静脈経腸栄養
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23 巻, 2 号
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特別寄稿
特集:PEGをめぐる問題点とその解決法
  • 倉 敏郎
    2008 年 23 巻 2 号 p. 213-219
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    PEG造設法は従来Pull/Push法とIntroducer法に分類されてきた。しかし、それらの欠点を克服した新しい造設用のカテーテルキットの開発により、より安全な造設が可能となってきている。しかしながら、残胃などの特殊症例が今後ますますPEGの対象となる事が予想され、それぞれの特徴に併せた造設法の選択が必要である。また、PEG困難症例では、状況に応じてPEGばかりにこだわらず、PEJやPTEGなどの手技も選択する必要がある。
  • 紺野 潤
    2008 年 23 巻 2 号 p. 221-227
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    最近摂食嚥下障害の患者に対する栄養療法は、経静脈栄養から経腸栄養にシフトしてきている。そのような事から経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下、PEGと略)を施行される患者が増加している。このような患者に、地域と連携して安全にスムースに造設するシステムを函館地区で構築した。本稿ではその構築経過、実際の連携方法、当院における現在の実績について概説する。
  • 山口 浩和
    2008 年 23 巻 2 号 p. 229-233
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    社会の高齢化に伴い、要介護高齢者は増加し胃瘻の需要はますます高まっている。PEGは造設後も長期にわたって十分な管理が必要である。患者、患者家族に対し造設時に早期の合併症だけでなく、長期の管理に関する説明も十分説明しておく必要がある。長期の管理では、スキンケア、胃瘻からの漏れが重要である。PEGの増加に伴い、PEG交換の頻度も増加してきている。患者に負担をかけない、安全な交換のシステムを早急に考える必要がある。
  • 合田 文則
    2008 年 23 巻 2 号 p. 235-241
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    胃瘻からの半固形化栄養材短時間摂取法(以下、半固形化法と略)は、健常人が1回で食べる量を、健常人が口の中で噛み砕いてできる半固形状の食塊にして、健常人が食べる短時間で胃瘻から摂取する方法であり、消化管機能の保たれた胃瘻患者にとって最も生理的な消化管運動や消化管ホルモン分泌、消化吸収が得られる胃瘻からの栄養摂取法である。重要なポイントは、胃内でスベリを起こさず胃を十分に伸展させる適切な粘度(20,000cP程度)のある半固形化栄養材を、適切な量(400~600mL)だけ短時間(15分程度)で注入することである。この生理的な摂取法により従来の液体栄養剤による緩徐な注入法と比べ、(1)胃食道逆流や瘻孔からの逆流が防止により誤嚥性肺炎やスキントラブルを防止、(2)注入の短時間化により臥床の時間が短縮され褥瘡の予防、リハビリテーションやADLの時間確保でき患者のQOLの改善、家族や介護者の労働力の軽減、(3)ダンピング症状や下痢の解消、などの多くのメリットがあり急速に普及してきた。
    反面、半固形化栄養材に関する研究や開発はまだまだ途上であり安易な半固形化法の導入には多くの問題点も存在する。本稿では現状での半固形化法の問題点とその解決法について概説した。
  • 阿部 かずみ
    2008 年 23 巻 2 号 p. 243-247
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    わが国の高齢化の進展に伴い、在宅で経腸栄養管理を受けられる患者が増えてきている。そのほとんどはPEGを造設された患者である。在宅では入院の時と違いPEGの管理を行うのは患者や家族であり、きちんと指導をしておかないと患者や家族に身体的、経済的な負担を強いることになってしまう。在宅PEG管理に携わっているとさまざまなトラブルなどを経験する。しかし在宅に携わる医療・介護者は必ずしも十分なPEG管理の知識、技術を持っていないことも多く、トラブルに気づかなかったり誤った処置を行って患者に不利益をもたらしてしまう危険性がある。在宅医療を行う医療者が正しい管理法を習得しておくことが必要であり、また造設病院を中心とした管理システムの構築が重要と考える。
  • 岡田 晋吾
    2008 年 23 巻 2 号 p. 249-253
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    PEGはわが国でも経腸栄養管理のためのルートとして第一選択となっている。また在宅緩和医療の1つの手段として減圧ルートとしても使用されることも多くなっており、患者の苦痛軽減につながっている。ただその適応においては慎重に対応しなければいけない。PEGの適応、禁忌についてはガイドラインが出されているが造設術は侵襲性のある手技であり、個々の患者の状態に応じて適応を決定することが大切である。また最近では増えつつある認知症患者へのPEG造設の適応など、迷うことも多くなってきている。臨床倫理の考え方に基づく適応決定の方法もあるが、患者の意思が確認できない場合も多く、また宗教、社会環境など背景が複雑であり一律に決められないのが現状である。PEG造設の倫理は終末期医療における強制栄養の可否についての倫理問題でもあり、これからまだ時間をかけての議論が必要と思われる。
原著
  • 田中 弥生, 工藤 美香, 池田 重雄, 藤井 真
    2008 年 23 巻 2 号 p. 255-362
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    【目的】在宅医療で多用されている成分栄養剤や消化態栄養剤に対して各種増粘・ゲル化調整食品の半固形化特性を比較し、それらの有用性を検討した。
    【対象及び方法】増粘・ゲル化調整食品にイージーゲル、リフラノン、ファセットパウダーを用い、成分及び消化態栄養剤に添加して性状・物性を調べた。また、これら混合物の消化管内における形状変化を調べるため、人工胃、腸液を用いた溶解試験を行った。
    【結果】イージーゲルは成分及び消化態栄養剤をプリン状に半固形化したが、リフラノンやファセットパウダーでは半固形化しなかった。また、人工胃液中でイージーゲルを添加した栄養剤は形状を保持したが、リフラノンやファセットパウダーを添加した栄養剤は速やかに溶解した。人工腸液中ではいずれも溶解した。
    【結論】イージーゲルは成分及び消化態栄養剤を簡便に半固形化でき、胃食道逆流の予防などに有用であると期待された。
症例報告
  • 爲季 清和
    2008 年 23 巻 2 号 p. 263-266
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    誤嚥性肺炎を繰り返す経管栄養患者に対し、植物成分であるペクチンを用いた粘度調整は安全性も高く、有効な手段と考えられている。今回メイバランス1.5にペクチンを主成分とするREF-P1を併用し、誤嚥予防効果の有無を検証した。同一患者に投与する栄養剤の条件を変えて、投与終了1時間後の胃内の栄養剤の性状を観察し、in vitroの混合栄養液と比較した。REF-P1の使用によりメイバランス1.5は粘性と沈殿凝集体形成が増加した。白湯で希釈されたメイバランス1.5とREF-P1との併用は、胃内での粘性上昇に乏しく誤嚥性肺炎を併発したが、白湯別投与とした併用は、胃内での粘性上昇が比較的保たれ、誤嚥性肺炎を併発せず経過良好であった。メイバランス1.5とREF-P1との併用は誤嚥性肺炎の予防に有効であると考えられた。
  • 石井 要, 福島 亘
    2008 年 23 巻 2 号 p. 267-271
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    症例は82歳、男性。主訴は意識障害と下痢であった。既往には脳梗塞があり、また1999年に胃癌にて幽門側胃切除術が施行されていた。2005年3月16日、他院にて経口摂取が困難となったことから経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy;以下、PEGと略)が施行された。同年6月4日に主訴を認め、精査目的に当院に紹介となった。腹部CT検査及び下部消化管内視鏡にて横行結腸内に胃瘻バンパーを認めた。PEG施行時に形成された結腸皮膚瘻と診断した。胃瘻チューブを抜去したところ、腹膜炎は生じず、瘻孔は自然閉鎖した。その後、経皮経食道的胃管挿入術を施行した。結腸皮膚瘻はPEGの稀な合併症ではあるが、重篤な病態を引き起こす可能性があり、PEG施行に関しては十分な術前評価と慎重な施行が必要であると考えられた。また、PEG施行困難症例には、その他の手技を考慮することが肝要であると思われた。PEG後に結腸皮膚瘻を形成した1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
  • 川崎 成郎, 鈴木 裕, 小沼 宗大, 濱 裕宣, 平山 麻実子, 木下 博子, 眞柄 久美子, 山崎 望, 柳井 一男
    2008 年 23 巻 2 号 p. 273-276
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/11/26
    ジャーナル フリー
    内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy;以下、PEGと略)はその手技の簡便性や低侵襲性から急速に普及し、胃瘻造設術のgolden standardとなっている。PEGは栄養管理に用いられることがほとんどであるが、癌性狭窄などの消化管狭窄では嘔気や嘔吐の減圧目的に適応となる場合も少なくない。今回われわれは横行結腸癌の胃浸潤に対して栄養と減圧の2つのPEGを同時に施行した。在宅管理に移行できただけでなく、飲水や少量の経口摂取が可能となりQOLの向上に大きく貢献できた。
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