目的:SARS(severe acute respiratory syndrome)-CoV2が2019年暮れに新規発生し,瞬く間に全世界へと感染が拡大した.未知の感染症に対して,驚くべき早さでmRNAワクチンが開発され,我が国においても国民に対して積極的に接種が推進された.しかし,関節リウマチ(RA)患者は免疫抑制系薬剤を使用していることも多く,ワクチンの効果のみならず,身体への悪影響や副反応への不安を抱いていた.この期待と不安を具体的に明らかにするために,RA患者のワクチン接種に対する意識調査を行うとともに有害事象発現に対するリスク因子の同定を試みた.
対象と方法:白浜はまゆう病院に通院するRA患者のうち,調査に同意した479名に対して,2022.2.4-2022.5.31の間にアンケート調査を行うとともに身体計測値・疾患活動性・使用薬剤の調査を行った.局所および全身性の有害事象発現をエンドポイントとした 多変量ロジスティック解析も実施した.
結果:年齢中央値71.2歳の集団において,90%近い患者が2回以上のワクチン接種を受けていた.投与部位反応としては疼痛が,全身反応としては倦怠感が最も多く,要因解析ではいずれも年齢が有意な有害事象発現抑制因子として抽出された.
結論:RA患者は政府の指示に従って一般住民と同様のワクチン接種を受けており,有害事象発現に関しては,使用薬剤や疾患活動性は影響しておらず,年齢だけが有意な影響因子であった.
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