DEMによる2成分電子写真システム現像部の磁気ブラシモデル化の高速化を目指し,粒子間磁気力考慮範囲が及ぼすブラシ形状の評価,ならびに,計算時間への影響について検討し,新しい磁気ブラシ計算負荷低減法を提案した.磁気ブラシを構成するキャリア粒子数は磁気力カットオフ距離の増加に従い増加し,現像ニップ内ブラシ数は減少した.この傾向はカットオフ距離
Lcutoff>5.0(
Lcutoff=
Rij/ (
ri+
rj)) ではほぼ一定となり,粒子間磁気力はこれ以上の範囲が必要であることがわかった.また,この時の計算時間は,カットオフ距離の増加に伴い飛躍的に増大した.一方,着目粒子近傍 (
Rij/ (
ri+
rj) <
Ld) の粒子間磁気力は毎ステップ行い,それ以上の距離に存在する粒子に対しては定期的に計算を行うという新しい計算法においては,計算負荷は小さく,従来法に比べ約8.7倍(
Lcutoff=7.0)の計算速度となった.また,毎ステップ計算を行う範囲が
Ld=2.5以上の条件においては,ブラシ形状は従来法とほぼ同じであったことから,本法により磁気ブラシモデル化の計算精度は保ったまま高速化が可能となる.このことより,今後更なる詳細な2成分現像プロセスの解析ができると期待される.
抄録全体を表示