シルバー人材センター会員の就業実態は,これまで横断研究に限られ,加齢に伴う就業状況の変化は解明されていない.本研究では,全国から64か所のシルバー人材センターを選定し,2006年時点に65〜66歳であった会員1,710人(男性1,094人,女性616人)を対象に2011年(5年後)と2016年(10年後)の就業状況を把握して,その変化を記述分析した.就業状況は,配分金額と仕事の内容の2変数を用い,年次間の変動を統計学的に検定した.
分析の結果,男女ともに配分金収入が加齢とともに減少する傾向が認められ,とくに75歳以降に顕著に縮小することが確認された.仕事の内容は,複数の職種で75歳以降に離職する会員が増えるものの,全体的には後期高齢期に差し掛かっても同一の仕事を継続している実態が明らかとなった.会員の就業可能な期間の延伸に向け,心身の変化に応じて仕事をスムーズに転換する体制の構築が課題である.
抄録全体を表示