〔目的〕看護基礎教育における成人看護学周手術期領域の知識項目のミニマム・エッセンシャルズ(以下、ミニマム)を、臨地実習指導者(以下、実習指導者)の考えにより明らかにする。
〔方法〕614名の実習指導者を対象に、全3回のデルファイ調査を実施した。コンセンサスを示す同意率は70%を採用した。
〔結果〕134の知識項目のうち50項目にコンセンサスが得られた。実習指導者は、麻酔や手術による合併症を予測し、術中および術後の観察と予防の看護をミニマムと考え、術前から術後合併症のリスクファクターとなる基礎疾患や生活習慣、心理状態などに着目し介入するための知識をミニマムと捉えていた。
〔考察〕本研究で得られたミニマムを参考に、周手術期領域の授業計画を再編成し、実習や卒業時における学生の知識修得あるいは看護実践の側面から教育を評価していく必要性が示唆された。
〔目的〕中堅看護師が考える所属組織の看護実践能力向上の課題とその解決方法を明らかにし、組織における看護実践能力の向上のための示唆を得る。
〔方法〕半構造化インタビューにより得られたデータを質的帰納的に分析した。
〔結果〕中堅看護師は、看護実践能力向上の課題を【新人・若手看護師の基本的看護実践能力の低迷】、【新人・若手看護師に対する教育の不十分さ】、【中堅看護師自身の看護実践能力の低迷】、【看護師としてのキャリア形成に対する意欲の減退】、【看護を充実させるための人材不足】と捉え、解決方法を【個別的で実践的な指導】、【組織からの継続的なサポート】、【看護への動機づけの強化】、【中堅看護師自身の成長】、【メンタルマネジメント】と捉えていた。
〔考察〕中堅看護師が捉える課題は看護実践能力や教育の現状だけでなく、キャリア形成や人材確保まで見据えており、看護管理者の視点とも異なっていた。中堅看護師と看護管理者の考えを統合し、ともに組織の看護実践能力の向上の方略を検討することが望まれる。