PERTが用いた3点見積り法は, 特定のプロジェクトに適用するために開発されたものであり, 利用するベータ分布の標準偏差を悲観値と楽観値による範囲の1/6と仮定している.本研究では, 企業の改善問題についての成果推定に3点見積りを用いるので, 問題の多様性からしてもベータ分布の標準偏差を固定して取り扱う方法は適切ではない.そこで本研究はこの推定に確信度合いという概念を導入し, 第1報では, 確信度合いが極大の場合を分数0,極小の場合を矩形分布として分数1/12とし, 確信度合いが大, 中および小の場合のベータ分布の標準偏差は, その両極端の間を標準偏差で等分して算出しそれぞれ仮定する方式を提案した.本報告では, このような仮定が企業の実務面において適切か否かを明らかにするために企業において実験的な調査を行ない, 企業別, プロジェクトの種類別, 成果の特性別, 見積り者の専門分野別に分析した結果を報告する.
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