老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
41 巻 , 1 号
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原著論文
  • ――― 二時点パネルデータ分析による検討 ――
    菊澤 佐江子, 植村 良太郎
    2019 年 41 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2020/04/20
    ジャーナル フリー

     本研究は,中高年女性の就業と介護の相互の関係を検討することを目的として,厚生労働省が2005年・2006年に実施した第1回・第2回「中高年者縦断調査」データを探索的に分析した.まず,第2回調査時点(T2)での介護の開始についてのロジスティック回帰分析を行ったところ,就業の有無と介護の開始との間に負の関連がみられた.就業者に限定した分析の結果,就業時間と介護開始との間に負の関連がみられる一方,就業形態や収入と介護開始との間に関連はみられなかった.次に,T2の就業時間の重回帰分析の結果,就業女性のうち介護開始者には,介護をしていない者に比べて,就業時間が有意に減少する傾向がみられた.結果から,就業時間をのぞけば,就業状況(就業形態や収入)の異なる就業女性間で介護を担う確率は変わらない一方で,就業女性が介護を担うことは就業の停止または就業時間の短縮といった対応を伴う傾向にある可能性が示唆された.

  • 竹本 与志人, 杉山 京, 神部 智司
    2019 年 41 巻 1 号 p. 18-27
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2020/04/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,民生委員への認知症に関する知識尺度の使用可能性を確認することを目的に,尺度の構成概念妥当性の検討を行った.A市の全民生委員1,009人に無記名自記式の質問紙調査を行った.解析には各質問項目に欠損値のない644人の資料を用い,まず認知症に関する知識の構成概念妥当性を検討するため1因子モデルを設定し,検証的因子分析を行った.次いで,2母数ロジスティックモデルを用いて各項目の識別力および困難度,尺度全体のテスト情報量を算出した.最後に,認知症の人に対する態度を外的基準に置いた構成概念妥当性の検討を行った.結果,認知症に関する知識尺度は民生委員への使用可能性が高いことが示され,今後は認知症の医療水準の進展に照らしながら,項目の修正等の検討が課題である.

  • ――― 世代間関係における「もうひとつのエイジズム」 ――
    原田 謙, 小林 江里香, 深谷 太郎, 村山 陽, 高橋 知也, 藤原 佳典
    2019 年 41 巻 1 号 p. 28-37
    発行日: 2019/04/20
    公開日: 2020/04/20
    ジャーナル フリー

     高齢者に対するエイジズム研究は,国内外において蓄積されてきた.しかし「もうひとつのエイジズム」とよぶべき,若年者に対する否定的態度に関する研究は乏しい.本研究は,地域と職場における世代間関係に着目して,高齢者の若年者に対する否定的態度に関連する要因を検討することを目的とした.データは,無作為抽出された首都圏の60〜69歳の男女813人から得た.分析の結果,以下の知見が得られた.

     ①若年者との接触頻度が低い者ほど,若年者を嫌悪・回避する傾向がみられた.

     ②高齢者の生活満足度は若年者に対する否定的態度と関連していなかった.ただし職場満足度が低い者ほど若年者を嫌悪・回避する傾向がみられた.

     ③世代性の得点が低い者ほど若年者を嫌悪・回避する傾向がみられた.一方,世代性の得点が高い者ほど若年者を誹謗するという,アンビバレントな態度が示された.

     ④職場でエイジズムを経験している者ほど,若年者を誹謗していた.

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