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吉田 哲憲, 杉原 平樹, 大浦 武彦
1990 年 5 巻 2 号 p.
273-279
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
皮膚悪性腫瘍の治療では外科的療法が最も重要である。頭頸部領域においても外科的療法の重要性に変わりはないが, 脳, 大血管, 神経などの深部重要組織が存在し, 機能的, 整容的に社会生活に欠かせない部位であるため, 十分な外科的治療が難しい場合が少なくない。しかし, 筋皮弁および微小血管吻合を利用した遊離皮弁の導入による再建術式の進歩により, 従来では根治的手術が不可能であった症例が手術可能となっている。一方, 遊離皮膚移植も一時的再建に果たす役割は大きい。頭頸部の皮膚悪性腫瘍に対しては, BCCでは0.5~1.0cm以上, SCCでは1~3cm以上, MMでは2~5cm以上のsafety marginをとり, 術前の臨床所見とCTなどの画像診断を参考にして腫瘍の浸潤の深さを診断し完全切除を行い, 適切な再建手術を行うことが重要である。自験例を示し頭頸部皮膚悪性腫瘍に対する外科的治療の現状について述べた。
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中山 凱夫
1990 年 5 巻 2 号 p.
280-283
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
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大原 國章
1990 年 5 巻 2 号 p.
284-289
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
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鈴木 正, 林原 義明, 清原 祥夫, 池田 重雄
1990 年 5 巻 2 号 p.
290-297
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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過去16年間に当科において経験した外陰部皮膚悪性腫瘍65例につき, 各疾患ごとにその治療法 (手術療法) を述べた。とくに外陰部Paget病では3~5cmのsurgical marginをとり, 病巣の取残しが無いように広範囲切除を原則とする。また, 粘膜上皮内進展に十分留意することが重要であり, 術中の迅速診断による粘膜上皮内腫瘍細胞の検索が必要である。進行例では, 人工肛門造設術, 尿路変更, 膀胱摘出などが行われる症例もある。臨床的にリンパ節転移が疑われる場合には根治的所属リンパ節郭清を行うが, 片側に組織学的にリンパ節転移がある程度認められた場合には対側のリンパ節が臨床的に触知されなくとも生検を行うかあるいは十分な経過観察が必要であると思われた。
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土田 幸英, 池田 重雄, 松林 薫美
1990 年 5 巻 2 号 p.
298-304
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
皮膚癌ならびに悪性黒色腫の治療にさいして, 局所再発が無いように原発巣を広範囲に切除する事が重要である。さらに, 所属リンパ節の取り扱いが病期の予後に大きく影響する。リンパ節郭清は所属リンパ節と周囲組織をen blocに切除する術式である。所属リンパ節郭清術として頸部郭清, 腋窩郭清と鼠径腸骨郭清があげられる。それらの取り扱いについて, 著者らの方針を述べた。
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大塚 壽
1990 年 5 巻 2 号 p.
305-311
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
当科では過去約12年半に基底細胞癌165例, 扁平上皮癌131例, 悪性黒色腫38例, 乳房外ページェット病24例, 皮膚軟部組織肉腫18例を扱った。これらの悪性腫瘍ならびに著者が過去に経験した悪性腫瘍の中から, 再発癌, 進行癌に焦点を合わせ, 外科的治療の現状や展望について検討した。再発癌といえども根治性がある場合は, 広範囲切除を行い, 進行癌では意義ある延命を中心に術式を選ぶことが大切と考えた。
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大塚 壽
1990 年 5 巻 2 号 p.
312-314
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
外科的手術とcryosurgeryを比較した場合, 後者は二次的創傷治癒を期待, surgical marginの不十分な検索という弱点がある。切除, 再建術の進歩の著しい今日ではcryosurgeryの発展はやや頭打ちの感があるが, 老人を中心に適応例を選び, 根治か姑息的治療かの目的意識をもって行えばそれなりの治療成績が得られると考える。
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滝沢 好広, 池川 修一, 徳田 安孝, 伊藤 隆, 斎田 俊明, 藤岡 文夫
1990 年 5 巻 2 号 p.
315-318
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
61歳女。左大腿後面の熱傷癈痕に数年前より結節を生じ徐々に増大。広範囲切除術施行後間もなく肺転移出現。PM療法・CDDP・VDS併用療法施行し, 一時的には奏効したが, 後に全身に転移が拡大し, 術後全経過7ヵ月程で死亡した。組織学的には, 小円形腫瘍細胞のびまん性の増殖が主体であるが, 一部には有棘細胞様細胞による胞巣も認められる。免疫組織化学的に, KeratinとVimentinの同一腫瘍細胞内の共存が確認されたことが, 特異であった。
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太田 孝, 安部 正瑞, 大原 国章
1990 年 5 巻 2 号 p.
319-321
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
41歳, 女性の頭頂部に生じたmalignant proliferating trichilemmal cyst(MPTC)の1例を報告した。頭頂部に20×17×5mmの斜円形台状の黒色調腫瘤を認めた。組織は, 表皮と連続した大小様々な嚢腫様構造よりなり, その壁を構成する細胞には, 核の大小不同, 分裂像などの異型性が認められた。MPTCの本邦報告24例を集計し, 若干の文献的考察を行った。
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佐々木 英也, 山崎 直也, 早坂 健一, 石原 和之
1990 年 5 巻 2 号 p.
322-325
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
54歳女性の右前腕に生じたMalignant pilomatricomaの1例を報告した。臨床像は可動性良好な表面淡紅色の鶏卵大皮下腫瘤であり, 病理組織学的には, 真皮深層から皮下結合織内にかけて存在する境界明瞭な腫瘍でshadow cellとbasophilic cellからなり, 多数の核分裂像が認められる。本症は国内外において報告例が少なく, 極めて稀であると思われたので, これを報告するとともに若干の考察を加えた。
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北原比 呂人, 松山 友彦, 古江 増隆, 土田 哲也, 石橋 康正
1990 年 5 巻 2 号 p.
326-329
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
左側胸部, 右乳房内側, 下腹部, 陰部の計4ヵ所に多発した乳房外Paget病の54歳の男性例を報告した。通常の乳房外Paget病の好発部位とは異なる部位に発生した点および組織学的にも著明な管腔形成傾向を認めた点が特徴的であった。これらの所見は, 副乳腺との関係を示唆しているものと思われた。また腫瘍細胞は組織化学的にはCEAは弱陽性であったが, 40kdおよび52.5kdケラチン蛋白には強陽性を示した。
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青木 律, 梅田 敏彦, 白井 洋司, 百束 比古, 文入 正敏, 青木 美佳子, 本田 光芳
1990 年 5 巻 2 号 p.
330-332
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
腋窩Paget病の1例を報告した。乳房外Paget病の予後は一般に良好とは言い難く, 治療に関しては扁平上皮癌に準じた手術が必要であると考えられた。
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松永 純, 谷田 宗男, 橋本 久美子, 谷田 泰男, 加藤 泰三
1990 年 5 巻 2 号 p.
333-336
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
昭和63年1月28日生まれの女児。出生時より, 左臀部の一部に, 多毛とその周囲の皮膚に紅斑, および硬結を触れた。生後5ヵ月を過ぎた頃から, その部分よりもやや前方が, 淡紅色の紅斑を伴って隆起してきた。そして1ヵ月後には, 高さ5cm, 直径12cm大の腫瘤性の病変を形成した。術前の生検よりの診断では, infantile fibromatosisのaggressive typeであったが, 手術標本を検討してinfantile fibrosarcomaと診断した。
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橋本 久美子, 谷田 泰男, 加藤 泰三
1990 年 5 巻 2 号 p.
337-339
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
74歳, 女性の頭部に生じた悪性線維性組織球腫の1例を報告した。初診時の臨床像からは, atypical fibroxanthomaを考えたが病理組織学的に悪性像は全く認められずfibrous histiocytomaと診断した。しかし, 腫瘍摘出術後7ヵ月で腫瘍が再発し, 後頸部にも腫瘍が新生してきた。その組織像は典型的な悪性線維性組織球腫の像に一致するものであった。全身検索では特に異常はなく, 腫瘍広範囲切除術を行い, 現在経過観察中である。
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川嶋 邦裕, 吉田 哲憲, 杉原 平樹, 大浦 武彦, 熊切 正信
1990 年 5 巻 2 号 p.
340-344
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
64歳女性の頭部に多発発生した, 一般に知られているものとはやや異なった臨床像を呈した血管肉腫を経験し, これを治療したので報告した。頭部に赤色の6×7~23×31mmの腫瘤が多発しており, 頭皮被髪部位を超えて広範切除と欠損部に対する植皮術を施行した。病理組織学的にAngiosarcomaと診断した。術後, IL-2の投与を行ったのち経過観察中である。
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古屋 和彦, 熊切 正信, 安藤 正明, 月永 一郎, 大河原 章
1990 年 5 巻 2 号 p.
345-349
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
日本人には稀とされている古典的Kaposi肉腫の4例を経験し, 病理組織像を検討した。光顕にて通常のKaposi肉腫の組織像に加えて, 結節状の腫瘍巣を包むように拡張した三日月形の正常血管が目立って観察された。免疫組織学的検索では, 管腔形成部は第VIII因子関連抗原, UEA-1レクチンは陽性であったが, spindle cellの増殖部では全例染色されなかった。電顕による検索で内皮細胞と周皮細胞様の細胞が観察され, spindle cellは未熟な血管と考えられた。
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北村 啓次郎, 木下 真介, 向井 万起男
1990 年 5 巻 2 号 p.
350-354
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
62歳主婦。全身皮膚に大小の腫瘤を多発 (50個以上) し, 光顕・電顕・酵素抗体法による観察の結果, 平滑筋肉腫と診断し得た1例を報告した。本例の原発巣は, 病歴より初診の5年半ほど前に, 左膝関節部皮下に生じたものと考えられたが, 確認はしていない。また血管平滑筋由来か起毛筋由来かについても決定し得なかったが, 腫瘤の発生部位より前者がより疑わしいと思考された。
皮膚および軟部組織原発の平滑筋肉腫の報告は時にみられるが, 本例のごとき多数の大小の腫瘤 (恐らく転移) を主として皮膚に認めた例は極めて稀と考える。
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田沢 敏男, 伊藤 雅章, 藤原 浩, 清水 直也, 勝海 薫, 松村 剛一, 佐藤 良夫, 赤井 昭, 今井 清治
1990 年 5 巻 2 号 p.
355-359
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
Eccrine spirocarcinoma (ES) 1例, mucinous carcinoma of the skin (MC) 1例, 胃癌の皮膚転移2例, 乳房Paget病1例のケラチンを免疫組織化学的に検討。ESの管腔側細胞では単層上皮型ケラチン, 基底側細胞と充実部では重層上皮型ケラチンと単層上皮型ケラチンの両方の発現を認める。MC, 胃癌の皮膚転移, 乳房Paget病では単層上皮型ケラチンの一様な発現を認めるが, 単層上皮型ケラチンのサブクラスは一部異なる。
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中村 衡藏, 三原 基之, 中山 英俊, 葉狩 良孝, 島雄 周平
1990 年 5 巻 2 号 p.
360-363
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
表在性BCEとボーエン病の各1例に対してrIL-2局注を行った。投与終了時の組織所見でいずれも好酸球を含む炎症性細胞浸潤と腫瘍細胞が正常表皮細胞様に分化した像が見出された。BCE例の免疫組織化学所見ではOKT 8陽性suppressor/cytotoxic T細胞が多く認められた。IL-2の上皮性腫瘍に対する作用機序として, 表皮細胞調節に関与し, 癌の再分化を誘導する可能性が示唆され, 興味深い所見と考え報告した。
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藤岡 彰, 落合 豊子, 飯田 利博, 宮川 かおり, 徳橋 和子, 禹 仁哲, 馬場 俊一, 鈴木 啓之
1990 年 5 巻 2 号 p.
364-368
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
rIL-2の局注療法を施行したmalignant hemangioendotheliomaの2例を経験した。いずれも皮膚悪性腫瘍における固形がん薬物療法効果判定基準に基づき有効と判断された。ただし2例とも治療効果判定に際し, 長期にわたる経過観察が必要と思われた。またrIL-2を用いて本症を治療する時, 放射線療法の併用は, 効果をより高める可能性があると思われる。
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池田 重雄, 清原 祥夫
1990 年 5 巻 2 号 p.
369-378
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
過去11年間にわたるnon-melanomaの疫学調査, 現在使用されているBRM療法 (β-IFN, α-IFN, γ-IFN, IL-2, TNF, MY-1) , 化学療法 (SCCに対するPEP, PEP+MMC, CDDP+ADM療法, exPに対する新しい併用療法としてのEPI+VDS+Ftor療法) , 手術療法 (悪性腫瘍広汎切除後通例free graft, ときにMC-flap, MF-flap, freeflap, classical flap等を利用する) および集学的治療によるnon-melanomaの予後 (前期1962~1972, 後期1973~1985に分けて比較した) について述べた。
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西内 徹, 江口 奈緒美, 安達 智江, 小林 まさ子, 藤田 優, 岡本 昭二
1990 年 5 巻 2 号 p.
379-382
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
症例1: 61歳, 女。外陰部黒褐色斑。組織学的に大部分が典型的なBowen病であるが一部で真皮内浸潤。症例2: 55歳, 女。外陰部灰黒色斑。組織学的に典型的なBowen病の病巣内に有棘細胞癌様の真皮内浸潤。症例3: 71歳, 女。肛囲黒褐色局面。組織学的に症例1と類似。以上3例の女子外陰部Bowen病の報告を行うとともに, 若干の文献的考察を加え, 女子外陰部Bowen病の治療における早期外科的切除の重要性について述べた。
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山本 俊幸, 山口 潤, 儘田 晃, 近藤 靖児
1990 年 5 巻 2 号 p.
383-387
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
昭和35年より昭和63年までの29年間に経験したBowen病およびBowen癌の臨床的, 病理組織学的観察を行った。単発例34例, 多発例7例で, Bowen癌は9例に認められた。男29例, 女12例と男性に多く, その年齢分布は35歳から84歳にわたり, 平均年齢は66歳で, 50歳以上のものが全体の85%を占めた。内臓悪性腫瘍の合併を認めた例はなかった。また, HPVの検索を行い, 多発性Bowen病の初発病変部位に陽性所見が見られた。
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熊坂 久美子, 松永 純, 杉山 泰子, 谷田 泰男, 加藤 泰三
1990 年 5 巻 2 号 p.
388-391
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
60歳, 男性の右こめかみ部にできた日光角化症切除後に生じた有棘細胞癌 (Squamous cell carcinoma) の1例を報告した。初診時, 右こめかみ部に4.5cm×2.3cm大の軽度に浸潤を触れる紅斑局面があり, 一部に褐色の色素沈着を認めた。臨床的に日光角化症, 生検で日光角化症のbowenoid typeと診断し, 腫瘍より0.5cm離し, 脂肪織下層で剥離し, 全層植皮術を行った。病理組織学的に腫瘍は取りきれていた。術後約2年, 植皮部中央に1.0×0.7cm大の結節が出現した。生検にて真皮中層から下層に腫瘍細胞の集塊が多数見られ, SCCの像を呈していた。今回は結節より3cm離し, 筋膜上で剥離し, 分層植皮術, 頸部リンパ節郭清術を行い, さらにペプレオマイシン, マイトマイシンCによる化学療法も加えた。リンパ節転移は認められなかった。
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高山 修身
1990 年 5 巻 2 号 p.
392-397
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
山梨医大で6年間に治療を行ったBCCは57例62病巣であった。そのうち体幹四肢に生じた症例は, 胸部1例, 腋窩1例, 上肢2例, 下肢2例の計6例12.6%であった。体幹四肢のBCCは典型的な結節を形成することは少なく表在型, 扁平瘢痕型, 潰瘍型と, 水平方向の発育傾向が強く, 頭頸部のBCCと発育形態が異なることが示唆された。
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木下 敬介
1990 年 5 巻 2 号 p.
398-401
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
左鼻翼部の径12mmの黒色腫瘤で, 病理組織像では, basaloid cellとsquamoid cellの増殖, 多数のsquamous eddiesおよびpigment blokade melanocytesなどがみられるearly invasive squamous cell carcinomaの1例 (80歳, ♀) , およびinvasionに関してはそれより前段階に相当すると思われる1例 (51歳, ♂) を経験した。これらはその病理組織学的特徴よりfollicular poromaの悪性化例に相当する症例ではないかと考えられた。
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望月 昭彦, 渡辺 晋一, 渡辺 理恵, 溝口 昌子, 高橋 久
1990 年 5 巻 2 号 p.
402-406
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
症例は58歳, 女性。生下時より左後頭部に疣贅様局面が存在していたが, 10年前より同部に腫瘤が生じ徐々に増大してきたため当科受診。初診時, 疣贅様局面内に易出血性の小鶏卵大, 表面細顆粒状の紅色肉芽腫様腫瘤が存在。組織学的に小鶏卵大の腫瘍は, 主に基底細胞様細胞からなっていたが, 中央になるに従い胞体が明るく空胞化していた。またこの腫瘍辺縁と連続性に基底細胞様細胞からなる腫瘍巣が見られ, 別の切片では, 基底細胞様細胞からなる腫瘍巣内に脂腺構造が認められた。以上の所見より脂腺母斑上に生じた悪性外毛根鞘腫, 基底細胞癌 (BCC) , 脂腺上皮腫の併発例と診断した。この3腫瘍に対し抗involucrin抗体と11種類の抗keratin抗体, 抗EMA抗体を用いて免疫組織化学染色を行ったところ, 共通して見られたbasaloid cellの染色性に差異が見られ, また自験例におけるBCCは通常のBCCとケラチンの発現が多少異なっていることが判明した。
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上出 康二, 松中 成浩
1990 年 5 巻 2 号 p.
407-410
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
エクリン汗器官腫瘍の2例を報告した。症例1: 98歳, 女性。左頭頂部腫瘤。真皮内に異型性の強い腫瘍細胞が増殖, 多数の腺腔, 管腔様構造を形成。症例2: 87歳, 女性。右前額部腫瘤。軽度異型性を認める腫瘍細胞が真皮内に塊状に増殖, 腺腔様構造を形成。抗ケラチン単クローン抗体による検索から, 症例1は, 真皮内汗管への分化が主体のeccrine ductocarcinomaと診断。症例2は腫瘍細胞がエクリン汗器官の分泌部, 一方向への分化を示すため, 一部に癌化を伴うeccrine spiroepitheliomaと診断した。
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田沢 敏男, 藤原 浩, 松村 剛一, 伊藤 雅章, 佐藤 良夫, 今井 清治
1990 年 5 巻 2 号 p.
411-414
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
エクリン汗孔癌とエクリン汗管癌の各1例を特異性の異なる10種類の抗ケラチン単クローン抗体を用いて免疫組織化学的に検討した。2例とも有棘細胞癌と同様のケラチンを発現しており, 正常のエクリン汗腺の導管と発現しているケラチンが一部異なっていた。これは汗腺癌とそれに対応する正常汗腺におけるケラチン発現は必ずしも完全に一致するとは限らず, ケラチンの免疫組織化学的所見を汗腺癌の鑑別診断の参考にする場合には注意を要することが示唆される。
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浦島 玲子, 中山 英俊, 三原 基之, 島雄 周平
1990 年 5 巻 2 号 p.
415-419
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
1980年1月から1989年12月までの10年間に, 鳥取大学皮膚科に受診したPaget病15例について, 乳房Paget病2例と, 乳房外Paget病13例に分けて検討した。治療は全例に手術が施行された。乳房外Paget病のうち4例に所属リンパ節転移がみられ, 全て臨床的に腫瘤を形成していた。そのうち2例が腫瘍死の転帰をとった。
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長谷 哲男, 一山 伸一, 高橋 泰英, 中嶋 弘
1990 年 5 巻 2 号 p.
420-424
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
1988年8月以来2名の腫瘤期, 2名の局面期病変, 2名の紅皮症型菌状息肉症 (MF) の合計6名の患者に対してExtracorporeal photochemotherapyを施行し, その効果と末梢血液所見の変化とを検討した。腫瘤期の2名は治療に反応せず増悪が認められた。残りの4名は生存しているが, 7クール以上の治療を行った3名は50%以上の皮疹の改善が認められた。重篤な副作用は認められなかった。赤血球数, 白血球数, 血小板数, 末梢血液中のリンパ球サブセットに関しては治療開始前後で有意差は認められなかった。また, 有効症例および無効症例で治療前のリンパ球サブセットを比較すると, 無効例ではCD3陽性リンパ球, CD4陽性リンパ球が有意に低下しており, CD4陽性CD45RA陽性リンパ球およびCD4/CD8比にも低下が認められた。このことより, extracorporeal photochemotherapyは腫瘤期を除く菌状息肉症でCD4陽性T細胞,CD4陽性CD45RA陽性リンパ球の減少の認められない症例に有効であると言えた。
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菅原 光雄, 佐伯 英明, 沢田 幸正
1990 年 5 巻 2 号 p.
425-427
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
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61歳の男性。初診の約1年前に左下腿内側に掻痒感あり, 同じ頃同部を打撲。その後同部に皮下腫瘍が発生し, 2ヵ月で鶏卵大となった。1989年9月1日当科初診, 9月19日の生検で本症と診断された。患者の希望で左下腿腫瘍の摘出術を行ったが, 同年11月15日に死亡した。剖検で, 両側の肺, 右側の腎, 左肩甲骨および脳に多臓器転移が認められた。
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土田 幸英, 福田 修, 池田 重雄, 清原 祥夫, 鈴木 正, 佐々木 亮
1990 年 5 巻 2 号 p.
428-432
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
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皮膚悪性腫瘍において, 原発巣が前頭部, 側頭部, 耳介, 頬部や外眼角部であるとき, 頸部リンパ節と耳下腺リンパ節を所属リンパ節の同一群として取扱うべきである。従って, 頸部リンパ節転移には根治的頸部郭清術と同時に耳下腺合併切除を行う。なお, 術中frozen sectionにより耳下腺深葉リンパ節転移が診断された症例は耳下腺全摘の適応である。予防的頸部郭清術においても耳下腺浅葉切除を施行すべきである。
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宮内 俊次, 三木 吉治, 村上 信司
1990 年 5 巻 2 号 p.
433-436
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
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41歳, 男性の顔面に生じたatypical fibroxanthoma of the skin (AFX) の1例を報告した。病理組織学的に, 腫瘍細胞は類円形~紡錘形細胞, 多核巨細胞より構成されており, pilosebaceous collarette, 一部にstriform patternを認めた。免疫組織学的には, 腫瘍細胞はA
1AT, A
1ACT, vimentin陽性で, S-100, CK-1, EMA, desmin, myoglobin, PNA陰性であった。S-100染色上, AFXと悪性組織球腫で若干の差がみられた。
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飯田 憲治, 堀越 貴志, 小野寺 英夫, 高橋 誠, 影下 登志郎
1990 年 5 巻 2 号 p.
437-441
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
脈絡膜原発悪性黒色腫 (6例) の組織学的, 免疫組織学的, 電顕的特徴を検討した。さらに, 皮膚の悪性黒色腫と比較検討した。組織学的に3例が類上皮細胞型, 3例が混合細胞型であった。類上皮細胞型2例において, 免疫組織学的検索を行い, HLA-DR抗原, ICAM-1抗原で腫瘍細胞は高い陽性率を示した。予後の悪い類上皮細胞型悪性黒色腫で, HLA-DR抗原, ICAM-1抗原が高い陽性率を示したことは, 皮膚の悪性黒色腫同様の相関が示唆された。
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赤井 昭, 追手 比佐子
1990 年 5 巻 2 号 p.
442-445
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
フリー
悪性黒色腫は頭皮に原発する頻度は高くないがその予後は不良とされている。この理由としてリンパ節転移が両側性になりやすい, 血行転移が起こりやすいなどの解剖学的要因もあろうが, 毛髪に覆われているための初期病巣の発見困難が第1と考える。16歳男子, 43歳女子の2症例の経験から本症早期発見のための啓蒙の必要性を痛感した。
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小出 勉, 小松 輝夫, 馬渕 和範, 石原 和之
1990 年 5 巻 2 号 p.
446-457
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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ヌードマウス移植ヒト悪性黒色腫(SK-14株)に対し, MY-1の腫瘍内投与, および皮下投与はいずれも優れた抗腫瘍効果を示した。
病理形態学的には腫瘍細胞の変性と核クロマチンの変化に続く細胞変性壊死, マクロファージの出現が顕著であった。腫瘍内MY-1濃度をDNAプローブ法により測定したが, MY-1は腫瘍内から速やかに消失した。
MY-1は有用性が充分期待でき, 今後臨床的にも広範に検討すべき薬剤と判断された。
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石原 和之, 池田 重雄, 古江 尚
1990 年 5 巻 2 号 p.
458-468
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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新BRM, MY-1の局所投与および皮下投与の皮膚悪性腫瘍に対する有用性を検討する目的で, 後期第II相臨床試験を実施した。局所投与の適格完全例75例の奏効率は43%であった。皮下投与においても奏効例が認められた (3/12, 25%) 。副作用はほとんどが投与部位の発赤・疼痛であった。全身性の副作用としては発熱などがあったが, 他のBRMの報告に比較すれば頻度は低く, かつ程度も軽度であった。MY-1の局所投与は悪性黒色腫, 有棘細胞癌, ATLなどの皮膚病変を主とするリンパ腫, および表皮内癌に著しい奏効例があり, 一方, 安全性が高く使い易いことから, きわめて有用な治療法と考えられた。
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石原 和之, 山崎 直也, 小出 勉, 小松 輝夫
1990 年 5 巻 2 号 p.
469-475
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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ヌードマウス可移植性ヒト悪性黒色腫 (SK-14) に対してBCG生菌の抗腫瘍効果を検討した。移植腫瘍の成長を確認後, コントロール群 (生理的食塩水) , BCG生菌の1mg群および2.5mg群に分け, 皮下投与と腫瘍内投与により腫瘍増殖抑制効果を比較検討した。これによるとBCG生菌投与群ではコートロール群に比較して腫瘍の縮小は認めたものの有意の差はなかった。しかし, 病理組織学的所見によればBCG生菌投与群の腫瘍細胞のほとんどが壊死化し, 大量の好中球の出現が認められ, これが腫瘍細胞の崩壊に関与しているのではないかと考えられた。またかかる変化は皮下投与よりも腫瘍内投与の方が強いように思われた。
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緒方 寿夫, 石原 和之, 山崎 直也, 佐々木 英也, 小出 勉, 小松 輝夫
1990 年 5 巻 2 号 p.
476-486
発行日: 1990/12/20
公開日: 2010/08/05
ジャーナル
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ヌードマウス可移植性ヒト悪性黒色腫ならびに腎癌に対する天然型インターフェロン-γの抗腫瘍効果を検討した。その結果, 悪性黒色腫に対しては静脈内, 筋肉内, および腫瘍内投与のいずれにおいても強い腫瘍増殖抑制効果が認められたが, 腎癌に対しては静脈内, 筋肉内のいずれにおいても, その効果は前者より劣っていた。また, 悪性黒色腫では病理形態学的変化として, 腫瘍巣の縮小, メラニンの増生, 線維の出現, 空胞変性および血管の増生などが認められ, 臨床面での有効性が期待できる薬物であることが示唆された。
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