〔目的〕実習指導者の役割行動や指導意欲に組織風土がどのように影響しているかを明らかにする。〔方法〕A地方の実習指導者296名に質問紙調査を行い、役割行動、組織風土を因子分析後、各下位尺度間の関連について重回帰分析並びにパス解析を行った。〔結果〕役割行動は『記録物のアドバイス』、『自律的行動の環境調整』、『リラックスできる雰囲気作り』、『実習意欲向上の援助』、『建設的な助言』、『論理的思考の援助』の6因子、組織風土は『研究的雰囲気』、『師長のリーダーシップ』、『看護師の不当な評価』、『過酷な業務』、『理念に基づく教育』、『権威的な人間関係』、『話し合いの場の欠如』、『スタッフの意欲的態度』の8因子で構成されていた。パス解析の結果、組織風土の『スタッフの意欲的態度』が指導意欲の『人間関係』、また『理念に基づく教育』が『環境整備』を介してそれぞれ役割行動へ強く影響を及ぼしていた。〔考察〕教育的でモラールの高い組織風土のもとでは、実習指導者の指導意欲は高まり、それが役割行動の発揮へと繋がるものと推測された。