現場作業ないし現場設備の人間工学的な問題点を洗い出すことをねらいとした人間工学チェックリストの備えるべき条件や応用上考慮すべき点について考察した.人間工学チェックリストとしては問題項目の列挙とならんで問題解決策の指摘が重要だとみられるが, チェックの対象範囲, チェック用設問の方式, チェックの視点によって区分されるチェックリストの種類別に検討すると, 項目ごとに合否の弁別を行なう分析的なリストよりも, チェック対象の修正に役立つ修正的リストのほうが効用が大きいこと, 設計改善の過程中でチェックリストを正しく位置づけて使う必要があることがわかった.空港管制席, 農業機械や鋳造工場におけるチェックリスト使用結果の比較では合否弁別式よりも対策選択式がすぐれ, ユーザーの特性によってチェック結果が大きく左右されることが判明した.したがって, チェックリストの要件としては, 具体的で雑多な作業再設計の可能性をチェックでき, チェック者の視点を広げられるような融通性のあることが重要である.

抄録全体を表示

経営戦略的な問題へのアプローチの一つとして, 経営活動の源流ともいうべき販売計画の科学的な策定とそのEDP化について研究し, かつ実施しておおむね所期の効果をあげえたので, ここに小論を発表することにする.本論文はMIS本来の目的である「計画し, 指揮し, 企業の目標にそうように経営の要素を統制管理するのに必要な情報を経営幹部に提供する」という域にまで達していない現在, 販売計画の立案にあたり精度, コストおよび迅速性の各面から市場分析を用いて, とくに関数法, 指数法の2手法を軸とした販売計画作成までの手順を考察するとともに, 指数法においては従来の勘や成行き的なものから, より科学的な統計的手法に基づく指数の決定ならびに販売割当てについて考察したものである.

抄録全体を表示

受注選択問題をモデル化して解く場合0-1線形計画問題に定式化する場合が多い.しかしながらこのような定式化は受注選択の候補となる注文がすべてわかっていることが前提となっている.現実の問題を考えてみると, 注文はばらばらに到着し, 到着した注文は他の注文の到着を待つことなく受注の採否を決めなければならず, また受注在庫を持つことが許されるというような場合が多いであろう.このような問題に対しては0-1線形計画問題に定式化することができないが, 有効勾配法が実用上効果のある方法であることが知られている。有効勾配法では個々の注文を評価し, それを受注採否の規準値と比較して受注採否を決めている.本論文では, 受注採否の規準値と利益および受注在庫量の関係を明らかにし, さらにその関係を用いて受注在庫量から適切な受注採否の規準値を決める簡単な方法について述べている.

抄録全体を表示

累積和管理図の統計的特性は, 初期累積和zの関数であるにもかかわらず, 従来はzをゼロと置いたものを基準的特性としている.本報では, 工程が安定している場合の累積和の分布が得られたので, これを利用して初期累積和の分布を加味した新たな特性を導入する.これにより, 累積和管理図の特性として, より現実の姿に近いものが得られた.また累積和管理図の工程異常を発見する能力はいままで考えられてきたよりもより高いことが明らかとなった.

抄録全体を表示

1975年大企業IErの職務内容の実態をアンケート法により調査した.本稿は当調査に基づき, 個人属性との関わりあいのなかでIErの職務内容を類型化し, 両者の対応関係を明らかにしようとするものである.因子分析法によるデータ解析より, 概略以下3点の注目すべき仮説的結論が得られた.すなわち, 1.大企業IErの職務は組織上の階層に基づき分業化されている.2.さらに大企業の場合, より下級のIErほど職務の範囲は狭く, その内容は作業管理関連に限定されている.またより上級のIErの職務範囲は広く, その内容はより近代的IE型である.3.大規模以下の企業ではIEr内の分業関係は未分化であり, その職務の中心は品質管理関連である.

抄録全体を表示

本研究では, 故障の早期発見と予防を同時に考慮した設備の定期検査および取替え政策が提案される.単位良動作時間当りの期待コストを最小にするという評価基準のもとで, 最適化の手順と最適解の性質が, それぞれ定理と性質を通じて明らかにされ, 数値解析も行なわれる.その結果, 本政策は検査と予防的取替えのトレード・オフをはかった政策であり, 故障モードが摩耗型の度合を強めるにつれて予防的取替えのウエイトの大きくなることが示される.

抄録全体を表示

特定の経営管理制度は, その社会経済的環境に依存する.本研究においては, テーラー・システムが形成された社会経済的環境の要因-人口の増加, 移民, 鉄鋼業, 労働運動, 企業集中, 工業技術の発達-を分析し, それらがどのようにからみ合っていたかを明らかにすると同時に, 極大利潤均衡理論に基づく考察を試みた.これらのことは, 異なる社会経済的環境におけるテーラー・システムの把握のしかた, ならびに, 将来における経営管理制度の確立に対する一つの接近方法を提唱する.

抄録全体を表示

トラック輸送は物流システムのなかでよく使われており, 輸送コストを節減するためには, 最適車種の選択・企画がきわめて重要である.本報では輸送車輌一般の経済性を, ごくマクロな立場から評価する方法について考察を行なった.まず, 輸送コストの要因をつかみ, トラックの大きさと総走行距離との相互関係に関する著者たちの行なった既存の理論を適用し, 輸送効果を測定する理論式を考案した.次に, 特殊な道路網および一般の道路網におけるトラックの経済性を比較し, 各要因の変動が車種の相対的有利さにおよぼす影響を調べた.また, 適用例として, 清涼飲料水メーカー専用の特殊車輌について, 各車種の優越領域が諸条件によってどう変わるかを種々の角度から図示しながら検討したものである.

抄録全体を表示