日本画像学会誌
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49 巻, 4 号
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原著論文
  • 岡田 久雄, 上原 利夫
    2010 年49 巻4 号 p. 239-247
    発行日: 2010/08/10
    公開日: 2010/08/13
    ジャーナル フリー
    表面状態理論に基づいた2成分現像剤のトナー比電荷とトナー/キャリアの重量混合比に関する先行研究を再検討した.表面状態理論におけるパラメータとその仮定の扱いに新しい解釈を導入し,以下の結果を得た.
    Leeの式は,実質的にlow density limitからhigh density limitまで,Q/m-T/C特性の説明に適用可能である.T/Cとトナーとキャリアの電界の関係から,トナーとキャリアそれぞれの表面状態密度がトナーとキャリアそれぞれの誘電率に比例することが導かれた.
    最後に,近藤によって提案された接触電場理論における電場は,材料の絶縁耐圧によって決められる可能性を提案した.
  • 森 一浩, 長森 由貴, 大塚 晃次, 岡本 英樹, 伊藤 朋之
    2010 年49 巻4 号 p. 248-254
    発行日: 2010/08/10
    公開日: 2010/08/13
    ジャーナル フリー
    本論文では非構造有限体積法をダブルワイヤースコロトロン近傍電界解析に適用し,本手法による帯電後電位の予測可能性を検討する.ワイヤー周りの電流値を制御することで,いくつかの感光体速度とワイヤー電流値に対して帯電後電位を調べた.Sarmaの仮定を用いる解析手法では,ワイヤー電流が大きい時にワイヤー近傍の電位が実測値に比較して大きくなりすぎるが,電流値が保存する定常状態では,ワイヤー周りの電流値を境界条件とすることは帯電後電位を求める場合,最適である.また,解析を実測と比較して,スコロトロン近傍の電界現象は物理的に単純であることを示す.
解説
  • Palghat Ramesh, Eric Gross
    2010 年49 巻4 号 p. 255-263
    発行日: 2010/08/10
    公開日: 2010/08/13
    ジャーナル フリー
    Control of toner materials state is important to maintain stable printing performance. Xerographic toners are typically blended with additives for adhesion control in development and transfer processes. 10-100 nanometer size surface additives are used to space toners away from the electrode surfaces, thereby lowering adhesion forces. However, in a developer housing, additives get buried into the toner over time due to the repeated mechanical stresses encountered. This is referred to as toner aging. Aged toners can have significantly higher adhesion forces and often perform poorly in development and transfer. This paper discusses models for estimating the surface additive coverage distribution on toners in the developer housing and its impact on development and transfer performance. Examples of toner material state control are presented.
Imaging Today
  • 尾鍋 史彦
    2010 年49 巻4 号 p. 265-270
    発行日: 2010/08/10
    公開日: 2010/08/13
    ジャーナル フリー
    紙のメディアとしての優位性の本質は人間との親和性にある.発達心理学からみると紙の感覚・知覚への訴求力や紙に載せた文字の繋がりからなる意味の認知構造への深く安定的な格納能力は生得的なものであり,個人の知の形成においてはデジタル時代においても紙メディアは優位性を持ち続ける.メディアの人間との親和性を感情価として評価すると,紙メディアの感情価は高く認知過程を促進するが,現段階での電子的表示メディアの感情価は不十分であるために,認知過程を阻害することが考えられる.またアフォーダンス理論によると,メディアの人間との相互作用に関わる身体感覚や文化的環境も認知過程に影響するので,紙の書籍と電子書籍は単なる視覚による読みの差異以外の書籍としての形態や視覚以外の諸感覚も認知過程に関係するが,さらなる解明には認知科学が強力な手段となるだろう.
  • 河合 英昭
    2010 年49 巻4 号 p. 271-275
    発行日: 2010/08/10
    公開日: 2010/08/13
    ジャーナル フリー
    近年,我々の生活を取り巻くデジタル環境は急速に変化している.生活において,情報を載せて運ぶものが“メディア”であるが,生活環境変化によってメディアも変化を求められており,紙メディアもそのひとつである.紙メディアの等の従来メディアが担ってきた情報運搬の役割が,インターネットなどのデジタルインフラの進化によって代替されつつある.
    紙メディアに情報や付加価値を付与する主たる手法として印刷がある.印刷業界は,製造産業として早くからデジタル化が進んできた.1990年代のデジタル化は,製造プロセスを効率化させるデジタル化が主であったが,デジタルインフラが整備されてきた2000年代のデジタル化は,メディアによる情報運搬の業態変革に対応するものである.
    デジタルインフラの整備は,セールスプロモーションにも変化を与えた.セールスプロモーションと大きく関連している紙メディアはどのように変化してきており,今後どのように変化していくべきかについて述べる.
  • 田島 健次
    2010 年49 巻4 号 p. 276-281
    発行日: 2010/08/10
    公開日: 2010/08/13
    ジャーナル フリー
    電子ペーパーは,紙の持つ表示の見やすさと,情報が瞬時に書き換えられるというデジタル機器の利点を併せ持った表示技術である.電子ペーパーとしては,以下の3つの要件を満足する必要がある.(1) 高いコントラストと解像度:電子ペーパーは光の反射によって文字を表示するため,背景と表示の間に高いコントラストが必要となる.また,他の表示デバイスと同様に,きれいに表示させるためには高い解像度が求められる.(2) メモリー性:表示の切換えの瞬間だけに電力を必要とし,その後の表示の維持に電力が必要なければ消費電力を大幅に抑えることができる.(3) フレキシビィティー:用いる素材を柔軟に,さらに素子全体の厚さを薄くすることにより,紙と同様な扱いが可能となる.我々はこのような3つの要件を満足しえる素材として,バクテリアが合成するセルロース(バクテリアセルロース (BC) )を選択した.本稿では,バクテリアにおけるセルロース合成機構とその構造的特徴を活かした新規表示デバイスの開発について紹介する.
  • 坂巻 克己, 布施 マリオ, 伊藤 健介
    2010 年49 巻4 号 p. 282-288
    発行日: 2010/08/10
    公開日: 2010/08/13
    ジャーナル フリー
    情報の電子化の進展によって,Web/Net,PCやUSBを媒介した漏洩インシデント件数が増加していたが,企業の情報セキュリティに対する問題意識の高まりと各種の管理対策の運用が定着し,電子ドキュメントについては,歯止めは掛かっている.一方,紙媒体に対するセキュリティ管理は手薄のままで,2008年以降,全体件数に占める紙媒体経由の比率は高まっている.富士ゼロックスでは,これまでにオフィスのセキュリティソリューションを幅広く行って来たが,本論文では,紙媒体にセキュリティ機能を付与した付加価値技術を紹介する.紙ドキュメントのセキュリティ課題には「情報漏洩防止」と「原本性の確保」があり,それぞれの課題に対して現在開発中の,機密情報の不正持ち出し防止目的の「セキュリティペーパー技術」と,メディア (印刷媒体) の一意性識別目的の「紙指紋照合技術」の概要を説明する.
  • 植松 健
    2010 年49 巻4 号 p. 289-296
    発行日: 2010/08/10
    公開日: 2010/08/13
    ジャーナル フリー
    電子情報機器の発展に伴い,多方面で情報の電子化が進められ,これに伴い貨幣価値までもが電子化されてきた.貨幣価値は従来,紙媒体の紙幣 (銀行券) で展開されてきたが,新たに電子マネーとしての利用が拡大されるようになった.ここでは電子マネーを,SuicaやEdyに代表されるICカード型の電子マネーとして捉えることとするが,この電子マネーは紙媒体の銀行券に置き換わることがあるのであろうか.
    一方で,1988年にオーストラリアの銀行券にプラスチックを媒体としたプラスチック紙幣が登場し,その採用国も現在では20ヶ国を超え,紙メディアの領域と思われる銀行券の領域に新しいメディアを用いた銀行券として登場してきている.
    ここでは,電子マネーが通貨に与えている影響をみるために,通貨流通量の中の電子マネーの発行額を調査し,その影響を推測した.さらに,紙幣,プラスチック紙幣,それぞれで採用される偽造防止技術の違い,それぞれ影響し合うことはあるのかを比較し,紙メディアの銀行券が今後どうなるかを推測した.
  • 高橋 元
    2010 年49 巻4 号 p. 297-305
    発行日: 2010/08/10
    公開日: 2010/08/13
    ジャーナル フリー
    紙と環境の関係について,国の環境配慮物品購買基準であるグリーン購入法における判断の基準と根拠を概観し,基準および根拠の背景にある古紙利用等の技術や木材原料の持続可能性等の理論を紹介し,最後にグリーン購入法も重要視しているライフサイクルアセスメントの紙・板紙への適用方法についても考察し,これらには私たち人間の将来に対する考え方や価値観が強く関与していることを示唆する.
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