70歳代男性.背部痛,発熱を主訴に前医を受診し,脾動脈の仮性動脈瘤を有する急性膵炎の診断となった.経過中にCTで膵腫瘤を指摘されて当科紹介となった.当院受診時には膵尾部に20mm大の乏血性の腫瘤,再増大する脾動脈仮性動脈瘤,被包化壊死を認めた.仮性動脈瘤に対して先行して脾動脈コイル塞栓術を施行した.主腫瘤は前医受診時と比べ増大し,PET-CTでFDG異常集積を伴うことから膵尾部癌を疑い膵体尾部切除術を行った.術後経過良好で第14病日に退院となった.病理組織診断ではStage IIAの中分化型腺癌でR0切除を行うことができた.
しかし,その後術後2か月で局所再発,肝転移を認め,化学療法を施行するも効果に乏しく,術後7か月に原病死という急速な経過をたどった.
急性膵炎を合併した膵癌の報告は少ないが,自験例のように予後不良症例も存在するため,膵炎診断時には積極的な腫瘍性病変の検索,早期治療開始が望ましい.
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