臨床リウマチ
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36 巻, 3 号
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誌説
総説
  • 一瀬 邦弘
    2024 年36 巻3 号 p. 154-166
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/19
    ジャーナル フリー

     全身性エリテマトーデス(SLE)の治療において,ヒドロキシクロロキン(HCQ)はその有効性と安全性から中心的な役割を果たす薬剤である.HCQは,SLE患者の疾患活動性を低下させ,症状の緩和や合併症の予防に寄与することが広く認められている.特に,長期にわたる疾患の安定化と生存率の向上において,重要な役割を担っている.HCQの作用機序としては,抗炎症作用,免疫調節効果,および抗ウイルス作用が挙げられ,これらはSLEの複雑な病態生理に対して包括的に働くことができる.最近の研究では,HCQの抗酸化作用や心血管保護効果についても明らかにされており,これにより,SLE患者における心血管イベントのリスクを低減できる可能性が示されている.

     さらに,HCQの使用に伴う網膜毒性リスクについても多くの研究が行われており,視覚障害を予防するためには,適切な用量設定と定期的な眼科検査が重要である.特に,低用量(5mg/kg/日以下)のHCQは,視覚に対するリスクを最小限に抑える一方で,治療効果を確保するために患者のリスクプロファイルに応じた投与量の調整が求められる.アジア人を含む特定の患者集団では,体重や腎機能に基づく用量調整が特に重要である.

     HCQの減量や中止に関するエビデンスも蓄積されつつあり,長期間安定していた患者における中止後の再燃リスクについても考慮する必要がある.最近の研究結果は,妊娠中の使用における安全性や,新たな投与形態による服薬アドヒアランスの向上についても支持している.本総説では,HCQの最新の知見を包括的にレビューし,SLE治療における最適な使用方法を検討することで,患者の生活の質向上と長期的な健康管理の向上に寄与することを目的とする.

原著
  • 伊藤 聡, 羽尾 成昭, 阿部 麻美, 大谷 博, 中園 清, 村澤 章, 石川 肇, 吉川 朋, 須藤 真則, 高村 紗由里, 小林 大介 ...
    2024 年36 巻3 号 p. 167-175
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/19
    ジャーナル フリー

    目的:日本人関節リウマチ(RA)患者でのエタネルセプト(ETN)電動デバイス(クリックワイズ®)の有用性を検討する.

    方法:クリックワイズ®を使用中であった11例でアンケートを行い,各調査項目について,1から5点までを記録してもらい,満足度を調査した.

    患者:平均年齢は63.0±11.0才,平均罹病期間は17.9±5.03年であった.プレドニゾロンとメトトレキサートの平均使用量はそれぞれ0.48±1.21mg/日と,4.64±4.13mg/週であった.5例がバイオナイーブ患者,5例がバイオスイッチ患者であり,1例はJAK阻害薬,その後バイオにスイッチしてからETNへのスイッチ患者であった.ETNの使用量は,10例が50mg/週,1例が25mg/週であった.クリックワイズ®使用前は,9例がシリンジ製剤を使用しており,2例がペンタイプのオートインジェクターを使用していた.

    結果:63歳女性患者(シリンジ製剤25mg/週)はクリックワイズ®を中止し,シリンジ製剤を再開した.10例はクリックワイズ®の使用に満足し継続している.11例の満足度スコアの平均は4.1±1.1点であった.

    結論:クリックワイズ®は従来製剤から切り替えた11例中10例で好まれたが,さらに症例数を増やした検討が必要である.

  • 神崎 初美, 畑 真紀子, 井上 満代, 戸ヶ里 泰典, 日高 利彦, 黒木 喜美子, 村澤 章, 三浦 靖史, 松井 聖
    2024 年36 巻3 号 p. 176-185
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/19
    ジャーナル フリー

    目的:関節リウマチ(RA)患者の心理的適応尺度(Rheumatoid Arthritis Psychological Adaptation Scale: RAPAS)を開発し,信頼性及び妥当性を検討した.

    方法:論文データベースを用いた系統的文献検索手法でRA患者の心理的適応に関する94項目を抽出し,RA患者5人に内容妥当性を聴取し,62項目を原案とした.全国5病院(北陸1,関西3,九州1)のRA患者にWebもしくは質問紙調査をした.尺度の信頼性は項目分析,確証的因子分析,Cronbach α係数で確認した.妥当性は,本尺度と日本語版24項目版Recovery Assessment Scale(RAS),の相関で確認した.

    結果:対象は209人(Web118,紙面91),平均63.5歳,平均RA歴15.5年だった.分析の結果,「リウマチの症状コントロールへの自信」「リウマチである自己に対する肯定感」「リウマチ患者間のピアサポート」「統制感」「利他主義」の5因子25項目となった.2項目間にパス線を繋いだ修正モデルで最も適合度[Comparative Fit Index(CFI)=0.923,Root Mean Square Error of Approximation(RMSEA)=0.059]が高くなった.

    結論:本尺度は,信頼性、構成概念妥当性、基準関連妥当性を備えた尺度である.

  • 太田 悟, 岡田 英吉
    2024 年36 巻3 号 p. 186-195
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/19
    ジャーナル フリー

    【目的】治療修飾の少ないPhase1治療の段階で,RA患者の組織の免疫染色により,表現型(免疫フェノタイプ)を調べ薬剤選択を行った症例について検討を行った.

    【方法】2019年1月以降,RAと分類されPhase1治療中に組織病理検査を施行した7例(男性2例,女性5例)平均年齢73.2(54-85)歳,肩関節手術2例,THA1例,TKA2例,手関節腱鞘滑膜1例,足部リウマチ結節1例を対象とした.術中採取した組織の免疫染色でCD3,4,20優位をLymphyoid type(以下L type),CD68優位をMyeloid type(以下M type)に分けた.L typeは抗IL-6製剤を,M typeはTNF阻害剤をそれぞれ優先的に選択した.

    【結果】L typeが4例,M typeが3例であった.投与後平均24週でCRP,DAS28(ESR),CDAIについて全症例で改善を得,低疾患活動性以下であった.

    【結論】Phase1治療の段階で患者の免疫フェノタイプを調べることは,その後の有効な生物学的製剤の選択,治療予測につながることが示唆された.

  • 山田 智彦, 金森 真紀, 南井 崇宏, 長 陽二郎, 藤田 将平, 西岡 弘晶, 住友 秀次, 大村 浩一郎
    2024 年36 巻3 号 p. 196-202
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/19
    ジャーナル フリー

     抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎に対してシクロホスファミドを含む多剤併用免疫抑制療法施行中に血尿を来すも,アデノウイルス迅速抗原検査を用いることで免疫抑制療法を中断することなく治療継続できた一例を経験した.

     アデノウイルス迅速抗原検査は簡便で迅速に行える検査であり,シクロホスファミドを含む免疫抑制療法中に血尿を認めた場合にはウイルス性出血性膀胱炎を考慮し迅速検査の検討を行うべきである.

  • 曽根 美奈子, 今井 友美, 齋藤 有紀, 伊藤 聡, 石川 肇
    2024 年36 巻3 号 p. 203-212
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/19
    ジャーナル フリー

    目的:関節リウマチ(RA)は関節滑膜をターゲットとする全身性自己免疫疾患であり,炎症が強ければ体重減少,食欲不振といった全身症状を伴う慢性消耗性疾患となる.そこで,フレイル及びプレフレイルのRA患者において食習慣,体格,身体機能等を調査し,これらの関連を検討した.

    対象・方法:フレイル進行予防目的で当院に入院となったRA患者71例(平均年齢80.9歳,男性14例,女性57例)を対象に食習慣スコア,栄養状態,肥満度,骨格筋量,骨密度,筋力,身体機能等について各項目間の相関を調べた.

    結果:controlling nutritional status(CONUT)と%young adult mean(YAM)において,半数以上の患者は正常域から外れていた.食習慣スコアとCONUTの間には弱い負の相関が,CONUTとbody mass index(BMI)には負の相関がみられた.%YAMとBMIには弱い正の相関が,%YAMとskeletal muscle mass indexには正の相関がみられた.フレイルとプレフレイルの比較では,握力,歩行速度等で有意な差がみられた.

    結論:フレイル及びプレフレイルのRA患者では,栄養状態を良好にすることが重要で,そのために食事バランスを整えることが大切であることが示唆された.管理栄養士は患者の栄養状態の低下を防ぐために食事の面から患者をサポートする必要があるように思われた.

  • 荒牧 俊幸, 友川 拓也, 井手 裕之, 道辻 徹, 寺田 馨, 江口 勝美, 植木 幸孝, 古藤 世梨奈, 高谷 亜由子, 岩本 直樹, ...
    2024 年36 巻3 号 p. 213-221
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/19
    ジャーナル フリー

    【目的】サリルマブ(SAR)は関節リウマチに対する2剤目のIL-6阻害薬である.今回単施設におけるSARの継続率と効果不十分中止,有害事象中止に関与する因子について検討した

    【方法】2018年から2022年までに当院にてSARによる治療を開始された症例を対象とした.薬剤継続率はKaplan-Meyer法,競合する各イベント(効果不十分中止,有害事象中止)の累積発生率に関与する因子の群間比較はGray検定を用いた.多変量Fine-Gray比例ハザード回帰分析を実施し,従属変数としての累積発生率と,リスク因子とみなされた独立変数との関連性を評価した.

    【結果】対象は87例.女性76.5%,開始時の平均年齢は65.5歳,平均罹病期間11.6年,RF,ACPAの陽性率はそれぞれ74.7%,70.9%であった.またBMIが30kg/m2以上の肥満症例が10例,11.5%であった.b/tsDMARDの使用歴があったのは,59例・67.8%,開始時のCDAIの平均は21.7であった.治療開始時のMTXおよびPSLの併用率・併用量はそれぞれ,61.6%・8.1mg/週,37.9%・5.2mg/日であった.治療開始1年での薬剤継続率は75.0%,同期間での効果不十分中止・有害事象中止はそれぞれ15.9%,12.0%であった.効果不十分中止に関与する因子としてBMI≧30kg/m2が多変量解析の結果抽出され,オッズ比 3.84,95%信頼区間 1.29-12.2であった.有害事象中止の最多は皮膚障害(31.3%)であり,多変量解析で有意な因子は抽出されなかった.

    【結論】SARの効果不十分中止に関与する因子としてBMI 30kg/m2以上の肥満が抽出された.高度の肥満はSARの効果に制限をもたらす可能性が示唆された.

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