〔目的〕本研究の目的は、看護専門学校において教員が働きながら大学院教育課程で学ぶ際の進学支援の現状を明らかにすることである。
〔方法〕全国の看護専門学校3年課程475校の管理職者に自記式質問紙を郵送し、返送された210校(44.2%)の調査票を分析した。
〔結果〕本調査回答校において、進学の際に利用できる職場の制度は、休職制度が「ある」22.9%、
短時間正職員制度が「ある」7.6%、経済的支援制度が「ある」5.7%であった。管理職者の80.2%は、教員の大学院進学を「必要」と考え、「勤務時間の調整」、「役割や業務内容の調整」、「教員間の協力体制の調整」により支援していた。
〔考察〕看護専門学校において教員が働きながら大学院教育課程で学ぶことを促進するための体制を整備するためには、①大学院での学びが活かせる職場環境の整備、②支援体制を整備するための公的な財政支援、③教員数の増員と柔軟な雇用体制の整備、④教員の資格要件の見直しといった4つの課題があると考えられた。
〔目的〕看護基礎教育における看護教員の「栄養アセスメント項目」重要視度に関する意識調査を行い、看護教員の「栄養アセスメント項目」重要視度を明らかにする。
〔方法〕看護系大学、専門学校に所属する基礎実習担当教員と成人実習担当教員を対象に、看護基礎教育に用いる一般的なテキストから身体計測、検査データ、食事に関する項目、身体的な観察、栄養のリスクを伴う疾患、5カテゴリーからなる計89栄養アセスメント項目を抽出し、各項目の重要視度を質問紙調査法により行った。
〔結果〕有効回答数171(回答率21.3%)であった。身体計測・検査データの重要視度は、他のカテゴリーに比べ低い結果であった。基礎実習担当教員と成人実習担当教員との間に重要視度に有意差が見られた項目は、89項目中7項目であった。
〔考察〕栄養アセスメント項目の身体計測、検査データの教育を重要視する必要性が示唆された。
また、基礎実習担当教員と成人実習担当教員の差はあまりないことが認められた。
〔目的〕精神看護学実習において看護学生が直面する困難感の出現時期とその内容を明らかにする。
〔方法〕単科精神病院で実習を行う看護系学部生11人を対象に、実習中の毎日のカンファレンスと毎日の実習終了後の半構成的面接から、精神看護学実習における困難感を抽出した。
〔結果〕124の困難感が抽出され、環境・他患者とのかかわり・受け持ち患者とのかかわり・患者に必要な援助の抽出の4つに類型化された。
〔考察〕困難感の出現時期によって、①実習初期に短期間出現する環境・他患者とのかかわりの困難感、②実習全期間に繰り返し出現する患者に必要な抽出に伴う困難感、③実習全期にその内容が変化しながら出現する受け持ち患者とのかかわりの困難感の3つに分類された。困難感の内容では最も多く抽出された受け持ち患者とのかかわりの困難感において、コミュニケーションの悩みが中核的困難感であることが明らかになった。