ベイズの決定課題において, 人の行動が理論的に最適な行動と一致しないことが知られている.Edwardsは確率推測の実験結果をもとにデータのもつ判定力(期待対数尤度比Z)を過小に評価するものと考え補正モデルを提示し, 他方Wallstenは効用の非線形性によるモデルを示した.しかし, 本研究では効用の修正で行動を説明できなかった.他方Zの補正では, Zを過大あるいは過小に評価したときの理論的な行動と, 実際に課題を行なわせたときの人の行動とを比較することにより, 人はZを過大に評価する傾向があると結論を導いている.また, 情報購入量を左右する決定状況のリスクの程度と稼ぎやすさの重視の仕方に個人間で大きな違いのあることを示している.方法としては, 課題を行なわせたときの人の情報購入量を対象とする方法と, 非計量的な形で人の考える最適情報購入量の多少を対象にし, 多次元尺度構成法を使う方法の2種を用いている.
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