77頭のビーグル犬におけるQT間隔とRR間隔の相関性,および心拍数によるQT間隔の補正値QTcのもとめ方について検討した。心電図は肢誘導によりイヌ用自動計測心電計を用いて記録した。
1) 1回6秒間の心電図記録において,RR間隔の変動はいずれのイヌでも大きかったが,QT間隔は殆ど変化しなかった。
2) 70頭のイヌの心電図記録において,最長RR間隔,平均RR間隔,最短RR間隔および測定したQT間隔の直前RR間隔とQT間隔の間には,いずれも,有意な正の相関がみとめられた。これら4種類のRR間隔の中で,平均RR間隔との相関が最も高かった。
3) 7頭のイヌを15回の繰り返し記録を行った心電図においても,各RR間隔とQT間隔の相関性では,6頭のイヌで,概ねいずれのRR間隔の場合にも有意な正の相関がみとめられた。特に,平均RR間隔どの間に高い相関がみられた。相関性のみられなかった1例は,心拍数変動係数(CV-RR値)が高く,また心室性期外収縮を示した個体であった。
4) イヌでは,実測QT間隔と補正したQTcの値がかけ離れる問題について,QTc
60およびQTc
100をもとめて比較検討した。その結果,QTc
100はQTc
60に比べてQT間隔の実測値に近接した値を示した。
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