バイアスローラ転写法はオゾンの発生がなく,しかもコロナ転写法より広い環境に適用可能な為,小型低速機分野を中心に広く普及し始めている.しかし,定電圧駆動による従来のローラ転写法では,転写特性が用紙の厚みの影響を受けやすいという課題があった.そこで,筆者らはこれに代わる方法として,定電流駆動によるローラ転写法を提案した.
本論文では,定電流駆動による導電性ローラ転写法の基本転写特性について,理論的・実験的に検討した.その結果,定電流駆動時においても,定電圧駆動時の主要因である転写領域の空隙電界,すなわち,記録紙上の転写電荷量により転写特性が一義的に決まることを定量的に示した.また,最適転写電荷量500μC/m
2を用紙に与えるように定電流駆動を行えば,用紙厚みの影響を受けないことも示した.さらに,定電流駆動時に問題となる用紙幅の影響について,等価回路モデルを使用して検討し,転写ローラの抵抗を10
9Ωcm以上とすることで,用紙幅の影響を低減できる事を明確にした.良好な転写を行う為の機械的条件についても検討し,最適転写圧力は25gf/cm~50gf/cmの範囲であること,転写ローラの周速度を感光体の其れより数%程度遅くすることで文字の中抜けが低減できること,などを実験的に明らかにした.
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