日本画像学会誌
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44 巻, 5 号
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原著論文
  • 高山 暁, 五反田 武志, 佐野 健二
    2005 年 44 巻 5 号 p. 326-331
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    消色可能トナーで印刷した画像を熱消去した後に残る残像の濃度を最小化するために,残像濃度が変動する要因を調べ,残像濃度に大きく影響する因子を明らかにした.それは紙の種類と吸湿量の主効果と交互作用である.残像濃度と,紙の吸湿量及び紙の特性との相関を調べ,紙の吸湿量と紙のpH 値に,残像が最小化する範囲があることを確認した.さらに紙の特性値と残像との相関を調べ,平滑度と孔径が残像濃度と強い相関を有することも確認した.これらの量は紙の乾燥性に関係すると考える.消色可能トナーの残像を最小化できる推奨紙は,平滑度33秒以上,平均孔径1.6 μm 以下,pH 値7.0前後の紙である.
  • コマサチ ジャンティラ, 高橋 紳矢, 〓村 知之
    2005 年 44 巻 5 号 p. 332-341
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    繊維用インクジェットインクの分散染料に用いる高分子分散剤として,親水性メトキシポリエチレングリコール側鎖と疎水性メトキシポリプロピレングリコールまたはラウリル側鎖を併せもった高分子量タイプの両親媒性共重合体を提案した.通常の溶液重合により合成したこれらの高分子分散剤は分散染料の水性分散に供した後,インクジェットインクとした.合成した高分子分散剤で分散させた細かい染料粒子は,ピエゾ式インクジェットプリンターにおいて円滑なインク噴出を促し,分散剤未含有のインクによる印刷と比較すると未処理ポリエステル布上への高い染料取り込み能を引き出した.また,これらのインクで印刷した未処理ポリエステル布のK/S 値で示した色強度は,前処理したポリエステル布へのカラー印刷のそれに近い値を示したことを明らかにした.
総説
  • Takashi MAKINO, Yasuo IMURA, Akio HITACHI, Shohei IWATA, Jin MIZUGUCHI
    2005 年 44 巻 5 号 p. 342-346
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    Triphenyl-pararosaniline (TPPR)is a charge-control agent (CCA) of the positive type for toners in the electrophotographic process. Suganami et al. reported that the charge control ability of TPPR is greatly improved if TPPR forms a charge-transfer (CT) complex with CCAs of the negative type, as those of n-propyl gallate (TPPR/PG=1/2), 3,5-di-tert-butylsalicylate zinc complex (TPPR/SZC=1/3) and 3,5-di-tert-butylsalicylate (TPPR/TBS=1/6). On the contrary, we interpret here the enhanced charge-control ability as arising from protonation of TPPR due to phenolic hydroxides of TBS, SZC and PG. The ratio of TPPR to these acids can be explained in terms of their effective acidity weakened significantly by intra-and intermolecular hydrogen bonds in the solid state, as revealed from structure analysis of these acids.
  • —水素結合系顔料における可溶化技術と顔料再生化プロセス—
    水口 仁
    2005 年 44 巻 5 号 p. 347-355
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    水素結合系顔料として知られるピロロピロールならびにキナクリドン顔料の可溶化技術とそれらの親顔料への再生化プロセスを概観し,画像分野等に応用する際の問題点を論じた.潜在顔料の技術は固体状態におけるNH…O分子間水素結合を意図的に分断し,まず顔料を溶剤に可溶化する.次に,加熱等の手段により再生化し,透明性の高い「顔料ナノ粒子」の形成を目指したものである.しかしながら,再生化によって得られる顔料は親顔料の結晶構造とは必ずしも一致しないこと,色調も異なること,さらに耐光性,耐熱性にも問題があることが分かった.更に,再生化の過程で発生する炭酸ガスが顔料分散膜の透明性を損ねることも指摘された.
解説
Imaging Today
『物作り;重合関連技術の基礎と応用』
  • 福井 弘司
    2005 年 44 巻 5 号 p. 364-368
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    合成樹脂を得る際,工業的によく行われている溶液重合に関する一般的な特徴を解説した.溶液重合と他の重合方法の比較,溶液重合で重合可能なモノマー,実際に重合中に起こっている反応,生成するポリマーの構造といった観点から溶液重合について解説した.
  • 川口 春馬
    2005 年 44 巻 5 号 p. 369-374
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    乳化重合は,モノマーの乳化液からサブミクロンサイズの高分子微粒子を得る重合法である.その重合機構を理解し,モノマー,コモノマー,乳化剤,重合開始剤,その他の添加物を目的に適うように選択し,適切な重合条件を採用することにより,自在の粒子設計ができる.典型的な乳化重合から派生したソープフリー乳化重合やミニエマルション重合は乳化重合のバリエーションを拡張した.本稿では,乳化重合の機構,速度論,粒子設計の対策についてアウトラインを述べ,続いて,乳化重合の新潮流を紹介する.
  • 田中 眞人
    2005 年 44 巻 5 号 p. 375-380
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    懸濁重合は,数ミクロンから数千ミクロンの粒径範囲にあるポリマービーズを調製するための確立された重合法である.この重合法においては,いかにして重合系を安定に維持し,狭い粒径分布のポリマービーズを生成するかが重要な課題となっている.ポリマービーズの粒径制御は,液・液系の物性と,これに基づく液滴の分散挙動に着目したソフト的手法と,重合装置形状と,これに基づく液滴の分散挙動に着目したハード的手法によって試みられている.固体微粉末をモノマー相や連続相に添加することにより,内部分散型や被覆型の複合微粒子が調製される.
  • 中村 正秋, 立元 雄治
    2005 年 44 巻 5 号 p. 381-387
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    重合トナー製造プロセスにおいて乾燥工程は,重合トナーの性状を決める重要な工程である.重合トナーを乾燥する場合には,重合トナーを分散させつつ乾燥すること,60℃よりも低い温度で乾燥することが重要である.本稿では,重合トナー製造時の乾燥技術について概説した.
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