老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
44 巻, 4 号
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原著論文
  • 梅沢 佳裕
    2023 年 44 巻 4 号 p. 347-358
    発行日: 2023/01/20
    公開日: 2024/01/20
    ジャーナル フリー

     本研究は,特別養護老人ホームの介護職が苛立ち感情の生起を抑制するためのプロセスを明らかにすることを研究目的とした.特養の介護職員11人にインタビュー調査を実施し,修正版グラウンテッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行った.その結果,35の概念から6カテゴリー,8サブカテゴリーが生成された.

     介護職は,《苛立ちが生起する直接要因》と《苛立ちにつながる背景要因》が影響し合うことで苛立ち感情が生起した場合に,《自己努力で抑制》《職場サポートで抑制》の相互影響関係によって,一時的には苛立ち感情が生起したとしても,支え合うことで虐待行動を及ぼす状態にまで感情をエスカレートさせないよう《冷静に考え直す専門職としての自分》という意識を取り戻していた.一方で,苛立ち感情の抑制における課題として,“国のストレスチェック体制不備”と“上司の指導・教育力不足への不満”が浮き彫りとなった.

実践・事例報告
  • ― 地域交流における情報通信技術活用可能性の検討 ―
    篠原 彩, 影山 隆之, 荒木 章裕, 福田 広美, 品川 佳満, 堀 裕子, 永松 いずみ, 佐藤 愛, 木嶋 彩乃, 村嶋 幸代
    2023 年 44 巻 4 号 p. 359-368
    発行日: 2023/01/20
    公開日: 2024/01/20
    ジャーナル フリー

     本研究は,地域在住高齢者と看護学生とのオンライン交流会を開催して,世代間交流や地域での社会交流における情報通信技術(Information and Communication Technology ; ICT)の活用を検討することを目的とした.オンライン交流会を開催後,参加した高齢者5人と学生8人に半構造的インタビューを行い,その逐語録を帰納的に分析した.高齢者は【体感したオンライン交流の楽しさ】を語りながらも,【地域在住高齢者では困難なICT活用】と考えていた.学生も【世代内・世代間がオンラインでつながる楽しさと期待】を感じながらも,【困難の多い高齢者のICT活用】を改めて知り,【地域在住高齢者間のオンライン交流に必要な支援】を考えていた.一方,両世代ともに【見直した対面交流のよさ】や【大切にしたい対面での交流】が語られた.対面での交流を最大限に行いながら,これを補う方法としてオンライン交流が有効な機会,また地域交流でのICT活用に向けた支援方法を検討する必要がある.

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