本研究は, 在庫保有制限がある場合の1在庫点における多品目在庫の適正在庫量決定に関する基礎を与えようとするものである.M品目のそれぞれに対する注文量が確率変動を伴うものとし, その分布が与えられるものとする.費用としては, 売れ残り損失, 品切れ損失, 保管費用を含み, 販売単価を考慮して, 期待利益を最大とする各品目の在庫量を決定する.解析にあたって, 単位期待利益比較関数なる概念を導入することによって, 最適解が満足すべき条件が明示され, これを用いて適正在庫量を求める方法を示す.さらに, 注文量分布は各品目とも一様分布の場合を例示する.このときには, 上記条件により, M変数問題が1変数問題として解かれ, その結果, 適正在庫量が在庫保有制限量の一次関数として, また, そのときの期待利益が二次関数として与えられることを示す.
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