日本血管外科学会雑誌
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18 巻 , 4 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
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巻頭言
原著
  • 森嶌 淳友, 平尾 慎吾, 長阪 重雄, 横山 晋也, 金田 幸三, 西脇 登
    18 巻 (2009) 4 号 p. 481-485
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    【背景】急性大動脈解離術後に心房細動を発症し治療にしばしば難渋することがある.われわれは急性大動脈解離術後に塩酸ランジオロール(オノアクト®)を低用量持続投与し,術後の心房細動抑制効果について比較検討を行った.【方法】2005年 4 月~2008年 3 月で,急性大動脈解離に対して手術を施行された75人のうち,塩酸ランジオロール投与群をO群25人,塩酸ランジオロール非投与群をN群50人とした.術後24時間以降塩酸ランジオロールを0.05mg / kg / minで投与開始し術後120時間後には終了とした.投与期間中の心拍数,血圧,心係数の変動,心房細動発生頻度,合併症について評価した.なお心房細動発生頻度に関しては術後120時間以降退院するまで観察した.【結果】術後120時間までの心房細動発生頻度はN群で48%(50例中24例),O群では16%(25例中 4 例)であった(p < 0.01).入院中の心房細動発生頻度はN群で52%(50例中26例),O群では28%(25例中 7 例)であった.またO群での心房細動発症例について持続投与中は頻脈になることはなかった.合併症は徐脈,房室ブロック 1 例を認めた.塩酸ランジオロール投与終了後,経口β遮断薬に切り替えていた18例はすべて心房細動を発症しなかった.【結論】塩酸ランジオロールの低容量持続投与にて急性大動脈解離術後の心房細動発症が有意に抑制される結果であった.持続投与終了後も心房細動が抑制される傾向にあり,β遮断薬の内服によりさらに心房細動抑制効果が持続されると思われた.また心房細動発症例においても頻脈をおさえ血行動態を安定させることに寄与できると思われた.
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  • 安原 洋, 服部 隆司, 重田 治
    18 巻 (2009) 4 号 p. 487-493
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    【目的】大動脈・腸骨動脈領域の閉塞性動脈硬化症で,末梢病変が混在する症例には,かつて多分節血行再建術が行われてきた.しかし最近では,腸骨動脈病変にPTA / ステント留置術を併用する低侵襲バイパス術,すなわちハイブリッド手術が標準術式となり つつある.大動脈・腸骨動脈病変を有する閉塞性動脈硬化症の背景を検討することで, ハイブリッド手術の効用を明らかにし,厳格な手術適応の決定が可能である.【対象と方法】1998~2006年に治療した閉塞性動脈硬化症347例のうち,大動脈・腸骨動脈病変を有する144例を対象にした.対象例の病変部位の内訳は,大動脈・腸骨動脈領域に病変が存在し,末梢病変が分節的な100例,大動脈から膝下動脈末梢まで病変が広範に存在する44例であった.対象例の平均年齢は69歳,男 / 女別は120例 / 24例で,79例(55%)が重症虚血肢,34例(24%)は透析例であった.【結果】血行再建術は74例で行われ,血管内治療不使用のバイパス術47例,腸骨動脈PTA / ステント留置術のみ10例,ハイブリッド血行再建術17例であった.ハイブリッド血行再建術の内訳は,腸骨動脈PTA / ステント留置術 + 大腿交差バイパス術10例,腸骨動脈PTA / ステント留置術 + in-situ大腿-膝窩動脈バイパス術 7 例で,血管内治療不使用のバイパス術のうち,開腹例は17例で,開腹下の大動脈-大腿動脈バイパス術例では,術後呼吸器合併症が明らかに高率であった.分節型病変例と広範型病変例とを比較すると,両群間に年齢,性差,糖尿病,高血圧,虚血性心疾患既往合併頻度の差はなく,広範型病変例では,透析治療(39% vs. 17%;P < 0.01),脳血管障害既往(59% vs. 41%;P < 0.05),重症肢虚血(93% vs. 38%;P < 0.01),大切断(48% vs. 4%;P < 0.01)の頻度が高かった.生命予後は,広範型病変例で明らかに不良であった(log-rank test;P < 0.0001).【考察とまとめ】大動脈・腸骨動脈領域閉塞性動脈硬化症でハイブリッド手術の適応となる症例群は一様ではないが,背景の動脈硬化因子が重篤な広範型病変例でもハイブリッド血行再建術は十分に適応可能な術式と考えられた.
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症例
  • 藤村 博信, 黒瀬 公啓, 只腰 雅夫
    18 巻 (2009) 4 号 p. 495-498
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    人工膝関節置換術(TKA)は比較的安全な手術であるが,まれに血管系の合併症を生じることがある.症例は62歳男性.右変形性膝関節症に対して他院整形外科にてTKAを施行された.術後 5 日目に下腿の腫脹,緊満,冷感の出現を認め,術後 9 日目に行ったエコー検査にて膝窩動脈瘤を認め,当院転院となった.血管造影にて膝窩動脈に仮性動脈瘤および血液漏出像を認め,同日緊急手術を施行した.後方アプローチにて瘤内の血栓除去と動脈瘤への交通孔閉鎖を行った.術後より下肢の冷感は消失し,足背動脈の拍動は良好となった.動脈瘤術後 3 日目にリハビリのため前医に転院となった.TKAの術後,早期に仮性動脈瘤を生じ,破裂により発症した 1 例を経験したので報告する.
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  • 小ヶ口 恭介, 並木 健二, 鈴木 佑輔
    18 巻 (2009) 4 号 p. 499-502
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    症例は54歳女性.37歳より強皮症の診断にてステロイド内服中であった.腹痛のためCTを施行したところ,腹部大動脈瘤と上腸間膜動脈瘤を指摘された.腹部大動脈瘤に一致する腹痛あり,症候性腹部大動脈瘤と診断し手術を行った.腹部大動脈瘤は椎体骨の破壊を伴うcontained ruptureであり,Y型人工血管置換術を施行した.次いで,上腸間膜動脈瘤の動脈瘤切除を行った.病理組織検査では血管壁は線維性結合組織で置換されており,成因はステロイド長期投与によるものと考えられた.
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  • 常深 孝太郎, 吉井 康欣, 栗原 寿夫, 森田 雅文
    18 巻 (2009) 4 号 p. 503-507
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    破裂性内臓動脈瘤,未破裂腹部大動脈瘤を合併した超高齢者内臓逆位という稀な症例を経験した.症例は87歳男性.上腹部痛を主訴に近医を受診し,CT検査で腹腔内血腫を指摘され,当科へ救急搬送された.CT所見は,胸部から腹部にかけて内臓逆位を認めた.また,上膵十二指腸動脈と上腸間膜動脈の合流する末梢に存在する破裂性内臓動脈瘤と未破裂腎動脈下腹部大動脈瘤が存在し,腹腔内血腫を上腹部から左側腹膜腔に認めた.来院時ショック状態で,緊急に内臓動脈瘤切除術および腹部大動脈人工血管置換術を施行した.血腫は胃および膵頭部を圧排していた.内臓動脈瘤切除を先行し,その後,腹部大動脈をY型人工血管で置換した.術後は出血性ショック,DIC,血腫による周囲臓器圧迫から膵炎,イレウスを併発したが,保存的に加療し軽快した.
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  • 隈 宗晴, 眞崎 一郎, 三井 信介
    18 巻 (2009) 4 号 p. 509-512
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    【背景】鈍的外傷により前脛骨動脈に生じた仮性動脈瘤は比較的稀である.【症例】70歳,女性,2 カ月前に庭の柵の角で前脛骨部を強打,その後徐々に同部の腫脹と疼痛が増強し,下垂足症状が出現したために,近医を受診した.MR血管造影にて前脛動脈に生じた仮性動脈瘤と診断され,当院に紹介された.【結果】外科的に血腫除去および前脛骨動脈損傷部の縫合止血術を施行した.術後は合併症なく経過し,腓骨神経麻痺の症状は徐々に改善した.【結論】本症例のように圧迫症状の強い症例は外科手術が必要であったが,症例によっては血管内治療などの低侵襲治療も選択しうると考えられた.
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  • 寒川 顕治, 青木 淳
    18 巻 (2009) 4 号 p. 513-516
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    【背景】上腸間膜動脈限局性解離の治療方針はいまだ確立されていない.【症例】48歳の男性で,突然の腹痛で発症し,造影CTで上腸間膜動脈の解離と血栓化した偽腔による局所的な真腔の狭小化を認めた.偽腔から起始する明らかな分枝は認めなかった.腸管壊死を疑わせる所見はなかったが,腹痛が持続するため血管内治療を行った.パルマッ ツTMステント 2 個を上腸間膜動脈に留置した.【結果】上腸間膜動脈末梢の血流は改善し,腹痛は術中から速やかに消失した.1 年後に造影CTでステント部の開存と偽腔の消失を確認した.【結論】上腸間膜動脈限局性解離に対してはステント留置が低侵襲で有効である.
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  • 出雲 明彦, 内田 孝之, 安藤 廣美, 安恒 亨, 田中 二郎, 鮎川 勝彦
    18 巻 (2009) 4 号 p. 517-521
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    大動脈の解離を伴わない孤立性上腸間膜動脈(SMA)解離は,稀な疾患である.一旦生じると破裂や血栓性閉塞による腸管虚血を合併するため外科的手術を必要とする疾患と考えられている.SMA解離について報告例は少なく,臨床経過も不明であるため治療方針も確立されていない.近年,画像診断の進歩に伴い報告例は増加傾向にあり,保存的治療にて軽快した症例も少なくない.2000年から2006年の間に,保存的治療にて治療しえた孤立性SMA解離 5 例を経験した.1 例のみ切迫する腹痛にて試験開腹を行ったが,SMAの拍動も良好で,腸管虚血を認めず外科的治療を必要としなかった.全症例とも再発を認めていない.本邦報告例を検索するにわれわれの症例も含め56例の報告が認められた.SMA解離は,腹痛における鑑別疾患として重要で,迅速な診断により重症度を評価し,適切な治療(外科的または保存的)を選択すべきである.
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  • 藤村 直樹, 松本 賢治, 小野 滋司, 尾原 秀明, 北川 雄光
    18 巻 (2009) 4 号 p. 523-528
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,椎骨動脈転位術を要した椎骨動脈狭窄症の 2 例を経験した.症例 1 は51歳,女性.主訴は視野障害で,精査にて両側の椎骨動脈起始部および左鎖骨下動脈に狭窄を認めた.症例 2 は66歳,女性.主訴は突発性の回転性めまいで,精査にて左椎骨動脈起始部および左鎖骨下動脈に狭窄を認めた.いずれも椎骨動脈転位術を施行し,良好な結果が得られたが,頸動脈や鎖骨下動脈と異なり,椎骨動脈狭窄症に対する治療の適応や治療法の選択については,いまだに確立されていない.一般的に椎骨動脈狭窄症に対する外科的治療の適応は,有症状の狭窄性病変とされているが,統一的見解は得られていない.また最近では血管内治療の有用性も報告されているが,それぞれを比較した報告は認めず,長期成績も不明である.今後低侵襲な血管内手術が第一選択となるであろうが,さらなる検討が望まれる.
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  • 田村 健太郎, 季白 雅文, 石井 修
    18 巻 (2009) 4 号 p. 529-533
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    【背景】再発リスクの高い肺血栓塞栓症に一時的下大静脈フィルターを留置することは有用であるが,一時的下大静脈フィルターによる合併症も報告されている.【症例】79歳,女性.主訴は労作時呼吸困難.【結果】画像診断より深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症の所見を得た.血中プロテインS活性が低下しており,プロテインS欠乏症と診断した.一時的下大静脈フィルターを留置し,血栓溶解療法,抗凝固療法を開始したが,入院13日目に施行した下大静脈造影にてフィルターの完全血栓閉塞を認めた.カテーテル血栓溶解療法およびカテーテル的血栓吸引除去術を試みたが,その際造影剤の血管外への漏出を認め内科的な抜去は困難と判断され,開腹下に下大静脈結紮術を施行した.術後 2 日目に軽度の両下肢腫脹を認めたが,増悪傾向なく術後第20日目に独歩退院した.【結論】本例のような合併症は稀ではあるが,一時的下大静脈フィルター挿入の際には留意する必要がある.
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