植生学会誌
Online ISSN : 2189-4809
Print ISSN : 1342-2448
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28 巻 , 2 号
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原著論文
  • 加藤 ゆき恵, 冨士田 裕子
    原稿種別: 本文
    28 巻 (2011) 2 号 p. 65-82
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
    北米・北欧を中心に分布する北米要素の多年生草本ムセンスゲCarex livida(Wahlenb.)Willd.は,極東地域ではカムチャッカ,千島列島,サハリン北部,朝鮮北部及び北海道に点在する.北海道内では北部の猿払川流域の低地湿原と大雪山高根ヶ原の山地湿原,知床半島羅臼湖周辺の湿原に隔離分布し,絶滅危惧II類に指定されている.本研究は,知床半島羅臼湖周辺湿原のムセンスゲ生育地の植物社会学的位置を明らかにすること,湿原の立地環境からムセンスゲ生育地に共通する条件を考察することを目的とした.また,1980年代に行われた植生調査結果と比較して,周辺環境の変化が植生に与えた影響の有無を検討した.植生調査の結果,3群落を区分し,それぞれ2つの下位単位を区分した.ブルテ群落(R1,R2)は1980年代のブルテ植生から大きく変化していなかった.また,植物社会学的地位を検討した結果,ツルコケモモ-ミズゴケクラスの典型オーダーとも考えられるワタスゲ-イボミズゴケオーダーに属する群落であると推察される.シュレンケ群落(R3)は1980年代の調査結果とは異なる植生であったが,これは羅臼湖周辺の湿原群における調査地の位置が異なることによるものと考えられる.また,R3群落は,高層湿原シュレンケ植生のホロムイソウクラスScheuchzerietea palustris,貧養湿地小形植物群落のホシクサ類-コイヌノハナヒゲ群団Eriocaulo-Rhynchosporionが帰属を検討できる対象であると考えられるが,いずれのクラス,群団の標徴種・区分種ともに,R3群落では特徴的な出現傾向が見られず,植生標本データを増やした詳細な検討が必要である.ムセンスゲはR2,R3群落に出現していたが,群落の組成は猿払川湿原,大雪山高根ヶ原の生育地とは異なっていた.しかし,湿原の微地形は他の生育地と同様に,本湿原においてもケルミ-シュレンケ複合体が形成されていることを確認した.ムセンスゲの分布中心である北欧・北米では,ムセンスゲはpatterned mireと呼ばれる微地形を有する湿原に生育し,本調査地も小規模なpatterned mireと考えられることから,ムセンスゲは野外ではpatterned mireあるいはケルミ-シュレンケ複合体のような帯状の起伏が連続する微地形上が生育適地であると考えられる.海外のムセンスゲ生育地の立地環境と比較したところ,本調査地におけるムセンスゲの生育環境はカナダ大西洋岸地域と類似していた.
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  • 宮崎 卓
    原稿種別: 本文
    28 巻 (2011) 2 号 p. 83-94
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
    1.海南島の三つの村から集められた耕作水田,休耕田,畦の86点の植生資料は,表操作の結果,以下の植生単位に区分できた.A.コナギ-ケミズキンバイ群落 ホシクサ下位単位 ヤナギスブタ下位単位 コゴメガヤツリ下位単位 B.アイダクグ-カッコウアザミ群落 オニガヤツリ下位単位 ヒデリコ下位単位
    2.海南島の水田と畦から89種の出現種が確認され,そのうち86種が日本に分布する種であった.日本に分布する種でも,日本では水田には出現しない種(ホザキキカシグサ,ケミズキンバイなど)や,水田以外の植生と結びついている種(カッコウアザミ)が出現した.
    3.海南島と日本の耕作水田における共通種は,その多くがウリカワ-コナギ群集とその上級単位の種であった.休耕田や畦ではアゼナ群団の種とタウコギクラスの種が海南島と日本に共通して見られた.
    4.タウコギクラスのスズメノテッポウ群団の種やカモジグサ-ギシギシ群団(クラス未決定)の種は海南島の耕作水田,休耕田,畦には出現しなかった.これは二期作を行い冬季も水田耕作をする海南島と,冬季は水田として耕作をしない日本の農暦の違いが,水田植生の種組成に反映したものと考えられた.
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  • 宮崎 卓
    原稿種別: 本文
    28 巻 (2011) 2 号 p. 95-111
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
    1.高知県海岸部の夏緑広葉樹林の植生資料の種組成を解析し,タイキンギク-エノキ群集を記載した.タイキンギク-エノキ群集はクサギ-アカメガシワ群団に属し,センダン-ハマセンダン群集は群落相観が類似した.しかし,タイキンギク-エノキ群集とセンダン-ハマセンダン群集の間には,互いの標徴種,区分種によって明瞭な種組成の差異が示された.
    2.タイキンギク-エノキ群集の区分種には,常緑広葉樹林ウラジロガシ-ホソバタブ群落と共通する種が含まれた.この共通種はタイキンギク-エノキ群集,ウラジロガシ-ホソバタブ群落以外の四国沿岸部の森林群落には,出現頻度が低かった.
    3.タイキンギク-エノキ群集は,高知県のヤブツバキクラス域からも報告されている夏緑広葉樹林のオニシバリ-コナラ群集,クヌギ-コナラ群集,ムクノキ-エノキ群集とも種組成が比較された.その結果,オーダー,群団,群集の標徴種,区分種による種組成の違いが示された.
    4.タイキンギク-エノキ群集はその階層構造が分化しており,階層構造が未分化の遷移途上の林分とは異なった.また,生育立地は不安定であり,このため,タイキンギク-エノキ群集は不安定立地の持続群落と考えられた.
    5.タイキンギク-エノキ群集は高知県中西部に分布し,高知県西南部に分布するセンダン-ハマセンダン群集と分布域が重なることはなかった.
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  • 中西 弘樹
    原稿種別: 本文
    28 巻 (2011) 2 号 p. 113-122
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
    1.野外調査と文献からキノクニスゲの分布と生態,特に島嶼部の照葉樹林の林床に多いことを証明するとともに,その理由を考察した.
    2.日本における分布図を作成するとともに,生育地の島の数と島の面積の関係を示した.
    3.キノクニスゲの生育している森林群落の植生単位を明らかにした.
    4.浮遊実験や野外における散布の観察から,本種はアリ散布型であることを明らかにした.5.キノクニスゲはかつては沿岸部のタブ型照葉樹林の林床に広く分布していたが,人為の影響で消失し,現在は小さな島嶼部に遺存しているものと考えられる.
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  • 原稿種別: 文献目録等
    28 巻 (2011) 2 号 p. 128-
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
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