日本看護学教育学会誌
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33 巻, 2-2 号
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原著
  • 米田 真央, 細田 泰子, 紙野 雪香
    原稿種別: 原著
    2023 年 33 巻 2-2 号 p. 29-41
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/31
    ジャーナル フリー

    〔目的〕コンピテントナースの看護実践におけるアンラーニングの過程を明らかにする。

    〔方法〕看護系大学を卒業した卒後3年目の看護師18名を対象に半構成的面接を行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる分析を行った。

    〔結果〕コンピテントナースの看護実践におけるアンラーニングの過程は、《新人ではない立場を認識し始める》状況の中で、うまくいかない経験から《自分の実践の有り様を省察する》ことで《患者との関わり方を模索する》。そして、《現状を打開するために新しいやり方に挑戦する》ことで患者から期待する反応が返ってくると、《自身の視点取得に確かな感覚を抱く》。自分の実践が変化しつつあることを認識し、《自分の経験を次に生かす》行動をとることが明らかとなった。

    〔考察〕コンピテントナースは、他者との関わりを通して看護実践をアンラーニングしていた。コンピテントナースへの支援には、看護実践を省察する機会を設けること、他者の看護実践を見聞きできる環境をつくることが必要であると示唆された。

  • 髙野 真由美, 吉村 惠美子
    原稿種別: 原著
    2023 年 33 巻 2-2 号 p. 43-54
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/31
    ジャーナル フリー

    〔目的〕老年看護学に熟練した看護教員がどのように学生と高齢者の関わりを支援し、学生のケア意識を育成しているのかそのプロセスを明らかにする。

    〔方法〕老年看護学に熟練した看護教員7名を対象に、半構造化インタビューし、質的帰納的に分析をした。

    〔結果〕看護教員が支援した関わりは、第1プロセスのきっかけづくりで4カテゴリー、第2プロセスの主体性の促進で6カテゴリー 、第3プロセスのケアへの実感を深めるで3カテゴリーが抽出された。関わりの支援の結果、学生と高齢者間では【心地よいケア関係】が構築された。

    〔考察〕看護教員による関わりの支援によって、学生のケア意識は、自身に向けられたケア意識から、高齢者のためだけのケア意識、さらに自身と高齢者双方に向けられたケア意識の向上が示唆された。

  • 伊藤 優峻, 松田 安弘, 服部 美香, 山下 暢子, 金谷 悦子
    原稿種別: 原著
    2023 年 33 巻 2-2 号 p. 55-68
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/31
    ジャーナル フリー

    〔目的〕新人看護師が看護実践の質向上に効果的と知覚する実地指導者の指導を明らかにし、実地指導者の指導に対する新人看護師の知覚の特徴を考察する。

    〔方法〕新人看護師として病院に就職後2年未満の看護師838名を対象に郵送法を用いて質問紙を配布した。分析には、Berelson, B.の方法論を参考にした看護教育学における内容分析を用いた。

    〔結果〕207名より返送があり、自由回答式質問に回答した155名のデータを分析した結果、【新人看護師が実践した看護の可・不可の内容と改善点を説明する】等、新人看護師が看護実践の質向上に効果的と知覚する実地指導者の指導を表す37カテゴリを明らかにした。

    〔考察〕37カテゴリを文献と照合し、考察した結果は、実地指導者の指導に対する新人看護師の知覚が《新人看護師にとって必要な知識や技術の確実な修得につながる支援》等、10の特徴を持つことを示した。

  • -研究指導の質向上に向けて-
    中山 登志子, 舟島 なをみ
    原稿種別: 原著
    2023 年 33 巻 2-2 号 p. 69-80
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/31
    ジャーナル フリー

    〔目的〕看護学の修士論文指導に携わる教員が、指導上直面する問題を自己診断するための信頼性、妥当性を備えた尺度を開発する。

    〔方法〕混合研究法の探索的順次デザインを用いた。質的に解明した問題を基盤に質問項目を作成し尺度化した。尺度検討会とパイロットスタディを行い内容の妥当性を検討した。全国調査を実施し尺度の信頼性と妥当性を検討した。

    〔結果〕有効回答は215部であり、項目分析の結果に基づき20項目を選択した。α係数は.87、再テスト法の結果はr=.87(p<.001)であった。主成分分析と共分散構造分析の結果、尺度が概ね1次元性であることを確認した。総得点と研究指導能力はr=−.385(p<.001)、博士を輩出した経験を持つ者の得点は、持たない者の得点よりも有意に低かった。

    〔結論〕本尺度は信頼性と一定程度の妥当性を備えており、教員が指導上直面している問題を客観的に理解するために活用できる。

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