本研究では, 見込み生産システムを想定し, 需要発生に伴う完成品の引き取り(需要の到着)を陽にモデルに取り込んだ, ブロッキングを伴う直列型待ち行列を扱う.従来, 需要の大きさを数値として含む待ち行列モデルによるシステム分析は少なかったが, 本研究では需要の大きさやばらつきを考慮し, 需要を満たす上で, システム内にどのような現象が生じるか, 評価尺度にどのような影響を与えるかを, 解析的アプローチによって定性的側面から観察する.その結果, 1)従来の需要を考慮しないシステムと滞留量が異なる, 2)サービス時間のばらつきと需要のばらつきとでは, それらの変化が評価尺度に与える影響が異なる, 3)バッファ容量が異なると, 需要の大きさの変化の影響が滞留の違いとなって現れる, 4)バッファ容量を決定する際は, 需要の大きさの変化が評価尺度に与える影響や尺度間のトレードオフ関係に着目すべきである, ことが明らかになった.
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