老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
36 巻 , 3 号
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原著論文
  • 小池 高史, 鈴木 宏幸, 深谷 太郎, 西 真理子, 小林 江里香, 野中 久美子, 長谷部 雅美, 藤原 佳典
    2014 年 36 巻 3 号 p. 303-312
    発行日: 2014/10/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     高齢者の居住形態と社会的孤立の関連を明らかにするために,団地(賃貸/分譲)に暮らしている高齢者と団地以外の集合住宅(賃貸/分譲)に暮らす高齢者,戸建て住宅に暮らす高齢者それぞれの社会関係の実態について分析した.2012年7月,埼玉県和光市において高齢者11,172人を対象とした自記式質問紙調査を実施した.有効回答は8,191票(73.3%)であった.回答者を独居高齢者と同居者のいる高齢者に分けたうえで,居住形態と社会的孤立のクロス集計および孤立しているか否かを従属変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った.結果,①独居の孤立高齢者は,団地以外の賃貸集合住宅に住んでいる人にとくに多いこと(38.2%),②同居者のいる高齢者の場合は,団地以外の賃貸集合住宅(37.9%)とともに賃貸の団地(36.8%),分譲の団地(35.0%)に住んでいる人に孤立者が多いこと,③他の要因を統制しても,団地か団地以外かにかかわらず賃貸集合住宅に住んでいる人に孤立者が多いことが明らかになった.

  • 久保 昌昭
    2014 年 36 巻 3 号 p. 313-321
    発行日: 2014/10/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,施設の移転時における入所者への支援方法を明らかにすることである.新築移転した養護老人ホームの入所者25人を対象に,抑うつ,孤独感,他者とのかかわり,居室ですごす時間等について,訪問面接調査を行った.調査は移転2週間前,移転2週間後,1か月後,3か月後の計4回行われ,経時的変化を比較した.

     その結果,抑うつと他者とのかかわりは,調査期間を通じて統計的有意差が認められなかった.孤独感は移転2週間後から上昇したものの,3か月後に低下しており,一時的に入所者の孤独感は強くなっていた.一方で,居室ですごす時間は移転2週間後から3か月後にかけて継続して増加していた.

     以上より,移転前の事前準備のみならず,移転後の早い時期から入所者の人間関係作りや居室外ですごす時間の確保について,意図的に取り組む必要性が示唆された.

資料論文
  • 山地 佳代, 松田 千登勢, 佐藤 淑子, 江口 恭子, 長畑 多代
    2014 年 36 巻 3 号 p. 322-329
    発行日: 2014/10/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,多床室を有する特別養護老人ホーム(以下,特養)における感染管理活動を明らかにすることである.全国の特養から無作為抽出した1,000施設の感染管理の責任者に対して,感染管理に関する郵送質問紙調査を行った(有効回答数203,有効回答率20.3%).

     ほとんどの施設において感染対策委員会が設置され定期的に開催されていたが,入居者の健康状態の把握は看護職のみが担っている施設が111(54.7%)あった.感染症発生経験のある施設はない施設よりも,感染管理のための定期的なラウンドを行っていた(p<0.05).感染対策マニュアルは自施設の実態に合うものだと175施設(86.2%)が回答していたが,感染症発生時の具体的フローを明示していない施設は62(30.5%)であった.新人職員への感染対策に関する研修は172(84.7%)施設において行われていた.

     これらのことから,特養の感染管理体制は整備されつつあるが,各施設における感染症発生を想定した,より具体的な取り組みを進めていく必要性が示唆された.

  • 岩佐 一, 稲垣 宏樹, 吉田 祐子, 増井 幸恵, 鈴木 隆雄, 吉田 英世, 粟田 主一
    2014 年 36 巻 3 号 p. 330-339
    発行日: 2014/10/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     本研究は,日本語版「WHO-5精神的健康状態表」(WHO-5-J)の地域在住高齢者における標準化を行うことを目的とした.

     日本全国に居住する高齢者(65~84歳)を対象とした無作為抽出標本調査を行い,1,251人(男性596人,女性655人)を分析の対象とした.WHO-5-Jのほか,既存の精神的健康尺度(心理的苦痛(K6),生活満足度尺度K),社会経済的指標,健康状態指標を測定し分析に用いた.

     分析の結果以下が明らかとなった.WHO-5-Jは因子的妥当性,併存的妥当性,信頼性を有することが確認された.WHO-5-J得点は,負に歪んだ,やや扁平な分布形状を示した.WHO-5-J得点に性差は認められなかった.WHO-5-J得点に年齢差が認められ,80~84歳群の得点がほかの群よりも低かった.WHO-5-J得点は,健康度自己評価,健康リテラシー等と関連した.

     上記より,WHO-5-Jは良好な計量心理学的特性を示し,地域在住高齢者における精神的健康の測定尺度として有用であることが示唆された.

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