〔目的〕看護学生の成人看護学実習前から実習3週目にかけての首尾一貫感覚:Sense of Coherence(以下、SOC)と精神健康度・身体症状・生活状況・社会的状況の推移、およびSOCとこれらの項目との関連を明らかにすることを目的とする。
〔方法〕成人看護学実習を履修する学生に質問紙調査を実施し、実習前、実習1週目、実習2週目、実習3週目のSOC(SOC-13日本語版)と精神健康度(日本版GHQ-12)、身体症状、生活状況、社会的状況を調査した。
〔結果〕分析対象は92名。実習前~実習3週目のSOCに有意な変化はなかった。全測定ポイントで、SOCはGHQ-12と強い負の相関、社会的状況と正の相関、実習1週目~3週目で身体症状と負の相関、実習2週目・3週目で生活状況と正の相関があった。
〔考察〕実習中の看護学生は、SOCと精神健康度、身体症状、生活状況、社会的状況との間に関連があることが明らかになり、ストレスの高い臨地実習であっても、ストレス対処力の高い学生は、生活を整え、心身の体調を維持し、周囲からのサポートを得て実習に臨んでいることが示された。
〔目的〕対人関係におけるセルフモニタリングの概念分析を行い、定義を明確にすることを目的とする。
〔方法〕Rodgersら(2000)の概念分析の手法を参考に、先行要件、属性、帰結、関連概念、定義を検討し分析した。
〔結果〕30論文を分析した結果、先行要件は社会的特性、自己の内的特性の2カテゴリ、属性は観察、状況の察知、状況に対する行動の選択とコントロールの3カテゴリ、帰結は状況を見極めた行動、自己の内面的変化の2カテゴリが導き出された。
〔結論〕本概念は、対人関係における自身の状況を、意図的にモニターする際の視点として有用であり、経験として蓄積し、実践知へ移行させ、看護実践の向上が可能と考える。