日本画像学会誌
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41 巻, 2 号
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論文
  • 水野 恒雄, 半那 純一
    2002 年 41 巻 2 号 p. 124-129
    発行日: 2002年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    中間転写ベルトは,電子写真方式のカラープリンタにおいては重要な役割を果たしている.しかし,その電気的特性に関しては従来十分な評価がされておらず,多くは転写ベルトを等価的に抵抗と容量の並列回路として取り扱われている.また,抵抗成分はオーミックな伝導特性を持つものと仮定されていた.
     本報告では,転写ベルトの誘電率,キャリア濃度,キャリア移動度,さらにキャリア移動度の電圧依存性に関して詳細な検討を行い,電気伝導特性を明らかにして次の結果を得た.
     誘電率は,実際に使用する高電界下での測定を行うため,抵抗を転写ベルトに直列接続した回路を使用し,その回路の周波数特性より求めた.誘電率は周波数に依存し,周波数が高くなるに従い緩やかな減少傾向を示した.しかし,誘電率の電圧依存性は見られなかった.
     キャリア濃度とキャリア移動度は,誘電率と電流―電圧特性から算出し,この結果から,転写ベルトは電荷移動状態に3つの状態があることを示した.電圧が低い時にはオーミックな伝導特性を示す領域,ある電圧を超えると空間電荷が形成され空間電荷制限電流の領域となり,さらに高電圧では,キャリア移動度が電圧依存性を持つ領域である.
  • Kosuke SASAI, 宋 明良, 中島 健
    2002 年 41 巻 2 号 p. 130-137
    発行日: 2002年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    静電気力を利用して水性インクを自由表面から紙に輸送するプリントシステムにおいて,隣接する各画素のインク輸送を個別に制御できる条件を3次元数値解析により明らかにした.その結果以下の結論を得た.(1)各画素のインク輸送を個別に制御するためには,隣接する電極中心の間隔を254μm(100dpi相当)以上確保する必要がある.(2)隣接する電極中心の間隔が254μmの場合は,スイッチング電圧印加時にクロストークを防ぐために隣接するインクを輸送しない電極のバイアス電圧を0Vにする必要がある.(3)隣接する電極中心の間隔が254μmの場合は,隣接する電極の影響によりインク輸送量が7倍以上変動する.このプリントシステムを実用化するためには隣接する電極の影響を低減することが必要である.
  • 木村 正利, 納 浩史, 和納 正弘
    2002 年 41 巻 2 号 p. 138-143
    発行日: 2002年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    バイアスローラ転写法はオゾンの発生がなく,しかもコロナ転写法より広い環境に適用可能な為,小型低速機分野を中心に広く普及し始めている.しかし,定電圧駆動による従来のローラ転写法では,転写特性が用紙の厚みの影響を受けやすいという課題があった.そこで,筆者らはこれに代わる方法として,定電流駆動によるローラ転写法を提案した.
     本論文では,定電流駆動による導電性ローラ転写法の基本転写特性について,理論的・実験的に検討した.その結果,定電流駆動時においても,定電圧駆動時の主要因である転写領域の空隙電界,すなわち,記録紙上の転写電荷量により転写特性が一義的に決まることを定量的に示した.また,最適転写電荷量500μC/m2を用紙に与えるように定電流駆動を行えば,用紙厚みの影響を受けないことも示した.さらに,定電流駆動時に問題となる用紙幅の影響について,等価回路モデルを使用して検討し,転写ローラの抵抗を109Ωcm以上とすることで,用紙幅の影響を低減できる事を明確にした.良好な転写を行う為の機械的条件についても検討し,最適転写圧力は25gf/cm~50gf/cmの範囲であること,転写ローラの周速度を感光体の其れより数%程度遅くすることで文字の中抜けが低減できること,などを実験的に明らかにした.
  • 佐川 明美, 前川 勉, 角田 敦
    2002 年 41 巻 2 号 p. 144-150
    発行日: 2002年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    固体インクジェットプリンタ用に,顔料系固体インクを開発した.1ヶ月以上分散が安定である顔料の粒子径は,0.13μm以下であることを経験式から求めた.主成分となるワックスを官能基で分類して,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)およびブラック(K)顔料の分散性をそれぞれ評価した.良好であった長鎖アルコール系ワックスと顔料の組成を最適化し,モーターミルとホモジナイザを併用して分散処理することで,インクジェット記録に適した低粘度化を達成した.
     インク受容層が無い汎用普通紙へのプリントにおいて,顔料系固体インクは,実用化レベルに十分な色再現域を示した.彩度(C*)は,実用上必要とされる,Y≧70,M≧60,C≧45を各色いずれも達成した.また,高濃度でかつ用紙裏面へのインクの裏抜けが少ない記録品質はレーザープリンタと同等であった.さらに耐光性は直射光下で1年以上実用可能なレベルであった.
  • 深野 善信, 増田 和人, 岡野 守, 米倉 清治
    2002 年 41 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 2002年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    静電方式インクジェット用マルチヘッドの開発において微細加工プロセスの適用を検討した.階調パターン印字実験によりマルチヘッドの印字性能を評価した結果,パルス幅50μsから400μsまで8段階のパルス幅変調により,ドット径を10μmから60μmまで変化させることができた.各々のドット径での階調パターンの反射濃度を測定した結果,およそ0.3から1.2まで変化することが分かった.また,吐出ヘッド間でのドット径のばらつきは,最大ドット径60μmで±9.9μm(±16.5%)であった.最後に,イエロー,マゼンタ,シアンによるカラー画像の印字実験により600dpi以上の解像度でフルカラー画像を印字することができた.
Imaging Today
『IT時代を担うインクジェットプリンタ』
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