生産研究
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77 巻, 1 号
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巻頭言
特集 乱流シミュレーションと流れの設計
特集に際して
研究速報
  • 半場 藤弘
    原稿種別: 研究速報
    2025 年77 巻1 号 p. 5-9
    発行日: 2025/02/01
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー

    一様等方乱流における乱流スカラーフラックスの非局所渦拡散率モデルが最近提案された.本研究では,そのモデルを非等方性と非一様性を組み込むことによって改良し,チャネル乱流に適用した.まずDNSデータを用いて非局所渦拡散率の正確な1次元と2次元分布を求めた.DNSによる分布から,広い上流領域の平均スカラー勾配がスカラーフラックスに影響を与えていること,非局所渦拡散率は時間とともに下流に運ばれ非等方に拡散することがわかった.改良したモデルはその平均速度の移流と非等方な乱流拡散をよく再現することが示された.

  • 中村 元紀, 半場 藤弘
    原稿種別: 研究速報
    2025 年77 巻1 号 p. 11-14
    発行日: 2025/02/01
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー

    乱流レイリー流れは,加熱が乱流に与える影響を考察するためのテスト問題である.著者らは昨年,これの直接数値計算を行い,乱流レイリー流れにおいても乱流熱フラックスの逆勾配拡散が発生することを示し,また統計量の輸送方程式の解析をすることで,そのメカニズムを考察した.本研究では,逆勾配拡散のメカニズムで重要な働きをしていた,統計量の輸送方程式の線形な項のみに注目した解析を行なった.結果として統計量の解析解が得られ,これは直接数値計算の結果と定性的に一致した.これにより乱流レイリー流れにおける逆勾配拡散の定性的なメカニズムが明確に示された.

  • 楊 品衆, 半場 藤弘
    原稿種別: 研究速報
    2025 年77 巻1 号 p. 15-20
    発行日: 2025/02/01
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー

    本研究では,乱流ダイナモ効果を詳細に調べるために,電磁流体(MHD)チャネル乱流の直接数値シミュレーションを実行した.体積平均磁場の時間履歴は,正の磁場が生成され維持されていることを示した.磁場生成のメカニズムを調べるために,平均場および乱流統計量を取得した.その結果,オーム項に対抗して乱流起電力が磁場生成に寄与する.乱流起電力の輸送方程式の生成項では,クロスヘリシティダイナモが磁場生成に寄与している一方で,ポンピング効果が磁場を減少させる反ダイナモとして働くことが明らかになった.

研究解説
  • 横井 喜充
    原稿種別: 研究解説
    2025 年77 巻1 号 p. 21-31
    発行日: 2025/02/01
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー

    鏡映対称性の破れた系では,運動ヘリシティ は平均絶対渦度(平均渦度と系の回転角速度,すなわち平均速度勾配の反対称成分)への結合係数としてReynolds応力表現に入る[ :速度ゆらぎ, :渦度ゆらぎ, :統計平均].これは,乱流エネルギーが,平均速度歪み(平均速度勾配の対称成分)への結合係数としてReynolds応力の渦粘性表現を通して本質的な役割を果たすことと好対照をなす.平均渦度方程式中の乱流渦起動力 を考えることで,非一様な乱流運動ヘリシティによって,平均絶対渦度の方向に巨視的な流れが誘起されることが示される.この非一様ヘリシティ効果が,恒星対流層の巨視的流れとその維持に応用される.球殻対流層の直接数値計算を用いて,恒星対流中の角運動量輸送への非一様ヘリシティ効果の寄与が議論される.経度方向流れの差動回転や子午面環流などの大規模流れ構造と乱流の統計的性質との関係が強調される.

研究速報
研究解説
研究速報
  • 王 华劲, 屠 腾, 韩 韫洲, 高 紅霞, 周 金鑫, 北澤 大輔
    原稿種別: 研究速報
    2025 年77 巻1 号 p. 51-55
    発行日: 2025/02/01
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー

    本研究は,半閉鎖循環型養殖生簀の水流特性を最適化し,水循環システムの効率を向上することを目的とした.粒子画像流速測定(PIV)と数値シミュレーションを組み合わせて,生簀内の流れ場や溶存酸素(DO)を解析した.給水管の孔数や入射角度が水流に与える影響を実験で調べ,シミュレーションモデルの検証を行った.DOシミュレーションのためにカスタマイズされたソルバーが開発され,魚の快適性,酸素供給方法,排泄物除去効率を評価するためのシミュレーションモデルを構築し,入水方法が溶存酸素濃度に及ぼす影響を調べた.今後は,持続可能な養殖システムの設計に対する理論的基盤を提供し,養殖環境の安定性を促進する新たな指針を示す.

特集 協調型による交通システムのイノベーションへ向けて
特集に際して
研究解説
  • 堀澤 駿太, 霜野 慧亮, 吉武 宏, 釘宮 航, 小竹 元基, 須田 義大
    原稿種別: 研究解説
    2025 年77 巻1 号 p. 59-64
    発行日: 2025/02/01
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー

    レベル4自動運転を早期に社会実装する手段の一つとしてインフラ協調型自動運転システムが着目されている.限定的な場面での協調型自動運転は実証実験も行われてきたが,広範な地域やルートでの実装に向けて,インフラ協調型システム全体の設計評価の指針が必要である.協調型システムにおける各機能の組み合わせ方や性能の違いが,交通参画者の安全性や円滑性に与える影響が分かれば,導入すべき協調型システムを設計することができ,協調型自動運転のODDを設定することができる.本稿ではその検討方法を事例とともに紹介する.

  • 中村 寬介, 阿久津 渉了, 髙田 哲也, 霜野 慧亮, 須田 義大
    原稿種別: 研究解説
    2025 年77 巻1 号 p. 65-70
    発行日: 2025/02/01
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー

    自動運転車の普及は, 交差点の交通制御に新たな可能性をもたらす. 本稿では, 交通シミュレーション(SUMO)を用いて, 自動運転車が普及した場合の現行の交差点交通制御手法の課題を調査した. また, その解決策に, 交通の円滑性を向上させる新たな交通制御手法を提案する. 具体的には, 交差点に進入を試みる各車両から得た情報に基づき交通制御を行うことで, 時間効率に優れた交差点を実現する. 交通シミュレータを用いて現行の交通制御手法と比較し, 本提案手法が時間効率の面で優れていることを示す.

  • 王 繹洋, 鳥海 梓, 大口 敬
    原稿種別: 研究解説
    2025 年77 巻1 号 p. 71-77
    発行日: 2025/02/01
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー

    マルチエージェント強化学習を用いた幹線道路の交通信号制御は,エージェント間の適応応答と分散制御を通じて,複雑なネットワークに対しても柔軟で拡張性の高い制御を提供するとされている.本研究では,この制御において,隣接交差点からの交通情報を活用することで制御性能が向上する可能性があること,異なる学習環境が制御性能に影響する可能性があることを検証する.ミクロ交通シミュレータ上で比較実験を実施した結果,自交差点と隣接交差点の両方から得られたデータにより状態変数が定義され,かつ,全交差点のエージェントを同時に学習させたモデルが,最も高い性能を発揮できることを確認した.また全体の傾向として,状態変数を待ち行列長ではなく車両台数とした場合に,幹線方向に対する制御性能が高まる一方で,多方向に対する制御性能が低下することを確認した.

  • 服部 充宏, 大口 敬, 小山 拓哉
    原稿種別: 研究解説
    2025 年77 巻1 号 p. 79-83
    発行日: 2025/02/01
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー

    雨天時は,事故が多くなる傾向にある.さらに湿潤状態による路面摩擦の低下は速度超過や車両操作ミスの際に事故に繋がりやすい.一方で,首都高速道路では多くのカメラが設置され交通監視が行われている.加えて,カメラ画像による積雪や凍結の検知を試みた研究や車載カメラにて路面状態を推定する研究はみられるが,可動する既設の交通監視カメラを利用して湿潤状態の検知を試みた研究は少ない.そのため,交通監視カメラにて路面の画像を得て,機械学習による画像分類手法を利用して湿潤状態を自動的に判別する仕組みの構築を試みた.

  • 中山 滉貴, 中野 公彦, 髙田 哲也, 長澤 弘之
    原稿種別: 研究解説
    2025 年77 巻1 号 p. 85-90
    発行日: 2025/02/01
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー

    携帯電話回線を利用した新たな踏切制御システムが開発され,従来と異なり,地上設備や有線回路を必要としない踏切制御が可能となった.さらに携帯電話回線により情報を送信するため,自動車や歩行者もその情報を受信できる.先行研究ではこのシステムの利用を前提として踏切に対する停止位置,踏切通過後のスペースの有無を検知し,踏切通過に必要な時間を推測し,自動車の踏切発進判断を支援するシステムが開発された.本研究では,同様のシステムを電動車いすの横断歩道・踏切発進判断に応用し,電動車いすの安全性の向上を図り,フィールド実験で性能を検討することを目的とする.

  • ホーワノータヤーン スパタット, 中野 公彦, 髙田 哲也, 長澤 弘之
    原稿種別: 研究解説
    2025 年77 巻1 号 p. 91-95
    発行日: 2025/02/01
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー

    自動車および普通鉄道において自動運転の研究開発が進められているが,路面電車においても,将来に熟練運転士が不足する可能性はあり,自動運転の検討が必要になっている.そのためには,路面電車に視覚機能を搭載し,歩行者や周囲の車両などの軌道上の障害物との衝突を自動で防ぐことが極めて重要である.前方カメラからの情報を基に,路面電車が走行軌道上の障害物と安全なクリアランスが確保されているかを判断するためのアルゴリズムを提案する.提案されたクリアランス予測手法の性能を,数値計算により評価する.

一般
研究速報
  • 石澤 宰, 村井 一, 豊田 啓介
    原稿種別: 研究速報
    2025 年77 巻1 号 p. 97-101
    発行日: 2025/02/01
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル フリー

    本論文では,建築情報モデル(BIM)の外部性に着目し,建物の外部から取得可能な情報のみでモデル化する「ExBIM」を提案する.ExBIMは,建物の外装・外構を主たる対象とし,既存のBIMソフトウェアで作成可能である.この手法により,モビリティの自動運転,環境負荷検討,屋外工作物・外構要素の記述,建物維持管理など,様々な社会課題解決に貢献できる.ExBIMは,既存の3次元都市モデルや地理情報システムを補完し,建築の外部性に対応する情報として有用性が高い.また,情報取得の障壁が低く,コスト効率も良いため,広域的な情報整備に適している.

同窓会
寄稿
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