日本画像学会誌
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44 巻, 1 号
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論文
  • 井上 智明
    2005 年 44 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    酸化銀(I)をポリビニルアルコールとともに基材上に塗膜として形成し,これに近赤レーザー光を照射することにより,導電性銀画像をダイレクトに作製した.希硝酸で処理することにより,未照射部の酸化銀は除去される.この方法で生じる銀は,粒子同士は融着しているが,数μmの空孔を有する多孔質である.細線のエッジ形状は切れが良く,にじみ等の欠点は見られない.今回の検討では,最も細い画線として30μm幅の線を描くことができた.また,使用する酸化銀の粒子径は小さいほど,高精細な画像が期待できる.レーザー光の過剰な照射は,アブレーションの原因となるため好ましくなかった.得られた細線の体積抵抗値は10-5Ωcm台で,めっきなどの追加処理を行わずに,実用的なレベルに達した.
  • 山下 春生, 井東 武志
    2005 年 44 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    連続的な濃度階調が可能である昇華型熱転写方式は,銀塩写真に近い画質が得られる方式である.しかし,プロセスの特性がばらつくとハイライトの階調特性が劣化し,ハイライトのトーンジャンプや色の飽和等の画質劣化が発生する.
     本稿は,ハイライト領域の階調特性を改善することを目的とするハイライト誤差拡散法,およびその手法を昇華プロセスで実現する際に課題となるミクロ濃度の安定化について述べる.着目画素の周辺での平均的な密度を元に,画素に与える熱量を補正するアルゴリズムである.
     提案手法は,視覚的に粒状性が視認されずにハイライトの階調特性を改善できる.
  • 森 一 浩, 市川 与志彦
    2005 年 44 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    本論文では数値流体力学(Computational Fluid Dynamics,以下CFDと記す)を,断熱技術を含む定着器熱設計に適用した.簡易モデルによる解析および詳細モデルによる解析を,輻射遮蔽の利用である金属遮蔽板の省エネ効果および温度上昇抑制効果について実施する.高精度の輻射モデルを用いた簡易モデルによる解析では設計案の相対的な評価ができる.特に,CFDを用いると伝熱による発熱量が得られることが有用である.遮蔽板設置による省エネ効果は,実測によりほぼ同程度の低減が確認された.しかしながら,固体熱伝導を十分にモデル化できないので定着器外部のクリーナ部温度は誤差が大きかった.また,定着器近傍では輻射を考慮する必要がある.
  • 平原 修三, 南谷 晴之
    2005 年 44 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    著者らは,液体トナーが感光体と非接触絞りローラーの間の毛管内で静止状態(非常に遅い内部流れの状態)にある場合に,色材粒子が凝集するプロセスを解析した.この現象を,分散液体が蒸発するメニスカス(空気液体インターフェース)を境界条件とし,移流拡散が支配する流体の場でシミュレートした.その結果,通常の分散液体および通常の環境条件では,凝集は初期状態から約16時間後にメニスカスの端で発生することが分った.さらに,初期濃度の増大あるいは温度の上昇により,この凝集は急激に速くなることも分った.これらの分析方法および導かれた特性は,分散液体と毛管を使用する機器の設計にとって有用になると思われる
Imaging Today
『第三世代フルカラー電子写真のプリンティング市場への展開』
  • — 印刷会社から見たオンデマンド印刷 —
    大坪 尚義
    2005 年 44 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    オンデマンドプリント(POD)とは製品の種類を言うのではなく,必要な時に必要な部数をすぐに印刷するサービスを指しており,現状の印刷設備でも充分このサービスを提供することは可能である.
     技術は? フルカラー無版デジタルプリンターのメーカーはHP社とザイコン社に大別され,後発として複写機メーカーのゼロックス社コニカミノルタ社やコダック社が参入してきた.
     マーケットは? 日本のPOD市場規模は年率50%で伸びると予測していたが,現在は40%に鈍化しているものの,この伸び率は北米の20%,西欧の21%を上回る.今年の市場規模は974億円で2007年は2,700億円が予測でき,大きなマーケットが新たに出現することになる.これらのサプライヤーは大別するとプリントショップ・製版会社・印刷会社・複写業および社内印刷部門である.
  • 野呂 浩司
    2005 年 44 巻 1 号 p. 34-41
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    デジタル印刷の広がりにつれ,大量・高速印刷の分野にもデジタル印刷の普及が始まろうとしている.弊社ではその流れに応えるために新たな基盤を開発した.それが,2004年2月に発表したVarioStream 9000シリーズである.VarioStream 9000シリーズは両面同時印刷機構を採用し,一分間に800ページを印刷する.
     本シリーズの最初のモデル,VarioStream 9210は白黒印刷用であるが,将来にわたる拡張性を備えている.エンジン部はすでに将来の多色化に備えて設計されている.順次基本色の対応を進めており,将来のフルカラー化も計画している.
  • Yee S. Ng, Muhammed Aslam, Thomas Tombs, Karlheinz Peter, 内田 哲雄
    2005 年 44 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    日本画像学会誌でのPOD特集号への寄稿にあたりまして,米国本社,NexPress Solutions Inc.並びに独国法人,NexPress GmbHの研究者達による執筆を報告させていただきます.これは,オフセット印刷並みの品質と見当精度を持った,大量生産型フルカラーデジタル印刷機の研究・開発というテーマでの成果です.
  • 越川 治
    2005 年 44 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    Verification of the solutions: what does market seek for the direct-print Business field, and the issue on expanding the business.
  • — 多極分散型オンデマンド印刷とそれをささえる技術 —
    亀井 雅彦, 市原 美幸
    2005 年 44 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    電子写真,オフセット印刷,銀塩写真等,紙のうえに情報を表現する技術の違いで業界が明快に分かれていた時代は終わり,新たな需要が生まれつつある.それは,下記を満足させる「総合情報出力産業」である.
     (1) あらゆる技術を駆使して,顧客の求める,コスト,納期,品質要求に応えること.
     (2) 顧客の求めるコンテンツを素早く製作,配信し,オンデマンドで利用できること.
     (3) 新たな付加価値による新しいワークフローの提案ができること.
     これらを実現するためのワークフローソリューション,ならびに第三世代カラー技術について解説する.
  • 安部 高志
    2005 年 44 巻 1 号 p. 60-64
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    DocuColor iGen3の導入の背景とターゲット市場を述べる.今後Digital Production Pressの技術は,マーケティング側(オフィス)とプロダクション側(サービス)間との更なる密接な関係を作りだしていくものと考える.
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