膵臓
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22 巻, 6 号
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特別寄稿
  • 今泉 俊秀, 種田 靖久, 石井 正紀, 飛田 浩輔, 堂脇 昌一, 矢澤 直樹, 松山 正浩, 幕内 博康
    2007 年 22 巻 6 号 p. 609-619
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    膵再建術を,膵·膵管を完全に切離した上で膵·膵管を消化管または膵·膵管と吻合して膵液の流出路を作る場合と定義することを提言する.この場合,膵切除を伴う膵頭切除術や膵分節切除術と,膵切除を伴わない膵温存十二指腸分節切除術や十二指腸乳頭部切除術がある.膵再建に用いる吻合対象臓器の多くは空腸や胃であるが,切除によっては十二指腸や膵·膵管が可能である.膵癌取扱い規約第5版には再建術式に関しては膵頭十二指腸切除術,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術後の再建術式の種類のみが記載されているが,その他の膵再建術の記載は全くなく膵外科手術術式の変化に対応できていない.今後,本提言を踏まえた種々の議論を経て,膵再建術の概念や用語を明確化することが必要である.
特集:自己免疫性膵炎 最前線
  • 大槻 眞
    2007 年 22 巻 6 号 p. 620-623
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    日本の自己免疫性膵炎(AIP)の診断基準は,2002年に日本膵臓学会から提唱され,2006年には厚労省難治性膵疾患調査研究班を中心に改訂された.わが国のAIP診断基準は,膵画像,血清学検査,膵組織の3項目からなっているが,外国の診断基準は,ステロイドに対する反応性も取り上げている.AIP診断では膵癌をAIPと診断しないことであり,感度よりも特異度が重要となる.ステロイドによる治療的診断は,感度を上げるが,特異度を下げる危険性がある.AIPも,自然経過あるいはステロイド治療後では慢性膵炎の特徴的所見を呈するようになってくる症例もある.したがって,今後臨床病期に応じた診断基準,あるいはスコアによる診断·評価方法等を考えなければならないし,AIP症例の中で慢性膵炎へ進展する症例と進展しない症例の違いを解明していかねばならない.
  • 岡崎 和一
    2007 年 22 巻 6 号 p. 624-628
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    近年,注目されている自己免疫性膵炎の報告は急増しており,膵外病変や周辺疾患の位置づけも含め,その概念も変遷しており,海外でも診断基準が提唱されている.最初の自己免疫性膵炎の診断基準であるわが国の「自己免疫性膵炎診断基準2002」もその不備が指摘されるようになり,平成15年度より厚生労働省難治性膵疾患調査研究班の班員·研究協力者によるワーキンググループが組織され,約2年余におよぶ論議を経て,診断基準改訂試案がまとめられた.この改訂試案に対する厚生労働省難治性膵疾患調査研究班と日本膵臓学会の共催による2回の公開討論会(第1回,平成17年10月7日,神戸市.第2回,平成18年4月22日,福岡市)の論議を経て修正された改訂案をもとに「自己免疫性膵炎臨床診断基準2006」が公表された.海外の診断基準との最大の違いは,膵病変に対する診断基準であることと,膵癌との鑑別を特に配慮したことにより,ステロイドの試験的投与を除外したことである.
  • 入江 裕之, 伊藤 鉄英
    2007 年 22 巻 6 号 p. 629-633
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    「自己免疫性膵炎臨床診断基準2006」のUS, CT, MRI像について解説した.膵腫大の評価がそれらの最も重要な項目であるが,腫大の程度が軽微な場合には他の特徴的な画像所見を理解しておくことが重要となる.US像は"ソーセージ様"と呼ばれる低エコーのびまん性腫大が特徴である.CT像はダイナミックCTでの遅延性増強パターンが特徴であり,ダイナミックCTの基本原理を理解しておく必要がある.病態に応じて多彩な所見を呈する可能性があることも認識すべきである.MRI像はT1強調像での低信号,ダイナミックMRIでの遅延性増強パターンが特徴である.病変周囲を取り囲む被膜様構造は病変辺縁部の強い線維化を反映しており,特異度は高い.MRCPは現段階では主膵管の狭細像の正確な評価には用いられないが,今後の画質の向上が期待される.
  • 西野 隆義, 土岐 文武, 白鳥 敬子
    2007 年 22 巻 6 号 p. 634-640
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎の診断には特徴的な主膵管狭細像を確認することが必須である.膵管狭細像は通常ERCPにおいて診断される.膵管狭細像とは「閉塞や狭窄像と異なり,ある程度広い範囲におよび,膵管径が通常より小さく(細く),かつ不整を伴っている膵管像」を意味する.2006年の診断基準では,狭細範囲が全膵管長の3分の1以上であることが必要条件から除かれ,3分の1未満でも血液検査あるいは病理組織学的検査で自己免疫性膵炎の基準を満たせば,自己免疫性膵炎の診断が可能となった.しかし,膵管狭細像の診断にあたっては膵癌との鑑別が困難な症例があり,特に狭細範囲が短い症例では注意が必要である.
  • 川 茂幸, 浜野 英明
    2007 年 22 巻 6 号 p. 641-645
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    「自己免疫性膵炎臨床診断基準2006」に血清IgG4が血清学的診断項目として採用された.IgG4の本疾患に対する感度は80%程度,膵癌を対象とした特異度は98%と非常に高い.しかし,IgG4陽性膵癌例も存在し疾患特異的ではない.IgGは感度70%,特異度75%であった.非特異的自己抗体,抗核抗体,リューマチ因子の陽性率はそれぞれ60%,20%∼30%程度であるが,疾患特異的自己抗体,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体,抗ミトコンドリア抗体はほとんど陽性となることはなかった.各血清マーカーの同一検体による比較検討ではIgG4の診断能が最も優れていた.抗核抗体,リューマチ因子を追加測定することにより診断能はさらに向上したが,IgGを追加しても向上を認めなかった.しかしIgG4が保険適応されていない現状ではIgGが測定される機会が多く,抗核抗体,リューマチ因子を追加測定することが現実的と考えられる.
  • 高瀬 優, 須田 耕一
    2007 年 22 巻 6 号 p. 646-650
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    「自己免疫性膵炎autoimmune pancreatitis(AIP)臨床診断基準2006」の特徴は「小さな材料·生検」での診断,routine以外の特殊染色を用いないことである.本邦のAIPの組織像はlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitisに一致し,その特徴は膵管周囲のリンパ球·IgG4陽性形質細胞の浸潤,小葉間/内の線維化(storiform fibrosis),閉塞性静脈炎である.
    Mayo clinicの診断基準では「小さな材料·生検」が前提とは思えず,またIgG4陽性形質細胞が必須で,本邦の基準と異なる.韓国と本邦の診断基準は類似するが,生検方法が異なる.生検上の課題は,全体を反映しdiagnosticに足る検体の採取である.IgG4陽性形質細胞は,「storiform fibrosis内に認める」ことがdiagnosticであり,生検でも病変部が的確に採取されていれば診断可能である.
  • 西森 功, 大西 三朗, 大槻 眞
    2007 年 22 巻 6 号 p. 651-656
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    2002年の1年間に受療した自己免疫性膵炎症例について全国調査を行った.自己免疫性膵炎の推計年間受療者数は900人(95%信頼区間:670-1,110人),有病患者数は人口10万対0.71人であった.60歳代に発症のピークがあり(全体の45%),46歳以上で全体の96%を占めていた.男女比は2.77:1であった.び漫性の膵腫大と膵管狭細像をともに認める症例は全体の42%であった.血清学的検査の中では血中IgG4値(135mg/dl以上)の感度が最も高かった(83%).多くの症例で膵部での総胆管狭窄がみられたが,膵外胆管狭窄を示す症例は約10%であった.その他の膵外合併症として,唾液腺病変(9.4%),後腹膜線維症(7.3%),慢性甲状腺炎(2.6%),間質性腎炎(1%),間質性肺炎(1%)がみられた.治療として当初(2001年以前)は膵切除の施行される症例が22%もあったが,2002年以降は約90%の症例でステロイド治療が行われていた.
  • 大原 弘隆, 中沢 貴宏, 安藤 朝章, 林 香月, 田中 創始, 小川 観人, 内藤 格, 奥村 文浩, 城 卓志
    2007 年 22 巻 6 号 p. 657-662
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis,以下AIP)は胆管,涙腺,唾液腺,腎,肺,後腹膜腔,前立腺,甲状腺,下垂体,縦隔リンパ節などの膵以外の種々の臓器に膵病変と同様の病理組織学的所見を示す病変を合併する.これらの病変は,膵病変と同時または異時的に発症し,多くはステロイド治療に良好に反応する.全身合併症を有した群は有しない群と比較してγ-globulin, IgG, IgG4の値が有意に高値を示し,より免疫学的な病勢が強いと考えられた.全身合併症を正確に診断することは,合併症に対する無用な侵襲的治療を避けるとともに,AIP自体の診断をより確かなものとする.また,免疫組織学的検討によりAIP患者の血清中には膵管上皮,肝内外胆管上皮,胆嚢上皮,唾液腺の導管上皮などに対するIgG4に属した自己抗体が存在することが明らかとなり,AIPは全身疾患の一部分症である可能性が示唆された.
  • 田中 滋城, 吉田 仁, 池上 覚俊, 北村 勝哉
    2007 年 22 巻 6 号 p. 663-671
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎は膵炎の発症に自己免疫機序の関与が推定されるが,その病因は不明である.治療に関しては,内科治療,特にステロイド治療が基本である.本邦においては日本膵臓学会自己免疫性膵炎診断基準2002年の治療指針および厚生労働省難治性膵疾患調査研究班の治療に関するコンセンサスを基に治療が行われているが,現時点においてのゴールデンスタンダードはない.また,長期予後に関しては詳細不明である.本稿では,AIPの治療および予後(転帰)の現状について概説した.治療に関しては,経口プレドニゾロン初期量,維持療法の維持量および期間など,予後(転帰)に関しては,悪性疾患合併および膵癌併発,自然寛解例など,症例蓄積による解析が望まれる.
  • 神澤 輝実
    2007 年 22 巻 6 号 p. 672-676
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    本邦における自己免疫性膵炎は,高齢の男性に好発し,症状は黄疸が多く,急性膵炎を呈する例は少ない.病理組織学的には,膵臓には著明なリンパ球と形質細胞の浸潤と線維化を認めlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitisと呼ばれている.血中IgG4は高率に上昇し,多数のIgG4陽性形質細胞の浸潤を諸臓器に認める.ヨーロッパのグループは,自己免疫性膵炎で好中球の膵管上皮への浸潤(granulocytic epithelial lesion(GEL))を認める例では,発症年齢が若く,男女差がなく,炎症性腸疾患の合併が多くみられたと報告した.Mayo Clinicも,膵小葉内を中心に多くの好中球の浸潤を認める例をidiopathic duct-centric chronic pancreatitisと呼称し,この例では上記のGEL陽性の例とほぼ類似の臨床像を呈すると報告している.本邦では,このような例の報告はほとんどない.
    韓国とアメリカから2006年に自己免疫性膵炎の診断基準が提唱された.両国と本邦の診断基準の大きな違いは,診断基準にステロイドの反応性と膵外病変の有無を取り入れている点である.今後international consensusを作る必要がある.
  • 下瀬川 徹
    2007 年 22 巻 6 号 p. 677-680
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎は本邦から疾患概念が提唱され,世界的にもこの疾患に対する認識が急速に高まりつつある.一方では,IgG4陽性形質細胞の膵への浸潤と血清IgG4高値を特徴とすることや,多彩な膵外病変を伴い全身疾患である可能性が提唱されるなど,疾患概念自体も変化してきており,なお流動的な側面を有している.病因や病態について今後明らかにされるべき多くの問題を抱えているが,特に臨床上早急にコンセンサスを要する点として,1)慢性膵炎の疾患概念における自己免疫性膵炎の位置づけ,2)自己免疫性膵炎の臨床病理学的な均一性,3)ステロイドによる診断的治療の是非,の3点を挙げたい.これらは,この疾患に関して臨床上混乱をきたす可能性のある大きな要因と考えられ,世界的にもより多くの専門家の間でコンセンサスが必要な問題である.
原著
  • 甲斐 真弘, 千々岩 一男, 長沼 志興, 近藤 千博, 大谷 和広, 大内田 次郎, 永野 元章, 旭吉 雅秀
    2007 年 22 巻 6 号 p. 681-690
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎にともなう膵石症は難治性疼痛と膵機能の低下を示す場合が多い.今回,体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)単独で治療した膵石症22例を対象に治療効果と平均3年(0.5-8年)の追跡結果を検討した.11例で完全砕石,10例で不完全砕石,1例で破砕効果を認めず,結石破砕率は95.5%で完全砕石率は50%であった.疼痛緩和率は95.5%で,疼痛の完全寛解率は81.8%であった.主膵管狭窄を有する場合や結石が大小多発している場合,完全砕石率が有意に低かった.偶発症は急性膵炎と急性胆嚢炎の2例でいずれも保存的治療で軽快した.膵の内·外分泌機能は治療前後で有意な変化を認めなかった.完全砕石例では結石の再発を認めなかった.完全砕石11例では疼痛は全例消失したが,一方不完全砕石10例中8例でも疼痛は消失した.ESWLは単独治療でも結石破砕効果,症状緩和効果が高く膵石症に対する有効な治療法であることが示唆された.
症例報告
  • 長見 晴彦, 織田 禎二, 田中 恒夫, 丸山 理留敬, 仁尾 義則, 川畑 康成, 矢野 誠司, 西 健, 野坂 誠士, 佐藤 仁俊, 大 ...
    2007 年 22 巻 6 号 p. 691-697
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    症例は42歳,男性.アルコール性慢性膵炎にて経過観察中に急に吐血し当院へ来院,大学病院へ救急搬送した.大学病院での緊急内視鏡検査では胃内は凝血塊で充満し,明らかな出血点は確認できなかったが出血は止まっていた.上腹部造影computed tomography(CT)を施行したが,胃内腔の血液貯留及びそれに接した膵仮性嚢胞内出血,左胃動脈仮性動脈瘤を認めた.従って,本症例の吐血は左胃動脈仮性動脈瘤の膵仮性嚢胞内への穿破により仮性膵嚢胞内出血をきたし,さらにその嚢胞が前医で施行されていた経胃的膵嚢胞ドレナージ挿入部周辺の脆弱な部位から胃体部後壁へ穿通し胃内出血を合併したと推測された.本症例に対して診断,治療を兼ね腹部血管造影を行ったところ,左胃動脈仮性動脈瘤を確認した.その後,左胃動脈仮性動脈瘤に対しマイクロカプセルとヒストアクリルリピオドールにより塞栓術を施行した.本患者は膵性疼痛が増強してきたため,膵仮性嚢胞切除を含む膵体尾部切除,左腹腔内神経叢切除を行った.慢性膵炎に仮性動脈瘤を合併する症例は稀ではないが,左胃動脈仮性動脈瘤により膵仮性嚢胞内出血,さらに胃内出血を合併した症例は本邦では文献検索上9例のみであり極めて稀な症例であった.
  • 田原 純子, 清水 京子, 小西 洋之, 羽鳥 隆, 白鳥 敬子
    2007 年 22 巻 6 号 p. 698-702
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,男性.胃癌にて胃部分切除術,Billroth-II法再建を施行された既往がある.増強する上腹部痛を主訴に当院受診し,重症急性膵炎の診断で入院となった.入院後の腹部CTにて,上腸間膜動脈の背側を横走する拡張腸管を認めたため,輸入脚閉塞に伴う急性膵炎と診断した.輸入脚の減圧目的に経皮的腸管ドレナージを施行したところ,腸管の拡張は消失し,膵炎や黄疸の改善を認め,経過は良好であった.しかし,肺炎による呼吸障害が出現し第52病日死亡した.
    胃切除後,輸入脚閉塞をきたし急性膵炎を発症することは知られているが,本例は術後25年経過して発症した.Billroth-II法再建の既往がある症例は,急性膵炎の原因として輸入脚症候群を念頭におき,早期に拡張腸管を減圧し,膵炎の進行を抑えることが重要と考えられた.
  • 土屋 貴愛, 糸井 隆夫, 祖父尼 淳, 糸川 文英, 栗原 俊夫, 辻 修二郎, 石井 健太郎, 池内 信人, 塚本 咲貴子, 竹内 眞美 ...
    2007 年 22 巻 6 号 p. 703-709
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代,女性.発熱,上腹部痛,全身倦怠感を主訴に来院.腹部超音波,腹部CT上,膵頭部に境界明瞭で辺縁整の造影効果の乏しい径90mm大の腫瘤を認め,肝内にも造影効果の乏しい30mm大の腫瘤を認めた.超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)を行いdiffuse large B cell lymphomaと診断し化学療法を開始した.治療開始後3ヶ月の腹部CTでは完全寛解(CR)が得られ,2年以上経過した現在も再発は認めていない.EUS-FNAにより確定診断を得た悪性リンパ腫の症例報告は少なく,適切な治療方針の決定にて,完全寛解に至り良好な経過を辿った症例であったため報告する.
  • 浜本 哲郎, 高野 友爾, 井上 雅之, 野口 美智子, 大村 宏, 堀 立明, 鶴原 一郎, 蘆田 啓吾, 角 賢一, 村田 陽子, 柳 ...
    2007 年 22 巻 6 号 p. 710-716
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/15
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.8年前に腎細胞癌で右腎摘出術を受けている.スクリーニングの腹部超音波検査で膵に腫瘤を認め,dynamic CT,血管造影などで同部に血流の豊富な腫瘍を確認した.腎細胞癌の膵転移を疑い,膵頭十二指腸切除術を施行し,病理学的に腎細胞癌の膵転移と確定診断した.本例では2ヶ月前に造影conventional CTが行われていたが,造影前後でいずれも腫瘤が等吸収で,かつ,腫瘍が膵内にとどまる大きさであったため,発見できなかった.腎細胞癌手術後の膵転移の早期発見のためには,超音波検査に加えて,dynamic CTによる経過観察が必要と思われた.
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