臨床リウマチ
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誌説
総説
  • 上野 恭寛, 亀田 秀人
    2020 年 32 巻 3 号 p. 181-185
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

     全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematous : SLE)をはじめとした膠原病は原因不明の全身性自己免疫性炎症性疾患である.従って各疾患においてgold standardが存在せず,多様な集団を形成することから分類基準(集団を対象)のみが作成・改訂されており,国際的な診断基準(個人を対象)は作られない.治療方針も診断と直結せず,重症度に応じて治療方針が決定される.重症度とは比較的短期的な予後不良の予測であり,当該時点における臓器障害の程度,当該時点における臓器障害の活動性,罹患臓器の生命や主要機能への寄与度,治療反応性の4つの要因から規定されると考えられる.活動性とは臓器障害の進行速度(時間微分値)と定義すれば理解しやすい.現在汎用されている臨床評価は一定の基準を満たしてはいるものの不十分な点が多く,今後は新規の画像検査やバイオマーカー,そして人工知能の活用により補完され向上することが期待される.

原著
  • 大村 晋一郎
    2020 年 32 巻 3 号 p. 186-193
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

     症例は79歳女性.2017年4月より多関節炎を認めていた.抗CCP抗体陽性から前医で関節リウマチ(RA)と診断.メトトセキセートを開始されるも改善を認めず当科に紹介.高疾患活動性のRAに加えて肺非結核性抗酸菌症(NTM)の合併を認めたため化学療法を行いながらサリルマブを導入した.RAは改善を認めNTMも著変なく経過している.本症例からNTM合併のRAにおいても慎重に経過観察しながら生物学的製剤投与できる可能性が示唆された.

  • 村田 美紀, 吉原 良祐, 上藤 淳郎, 中川 夏子, 田中 泰史, 塩沢 和子
    2020 年 32 巻 3 号 p. 194-200
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

    目的:実臨床での関節リウマチに対するトシリズマブ皮下注(TCZ-SC)短縮投与の状況を調査した.

    対象・方法:当院リウマチ膠原病センターで2018年度にTCZ-SC短縮投与を受けた患者を対象とし,TCZ-SC投与間隔の短縮前と短縮後約8週時でのmatrix metalloprotease-3(MMP-3),C-reactive protein(CRP),赤血球沈降速度(ESR),患者による全般的評価(PtGA VAS),modified health assessment questionnaire(mHAQ),clinical disease activity index(CDAI)を後向きに検討した.

    結果:TCZ-SC短縮投与を受けた患者は11例.3例は十分な効果が得られたのちに,2週間隔投与にもどしても,その効果は維持されていた.短縮投与によりステロイドを減量,中止できた例もあった.またTCZ-SC短縮投与によってMMP-3は統計学的有意に低下しており,その他の臨床パラメータも改善がみられた.

    結論:TCZ-SC短縮投与は生物学的製剤の切り替えの前に試みる価値のある有効な治療として考えられ,また短縮後にもとの投与間隔にもどすことができる可能性も示された.

  • 小林 大介, 長谷川 絵理子, 伊藤 聡, 阿部 麻美, 大谷 博, 石川 肇, 村澤 章, 中園 清, 成田 一衛, 雨尾 幸美
    2020 年 32 巻 3 号 p. 201-209
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

    目的:関節リウマチ(RA)患者における関節オーバーユースの発症状況とリスク因子を調査する.

    方法:関節に負荷がかかるイベントの後に腫脹もしくは疼痛を生じた患者を関節オーバーユースと定義した.2016年8月から10月に当院外来を受診し関節オーバーユースと診断されたRA患者の患者背景,疾患活動性の変化を調査し,年齢,性別をマッチさせた123名のRA患者と比較しリスク因子を調査した.

    結果:41名が関節オーバーユースと診断された.Clinical disease activity indexの中央値はオーバーユースにより5.0から9.0に上昇し,オーバーユース後には4.80に低下した.オーバーユースを発症する患者の背景因子をロジスティック回帰分析で検索したところ,生物学的製剤の使用,Health assessment questionnaire disability index(HAQ-DI)が低値であること,Steinbrocker Stage III, IVであること(各々Odds ratio 3.10, 95% confidence interval 1.24-7.76; 0.27(0.09-0.80); 5.90(2.28-15.2))が抽出された.

    結論:生物学的製剤使用者,HAQ-DI低値患者,Stage進行患者はオーバーユースを発症しやすく,患者教育が重要となる可能性がある.

  • 吉井 一郎
    2020 年 32 巻 3 号 p. 210-219
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

    【目的】当院における関節リウマチ(RA)患者へのリアムシノロン関節内注射(関注)の影響を後ろ向きに研究を行い,統計学的に検討した.

    【方法】2014年4月より2019年3月までに行った関注に対し各関注前後の各臨床指標,疼痛指標をpaired T-testを用いて比較検討した.また,関注回数により患者を分類し,関注前後における臨床指標,疼痛指標,関節変形指標,骨塩量と各parameterの変化を回数分類によりANOVAを用いて比較検討した.

    【結果】208名のRA患者に1,020回の関注を行った.男性45名,女性163名であり,平均年齢67.1歳であった.関注後1か月のsimplified disease activity scoreの全てのコンポーネントと疼痛VAS,が関注前と比べ1%未満の有意に減少した.1年後においても疾患活動性,mHAQ,疼痛VASが有意に低下していたが,modified Health Assessment Questionnaire(mHAQ)はいずれの時期も有意の減少は無かった.回数分類においては回数の多い群ほど有害事象は多い傾向があった.

    【結論】関注は疾患活動性の制御,疼痛管理,日常生活動作改善に有用である.複数回関注による影響には検討の余地が残っている.

  • 児島 由起子, 田口 浩之, 水木 伸一
    2020 年 32 巻 3 号 p. 220-227
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

    背景:関節リウマチ(RA)患者の中には,救急疾患治療や各診療科の専門的治療のためにリウマチ科以外の診療科に入院する患者もいる.その際にはRA特有の生活環境整備,薬剤調整に介入を必要とする患者もいると思われるが,その実態は明らかではない.

    目的:リウマチ科以外の診療科に入院するRA患者の数,および介入すべきRA特有の問題の有無について明らかにすること.

    対象と方法:2018年11月からリウマチ科以外の診療科に入院しリハビリ科へ紹介されたRA患者を作業療法士が把握する取り組みを開始した.2019年5月までに入院したRA患者の背景,薬剤治療内容,リウマチ介入状況を調査した.

    結果:リハビリ科に紹介された患者2,687名のうち51名(1.9%)のRA患者が把握された.平均年齢は75.8歳,女性が39名(76%)であった.58%は当院以外の施設でRA治療を受けていた.59%が救急入院で,39%が手術を施行された.メトトレキサートの使用が31%,生物学的製剤の使用が20%であった.13件(25%)の介入があり,リハビリに関するものが3件,薬剤に関するものが13件であった.

    結論:リウマチ科以外の診療科に入院するRA患者の中には介入すべきRA特有の問題を抱えている患者もいる.作業療法士は,他職種と協力して生活環境整備とケアの調整に関して積極的に介入していかなければならない.

  • 細野 久美子, 加藤 ちひろ, 積山 功
    2020 年 32 巻 3 号 p. 228-237
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

    【目的】カナキヌマブ(以下本剤)の長期投与時の安全性及び有効性の評価のため,日常診療下で本剤を使用した,既存治療で効果不十分な家族性地中海熱患者の全てを対象に製造販売後調査を実施中である.本稿では2016年12月の適応追加承認日からおよそ2年半後の中間集計成績を報告する.【対象・方法】2019年6月末までに調査票が固定された39例を安全性解析対象とし,有効性主要評価がなされた同39例を有効性解析対象症例とした.【結果】投与開始時の年齢の中央値は40歳で,MEFV遺伝子変異あり(Exon10領域以外)の非典型例が22例,変異あり(Exon10領域)の典型例が10例,変異なしの非典型例が5例,変異不明の典型例が2例であった.副作用発現割合は25.64%(10例)で,重篤な副作用の発現割合は10.26%(4例)(変形性関節症2例,憩室炎,ヘモジデリン沈着症,腸膀胱瘻,滑液包炎,滑液貯留,浮腫,疼痛各1例)であった.本調査で定義した有効例では,有効割合は20.51%(8/39例)であったが,16週時点で臨床的寛解を示した症例の割合は65.71%(23/35例),血清学的寛解を示した症例の割合は85.29%(29/34例)であった.【結論】今回の中間結果から,本剤の安全性及び有効性に新たな懸念は認められなかった.最終報告まで継続し,本剤の安全性及び有効性の評価を行う必要がある.

  • 清永 恭弘, 迫 教晃, 安倍 いとみ, 立川 裕史
    2020 年 32 巻 3 号 p. 238-244
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

     症例は66歳の関節リウマチの女性.2018年にトシリズマブ(TCZ)点滴静注の初回投与を行ったが,投与後12日目に血小板数が0.6万/µlと著明に低下.血小板輸血不応状態であり,PAIgGと幼若血小板の上昇を認め,骨髄穿刺では巨核球は軽度増加していた.免疫グロブリン大量静注療法とグルココルチコイド投与により血小板数は改善.臨床経過と以上の所見により,TCZ投与後の血小板消費亢進による重篤な血小板減少症と判断した.

  • 松野 博明
    2020 年 32 巻 3 号 p. 245-250
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

     関節リウマチ治療にバイオシミラーが使われるようになってきている.多くの臨床研究は先発の生物学的製剤からバイオシミラーに切り替えても効果や安全性に問題がないことを立証している.しかし,バイオシミラーから別のバイオシミラーに切り替えた研究は未だない.そこでエタネルセプトBS1(ETN-BS, 開発コード:LBEC0101)で12週以上治療しDAS28-CRPが寛解した症例102例を対象に,別のETN-BS2(開発コード:YLB113)に変更し12週以上経過した症例を解析した.その結果ETN-BSを別のETN-BSに変更しても寛解は維持された.しかし,9例で元のETN-BSに再変更を余儀なくされた.理由は針の刺入部痛6例,全身の掻痒感2例,針刺入部局所発赤1例であった.このことからバイオシミラー間で有効性に違いはないが,有害事象の出現に違いがあることが示された.バイオシミラーを他のバイオシミラーに切り替えるには注意が必要である.

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