老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
36 巻, 1 号
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原著論文
  • 西村 昌記
    2014 年 36 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 2014/04/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     サポートの内容と提供主体による効果の比較が可能な下位尺度を有する家族介護者向けのソーシャルサポート尺度を開発し,その構成概念妥当性と信頼性の検証を行った.調査は2011年10〜11月,神奈川県伊勢原市の居宅介護支援事業所利用者1,316人(要介護1以上)の家族介護者のうち838人を対象に,訪問配布郵送回収法により実施された.調査票の配布には介護支援専門員の協力を得た.有効回収数は450,有効回収率は53.7%であった.構造方程式モデリングを用いた分析の結果,親族からの情緒的サポート,親族からの手段的サポート,非親族からの情緒的サポート,非親族からの手段的サポート,被介護者からの情緒的サポートを第1次因子,サポートの提供主体を第2次因子,ソーシャルサポート全体を第3次因子とするモデルの構成概念妥当性が検証された.また,7つの下位尺度と全体尺度の信頼性も十分な値が示された.さらに,非親族からの手段的サポートを除く7つの尺度得点とCES-D得点の間に有意な負の相関が認められた.本尺度は,家族介護者のソーシャルサポートを総合的に評価するために有用である.

実践・事例報告
  • ― デイケアH利用者の実態報告 ―
    菱井 修平, 久保 晃信
    2014 年 36 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2014/04/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     年々増加する要介護高齢者に対する運動による身体機能の改善が数多く報告されているが,要介護高齢者に対して安全かつ効果的に運動器機能訓練を実施するためには,対象者の身体状況を理解しておく必要がある.本調査では,在宅要支援・要介護高齢者136人を対象として実施した形態,安静時心電図,血圧脈波,骨密度の測定結果をもとに,機能訓練実施前の健康スクリーニングの必要性と課題について検討した.測定結果から,各測定項目において全体の異常者の割合は,肥満度では35.3%,心機能および血管機能において1つでも異常値を示す者の割合はそれぞれ17.3%と90.4%であり,骨密度では79.4%であった.

     運動に関与する心臓・血管・骨における異常値を示す者の割合が高いことから,要支援・要介護高齢者に対して,安全かつ効果的に機能訓練を実施するためには,運動負荷の設定には注意が必要であり,潜在疾患を十分に理解する必要性が再確認された.

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