症例は70歳代女性.心窩部痛を主訴に近医を受診し,腹部超音波検査で膵頭部腫瘤を指摘され,精査加療を目的に当院を紹介された.腹部CT・MRIでは,膵頭部に一部に充実成分を有する約4cm大の多房性嚢胞性腫瘤を認めた.腫瘤内部は漸増性の造影効果を有していた.FDG-PETでは腫瘤に集積を認め,腫瘍性病変を疑われた.
幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行ったところ,膵頭部に約5×4×5cmの充実性腫瘤を認め,病理学的には立方上皮細胞により覆われた大小の粘液結節が集簇した膵粘液癌と診断した.
膵粘液癌は通常型膵癌の一型に分類されるが,その頻度はまれである.膵粘液癌の臨床的特徴,画像所見,発生について文献学的に考察し,併せて報告する.
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