病棟薬剤師が,カルバペネム系抗菌薬を中心に抗菌薬治療を行っている症例に対して,1症例ずつ確認を行う取り組みを開始して1年半以上が経過したので,取り組み開始前をI期,取り組み開始後1年未満をII期,1年以上経過後をIII期として,カルバペネム系抗菌薬の用法・用量,AUD,分離された緑膿菌のカルバペネム系抗菌薬に対する感受性の変化,医師からの相談件数について検討をおこなった.カルバペネム系抗菌薬の用法・用量については,用法はI期からIII期の変化をみると,1日2回投与がそれぞれ94.0%, 73.0%, 59.0%と減少し,1日3回投与がそれぞれ6.0%, 21.7%, 36.9%と増加し,平均1日投与量は1.06 g, 1.20 g, 1.24 gと増加が見られた.カルバペネム系抗菌薬のAUDは,取り組み開始後から14.6, 13.5, 11.2と低下した.また,分離された緑膿菌のカルバペネム系抗菌薬に対する感受性は「感性」の割合がIPM/CSは,53.2%, 68.1%, 73.1%, MEPMが66.5%, 70.9%, 78.6%とそれぞれ改善していった.
また,カルバペネム系抗菌薬の投与症例は,empiric therapyが多く,今後は,アンチバイオグラムを整備し,想定原因菌のMICや組織移行性,腎機能等を考慮した投与と原因菌が判明した際にはde-escalationを考慮することが必要であると考えられる.
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