本論文では, 注文がポアソン到着に従って到着する個別受注生産工場における受注選択問題を考えている.最初に, 注文の選択基準(制御変数)をもつ単一生産工程モデルとしてM/G/1(N)型生産システムを提示し, 六つの代表的な受注選択方策を明らかにした.ここで, 最大受注残数Nは有限または無限とし, 注文の利益(限界利益)の分布は一般分布に従う.次に, この生産モデルのマルコフ決定過程による解析によって平均受注残数と期待利得(一加工当り)R_0(fN)を求め, 両基準に基づいて六つの選択方策を比較検討した.その結果, 方策の共通性から, 山積選択方策と時点選択方策がR_0-同等になるための条件は静的選択方策に帰着できる場合であるなどの性質を示した.また, 数値的考察によって, 単一受注方策, 静的選択方策, 山積選択方策, 時点選択方策の各方策効果の特徴を示すとともに, それによって最適受注選択方策の構造を示唆した.
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