看護学生の自己教育力育成の方法を探る目的で自己教育力に及ぼす学生のもつ看護婦イメージの影響を検討した。その結果、
①自己教育力の因子として、「自己肯定」「目標達成意欲」「(非)行動統制」「目標意識」「(非)内省」「感情統制」の6因子が抽出された。
②看護婦イメージの因子として、「専門的職業イメージ」「魅力的職業イメージ」「温かい職業イメージ」「危険を伴う職業イメージ」「社会的に認められた職業イメージ」「激しい職業イメージ」の6因子が抽出された。
③自己教育力の合計点及び「自己肯定」「目標達成意欲」「目標意識」「(非)内省」の因子得点は、学生のもつ看護婦イメージの影評を受けていた。
④2年次までは、学生の看護婦イメージは変化していたが、自己教育力の変化は少なかった。3年次以降学年進行と共に学生の自己教育力全体と「自己肯定因子」得点が上昇していた。
本研究の目的は、基礎看護技術の校内実習において、効果的なデモンストレーションの方法を検討することである。看護学校2年課程1年生45名を2群に分け、清拭の校内実習の際に、各々別の方法(A群:患者への対応が中心、B群:学生への説明が中心)でデモを実施し、到逹度を比較した。また、学生のレポートから学びの内容を比較した。以下のような結果が得られた。
1) 精神運動領域において、基本動作は両群共に90%以上の学生が到達できた。必要物品の準備は、A群の到達度が低かった。
2) 情意領域において、患者への配慮のための言語数はA群がB群より多かった。
3) 学生のレポートから、VTRやデモから学んだことの第一は基本動作で、両群の差はなかった。
患者への配慮を学ばせるためには、患者への対応を中心にしたデモの方法が効果的であると考える。
看護基礎教育において看護技術をどのように教授するかが重要である。近年臨床で提供される看護技術は保健医療の進歩に伴い変化し、看護教育における教育内容と臨床場面でのギャップが指摘されている。そこで臨床で行われている看護技術の現状を把捏し、教育の場で教授されている教育内容との違いを明らかにすることにした。特に看護技術の教材として看護用具に焦点をあて、臨床でどのような看護用具を使用して看護しているかを明らかにすることによって看護技術を教授する場合の教材の精選に役立てたいと考えた。
全国の200床以上の病院501施設を対象として、質問紙による調査を行った。調在内容は、基礎看護技術の単元毎に教材として使用される主な看護用具を抽出し、その使用状況を「いつも使用」「時々使用」「使用しない」の3段階で使用頻度を調査した。質問紙の回収率は314施設から解答があり、62.5%であった。
その結果、医療の進歩や効率のよい方法で看護技術を実施しようとする傾向から看護技術の方法が変化してきた状況が明らかとなった。その一つに改良された看護用具があり、電子体温計やディスポーザブル浣腸器、ディスポーザブル注射器等がある。看護技術として変化が見られず臨床で多く使用され実施されているものに、フラットシーツを用いたベッドメーキングや流水法による手指消毒法がある。また、石鹸を用いた清拭やケリーパッドによる洗髪、氷嚢等は使用頻度は少ないが実施されていた。
反対に臨床で使用頻度の低いものに平型水銀体温計、スプレッド、ガラス製浣腸器、経鼻カテーテル、酸素テント等があった。これらの結果から教材は時代の変化に合わせて精選し看護技術の原理・原則を押さえるためにどのような教材を用いて教授していくか、常に検討していく必要があることが示唆された。