日本画像学会誌
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46 巻, 4 号
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原著論文
  • 村山 浩一, 井上 邦弘, 矢竹 正弘, 興梠 可奈
    2007 年 46 巻 4 号 p. 236-240
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/13
    ジャーナル フリー
    顔料インクジェットインクの専用メディアへの浸透速度について,インク中の固形分により形成されるケークの圧力損失を考慮した新しい理論式を提案した.顔料インクジェットインクにおいて,面積あたりの浸透量は時間の平方根に比例することを微小接触角計および,動的走査吸液計により実験的に確認した.また,顔料インクジェットインクの浸透速度のインク水の浸透速度に対する比から,ケークの比抵抗を評価することができることを確認した.
  • 岡田 久雄, 竹内 学, 殷 鍾文
    2007 年 46 巻 4 号 p. 241-246
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/13
    ジャーナル フリー
    測定された付着力が鏡像力より大きくなることを説明するProximity Theoryが提案された.この理論は,球表面にある電荷とその鏡像が極めて接近した場合には,鏡像力が著しく大きくなる場合があることを示している.われわれは,この理論を応用してシリカの作用について検討した.そして,シリカは,被覆率が低い場合は鏡像電荷との距離を長くするスペーサとなり,被覆率が高い場合は電荷を均一に分散させる作用をして,付着力を低減していると示唆する結果を得た.
  • 春原 聖司, 北村 孝司
    2007 年 46 巻 4 号 p. 247-253
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/13
    ジャーナル フリー
    我々は,マイクロカプセル型カラー電気泳動表示素子(MC-color EPD)の研究を行った.近年,カラーフィルターを用いたMC-color EPDがカラー電子ペーパーとして注目を集めている.しかし,カラーフィルターを用いたMC-color EPDは,表示が暗い,またコントラストが低いというような問題を有している.そこで電圧を印加したときに,カラーに着色された電気泳動粒子が,絶縁性溶媒を内包したカプセル内を移動する新規なタイプのMC-color EPDについて研究を行った.絶縁性溶媒中において光学特性(着色性),電気泳動性および分散安定性を有するカラー電気泳動粒子は,逆相乳化—液中乾燥法を用いることにより,同一の反応容器内(ワンポット)で得られた.そしてカラー電気泳動粒子とTiO2白色粒子を用いたカラー電気泳動表示素子は,高い白色度と高いコントラストを示した.
Imaging Today
  • 内山 正喜
    2007 年 46 巻 4 号 p. 255-260
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/13
    ジャーナル フリー
    懸濁重合法トナーは,常にモノクロ・カラー両方においてケミカルトナー市場をリードして来た.懸濁重合という製法に由来する形状特性,すなわちほぼ真球状であることを特徴とし,優れたメリットを発揮している.本解説では,懸濁重合法トナーの歴史を振り返り,懸濁重合法トナーの特性と技術の進捗動向を紹介する.本来,トナーはその性能で議論すべきであり,トナーの製法は必要とされるトナー性能を発現するための種々ある手段のうちのあくまで一つの手段である.今後も,特徴のある製法や技術が開発され,ユーザーに喜ばれる電子写真システムが望まれている.
  • 清野 英子
    2007 年 46 巻 4 号 p. 261-265
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/13
    ジャーナル フリー
    近年,デジタルカラー複合機,カラープリンターに対する,市場要求である,高画質,高生産性,高信頼性に対応するために,トナーとしては設計自由度の高いケミカル製法トナーの開発が加速されている.EA-HGトナーは,前任のEA1トナーの性能を更に高め,前記の市場要求に対応するために開発したトナーである.
    EA-HGトナーは,高画質を達成するために,使用する色材構成の変更による色再現領域の拡大,トナー粘弾性の最適化とトナー内部構造の精密制御による,画像の高グロス化と広い定着ラチチュードの両立を図り,前任のEA1トナーに対し,更なる高画質化と高い信頼性を獲得し,従来以上に高画質で生産性の高いシステムへの導入を可能にした.
  • 山之内 貴生
    2007 年 46 巻 4 号 p. 266-270
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/13
    ジャーナル フリー
    デジタルトナーHD(DT-HD)は,乳化重合凝集法を用いたデジタルトナー2000(DT-2000)を進化させたフルカラー用トナーである.特徴は,形状制御手法の最適化によって,表面平滑性と球形化度を高めながら高いクリーニング性を有する設計によって高品位な出力画像を得ることを可能としたこと,またDT-2000に対し,20°Cの定着温度低減化を達成したことである.これらの技術革新によって,DT-HDを搭載した機種は市場で高い評価を得ている.POD市場をターゲットとしたbizhub PRO C6500においては,優れた色再現性,高画質,高信頼性ならびに印刷用コート紙,極厚紙に代表される多種多様な紙種に対応することに貢献している.また,オフィス市場をターゲットとしたbizhub C451/C550においては,低消費電力化の達成に貢献している.ここでは,DT-HDの特性と開発した技術を解説する.
  • 山田 博, 粟村 順一, 中島 久志, 小番 昭宏, 佐々木 文浩, 南谷 俊樹
    2007 年 46 巻 4 号 p. 271-276
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/13
    ジャーナル フリー
    エステル伸長重合法を用いて,モノクロデジタル多機能プリンター向けのPxPトナーと,フルカラーデジタル多機能プリンター向けのカラーPxPトナーを開発した.エステル伸長重合法トナーでは,ポリエステル樹脂の分子量分布とワックスの分散性を制御することにより,貯蔵安定性を維持したまま低温定着性を達成している.乳化時にエステル伸長反応で得られる高分子量成分と溶融粘度の低い低分子量成分により,定着画像に適度な光沢を持たせている.従来製法の粉砕トナーと比較して,使用時のトナー消費量は約26%削減でき,製造時のCO2排出量は約35%削減でき,環境負荷が低減されている.本報告では,PxPトナーとカラーPxPトナーの技術の特徴と製法について紹介する.
  • Eui-Jun CHOI, Chul-Hwan KIM, Hyun-Nam YOON
    2007 年 46 巻 4 号 p. 277-282
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/13
    ジャーナル フリー
    Recently various CPT (chemically produced toner) technologies have emerged as technical and economical alternatives for producing small sized toners and thus improving the performance of electro-photography. Among the CPTs, polymerized toners generally have a small particle size, a narrow size distribution, and a regular shape, and these characteristics provide better printing performance and brilliant images as compared to the conventional toner. However, the CPT technology based on polymerization method presents several difficulties such as process and equipment complexity, potential for contamination of toner particles by unreacted monomer, inflexibilityofformulation variation and so on.
    We developed a novel chemical milling (CM) method of producing small toner particles, which has the advantages of the polymerization methods but are free of the above-mentioned disadvantages. The spherical toner particles produced by the chemical milling method may have the mean diameter at any value in the range of 3-15Fdm with a simple adjustment of process parameters. The particles generally have a narrow size distribution with the span (=(d90-d10)/d50) value of as low as 0.4. Furthermore, the CM toner is able to meet most consumers' needs for electro-photography by virtue of wide range of controllability and flexibility regarding the key properties such as charging, fusing, and color reproduction.
  • 吉川 雅浩
    2007 年 46 巻 4 号 p. 283-288
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/13
    ジャーナル フリー
    ホソカワミクロングループは粉体に関わる技術を追求し,粉体技術を通して世界の産業に貢献することを企業理念として事業を展開してきた.トナー粒子製造に関しても,粒子の均一性の向上や形状制御に,これら粉体技術が大きく関わっている.本報では,弊社が展開する,トナー製造に関わる粉体処理装置と新たなトナー粒子製造技術について紹介する.
  • 尾松 真一郎
    2007 年 46 巻 4 号 p. 289-294
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/13
    ジャーナル フリー
    電子写真において,画質を高めるにはトナー粒子の小径化が有効である.しかし,従来のドライプロセス(粉砕法)では,小径化に伴いエネルギーの消費が急増し,生産性が大きく損なわれる.また,オイルレス定着が前提である現行のシステムでは,トナー中に多量のワックスが含有されており,その場合,トナーの小粒径化そのものが困難になる.我々は,ドライプロセスに於いて,シリカを粉砕時に共存させるプレコン式粉砕法により,オイルレス定着対応トナーの粉砕分級を低エネルギーで効率的に行う技術を確立した.また,生産性はトナー主原料であるバインダー樹脂の影響を大きく受けることから,粉砕性と樹脂特性を両立させた易粉砕性バインダーの相乗効果により,ドライプロセスでも4Fdm台のオイルレス定着対応トナーを従来品並の生産性で製造することが可能になった.本稿では,ドライプロセスに於けるプレコン式粉砕法と易粉砕性バインダーの相乗効果について解説する.
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