術後の構音機能障害の軽減に有用であることが確認された. 4) 全頸部郭清術を行った場合でも手術側の僧帽筋に筋活動がみられる症例のあることが確認された. 5) 頭位変化時における胸鎖乳突筋と僧帽筋の筋活動について正常者と全頸部郭清術施行者を比較検討したところ, 全頸部郭清術施行者では前屈時には健側胸鎖乳突筋中央部に, 手術側側屈時には手術側僧帽筋に代償性と考えられる筋活動が認められた. 以上より, 舌切除範囲と構音障害の程度との関連および全頸部郭清術が残存する胸鎖乳突筋と僧帽筋に及ぼす影響が明らかとなった.
  • 樋口 裕一, 岡田 隆夫, 岡崎 定司, 上田 章浩, 権田 悦通
    原稿種別: 本文
    1998 年 61 巻 3_4 号 p. 180-186
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2017/04/10
    ジャーナル フリー
    本研究は, 埋人チタン体が, その周囲組織のグリコサミノグリカンにどのような影響を与えるかを検索したものである. ラットに, ペントバルビタールナトリウムの腹腔内注射による全身麻酔を行い, 左右大腿骨を露出し生理食塩水を滴下しながらラウンドバーで皮質骨を穿孔してリーマーで直径1mm, 深さ3mmの埋入窩を形成し, チタン体を埋入適合させ, 縫合した. 埋入後, 1, 2, 3, 5ならびに10週間飼育し, 実験に供した. 組織化学的および免疫組織化学的に検索し以下の結論を得た. 1. チタン体埋入部の壊死, 膿瘍, チタン体排出などの異常所見は認められなかった. 2. 埋入後2週で軽度の炎症細胞の浸潤を伴う結合組織内での新生骨様組織が認められた. 埋入後3週では炎症細胞の消失および新生骨形成の進行が認められた. 埋入後5週では線維骨の層板化が進行し, 10週ではインプラントと骨組織が直接接触していた. 3. 埋入後1週でヒアルロン酸が, 2週でコンドロイチン硫酸がそれぞれみられた. さらに, 3週でデルマタン硫酸が観察された. 以上のことより, チタン体周囲組織におけるグリコサミノグリカンは, 創傷治癒過程で組織修復に関与するとともに, 埋入チタン体による細胞外基質の変化に伴って, チタン体周囲の骨の誘導に関与していると思われる.
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