日本画像学会誌
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46 巻, 2 号
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原著論文
  • 今井 順子, 面谷 信
    2007 年 46 巻 2 号 p. 90-94
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    読みやすい視覚表示媒体の実現をめざす電子ペーパーの研究の一環として,ページ概念が作業効率に及ぼす影響について調査した.ディスプレイ上で約1200字の文章について,一方はページ区切りを設けず巻物的に表示する「スクロール式」,もう一方は全文を4ページに分け1ページ毎に全面を切り替えて表示する「ページ式」の計2種類の参照方法により,被験者に読解作業をさせた.ページ式のほうがスクロール式に比べ7%好成績,解答作業時間は15%短縮され,文章の必要箇所を選んで参照しながら解答した場合には優位な作業効率となる傾向を得た.読み返しの必要な作業にはページ構成を参照の手がかりにできるページ式の特徴が有利に作用したと推測される.従って,現状のディスプレイ作業において文章理解度の低下をもたらし得る要因として,スクロール表示形式の常用が候補として抽出されたと言える.
  • 三尾 浩, 松岡 慶宏, 下坂 厚子, 白川 善幸, 日高 重助
    2007 年 46 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    DEMによる2成分電子写真システム現像部の磁気ブラシモデル化の高速化を目指し,粒子間磁気力考慮範囲が及ぼすブラシ形状の評価,ならびに,計算時間への影響について検討し,新しい磁気ブラシ計算負荷低減法を提案した.磁気ブラシを構成するキャリア粒子数は磁気力カットオフ距離の増加に従い増加し,現像ニップ内ブラシ数は減少した.この傾向はカットオフ距離Lcutoff>5.0(Lcutoff=Rij/ (ri+rj)) ではほぼ一定となり,粒子間磁気力はこれ以上の範囲が必要であることがわかった.また,この時の計算時間は,カットオフ距離の増加に伴い飛躍的に増大した.一方,着目粒子近傍 (Rij/ (ri+rj) <Ld) の粒子間磁気力は毎ステップ行い,それ以上の距離に存在する粒子に対しては定期的に計算を行うという新しい計算法においては,計算負荷は小さく,従来法に比べ約8.7倍(Lcutoff=7.0)の計算速度となった.また,毎ステップ計算を行う範囲がLd=2.5以上の条件においては,ブラシ形状は従来法とほぼ同じであったことから,本法により磁気ブラシモデル化の計算精度は保ったまま高速化が可能となる.このことより,今後更なる詳細な2成分現像プロセスの解析ができると期待される.
  • 狩戸 信宏
    2007 年 46 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    FMスクリーン処理Circular Cell法は円形のセルを動的に生成し,セルの重心位置に網点を生成することを特徴としている.しかし,生成される網点がすべて孤立ドットであるために,電子写真に適用した場合に濃度再現が不安定となり,粒状ノイズが発生する課題があった.そこで,セル内の平均階調値に応じて網点の大きさを制御することにより,濃度安定性の課題を解決した.また,セルに含まれる領域のコントラストも考慮して網点サイズを制御することにより,エッジ領域の解像性を向上させた.この網点サイズ制御を組み合わせたCircular Cell法により,従来のAMスクリーン法と比較して,細い線の途切れやジャギーの発生のない,解像性および階調性に優れた印刷結果が得られた.
Imaging Today
  • 大川 元一
    2007 年 46 巻 2 号 p. 108-120
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    画像によるコミュニケーションは人類だけが有する高度な文化であり,これを支えるために画像を残す手段としてカメラが発明され,その後多くの技術改良が行われた.
    中でも1988年に日本で生まれたデジタルスチルカメラ(DSC)は,それまでの化学機器としてのカメラの位置を電子情報機器に変える画期的な機器であった.
    DSCは必要な要素技術の進歩と,周囲環境の変化に乗ったことにより,急速に市場を拡大したが,その背景には日本発の世界標準フォーマットExif/DCFで業界がほぼ統一されたことにより,市場における不要な競合が回避され,消費者が迷うことなく安心して使用できる状況を提供したことも大きな要因の一つに挙げられる.
    ここでは,最初に開発されたDSCから現在に至るまでのDSCの変遷を概観し,その発展を支えた技術について述べる.また,Exif/DCFの概要を解説するとともに,今まで行われた改訂の目的とその改訂の内容について解説し,最後にDSC用に関しての展望と現在直面している諸問題について述べる.
  • 米本 和也
    2007 年 46 巻 2 号 p. 121-128
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    本論では,デジタルカメラ用撮像素子に関して特徴的な動作を中心に求められている性能やキーになっている技術に関して解説する.コンパクトデジタルカメラで広く使われているCCD撮像素子が年々高まる解像度に対してどのような技術で進化してきたか,またビデオカメラにはなかった機能をどのような工夫で組み込んだかに焦点をあてた.また,近年デジタル一眼レフや携帯電話で広く使われるようになったCMOS撮像素子についてもCCD撮像素子との違いという観点から触れた.具体的にはデジタルカメラでは必須のモニターモード,動画撮像という機能,基本性能である感度,SN比,撮像素子の駆動,信号処理やカメラレンズと光学特性を整合させる撮像素子の技術をテーマとして取り上げ分かりやすく解説した.
  • 青野 康廣
    2007 年 46 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
  • 乾谷 正史
    2007 年 46 巻 2 号 p. 136-142
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    デジタルカメラとはデジタル的に画像データをメディアに記録する電子スチルカメラであるが,単に銀塩フィルムがCCDに置換わったのみならず,銀塩カメラで培われた,レンズ等の光学技術,AE,AF等の電子制御技術と,ビデオカメラで培われた固体撮像技術,デジタル信号処理技術,システム制御技術,等の複合技術で成り立っている.
    本論文ではその中で固体撮像技術とデジタル信号処理技術に的を絞ってデジタルカメラ技術を解説する.
  • 石村 俊彦
    2007 年 46 巻 2 号 p. 143-152
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    ディジタル一眼レフカメラには,コンパクトタイプのディジタルカメラには無い,多くの技術的特徴がある.これらの特徴により,一眼レフカメラは,より多くの撮影シチュエーションに対応可能となり,かつ,より良い写真,より高画質な写真を生み出すことができる.本稿は,これらの特徴について,機能と性能の両面から解説した.機能の差については,カメラを構成する諸要素ごとに,コンパクトタイプディジタルカメラと比較しつつ解説した.性能的な差異については,画質の差,表現力の差,操作性の差をとりあげ,同様に解説した.
  • 市川 芳邦, 本郷 義太加, 小松 隆之
    2007 年 46 巻 2 号 p. 153-157
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    最近のデジタルカメラでは撮影した画像をJPEGやTIFFなどの圧縮したファイル形式でメディアに保存するばかりでなく,RAWというファイル形式で保存できる製品が多くなってきている.JPEGデータでは撮影したデータはカメラ側で独自の画像処理を行った後,JPEG圧縮しメディアへと保存される.この際に自分の好みを反映することはできないばかりか,更に圧縮による画質劣化も発生してしまう.これに対しRAWデータはイメージセンサーから出力されたRGBの画像データを,なにも加工することなく文字通り“生”のまま保存したファイル形式である.RAWデータそのものでは画像の閲覧は不可能であるが,PC上でRAW現像処理を施すことにより初めて写真として見ることができるようになる.このRAW現像の処理過程に於いて,自分の好みの色作りや画作りを高画質のまま行うことができることが大きな特徴である.
    本論文では,RAWデータの特性,RAW撮影のメリットなどに触れながら,最近話題のRAW現像ソフトウェアの画像処理について,項目ごとに解説していく.また,RAWで撮影することにより,従来と異なりシャッターチャンスを逃さずに撮影できる利点や,RAWデータに秘められた将来の可能性についても考察する.
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