自動化の導入によって, 定常状態で機械システムが機能している場合は, 人間(作業者)による制御を必要としなくても, その定常状態を維持するためには, 人間がさまざまな形でその機械のシステムに対応している.しかも, そうした対応をしているのは, それぞれが生きてきた歴史の重みを背負っているトータルな存在としての人間と, その集まりである.すなわち, 機械システムへの対応ー人間の動きーは, 対応を迫られた人間をもちあわせている, その機械システムに直接関係した知識・技能によって大きく異なるのはもちろんであるが, それら以外にその人のもっているものー人間性-によっても, 大きく異なる.この点について, 私自身が観察調査をした約7万馬力の主機関をもつ高速大型コンテナー船ににおける, 主機関のピストン抜き作業と, 夜間機関室無人運転の, 二つの具体例を通じて, 論じることとする.
抄録全体を表示